にんじん [19世紀フランス文学]
「にんじん」 ルナール作 高野優訳 (新潮文庫)
にんじんと呼ばれ、母親から不当な扱いを受ける男の子の、成長を描いた物語です。
ルナール自身の幼少期の体験をもとにした、49のエピソードから成っています。
2014年に新潮文庫から新訳が出ました。とても分かりやすい訳です。
原書と同じ挿し絵が入っていているのも嬉しいです。
主人公は、赤毛でソバカスがあるため「にんじん」と呼ばれる男の子です。
にんじんは、母親によって虐待されています。この虐待がなかなかひどい。
家の雑用を押し付けられ、おいしいものは与えられませんが、それはまだいい。
極めつけは、おねしょをスープに混ぜて、飲ませられる場面でしょう。
この母親の残酷な仕打ちは理解に苦しみます。彼女は精神的な病気でしょうか。
訳者はあとがきで、「モラル・ハラスメント」として解釈していますが・・・
一方で父親は、にんじんに不器用ながらも愛情を持って接しています。
たとえば、お父さんとの手紙のやりとりは、冷淡というよりもユーモラスです。
「おまえが手紙に書いてきた作家たちは、私やおまえと同じく人間だ。
つまり、彼らにできることは、おまえにもできるということだ。
だから、まず自分で本を書きなさい。」
ほかにも随所で、残酷な母親と優しい父親、という構図が成り立っています。
しかし、最後まで読んで、私はそのとらえ方が大きく変わりました。
「ぼくも母親が嫌いなんだ。」というにんじんに、父親が答えた言葉は・・・
この言葉は、母親に対してあまりにも残酷ではないか?
この小説は、虐待を生き抜いた男の子が、人間的に成長する物語だと言われます。
しかし私には、ダメな母親が、最後にのけものにされる物語だと思いました。
ある意味、この物語で一番かわいそうなのは、母親なのかもしれません。
このような終わり方をしたところに、ルナールの幼少期の深い傷跡が見えます。
さて、49の小話のうち最も面白かったのは、「赤いほっぺ」です。
にんじんが、ヴィオロン先生のことを告げ口した本当の理由は・・・
にんじんの屈折した心理が読み取れて面白いです。
「赤いほっぺ」は、単独のショートショートとして楽しむことができそうです。
ところで、恥ずかしながら私は、49になって初めて「にんじん」を読みました。
実際に読んでみて、今まで漠然と抱いていたイメージが、だいぶ変わりました。
さいごに。(ころぼっくるヒュッテ)
家族旅行初日は、台風が次々に三つも発生した日で、天気が不安定でした。
車山は、肩の駐車場から歩いて登りましたが、山頂は霧の中でした。
しかし、ころぼっくるヒュッテで食べたボルシチが、とてもおいしくて良かったです。
知る人ぞ知る老舗のヒュッテです。来年はここに泊まろうか、と話しています。
にんじんと呼ばれ、母親から不当な扱いを受ける男の子の、成長を描いた物語です。
ルナール自身の幼少期の体験をもとにした、49のエピソードから成っています。
2014年に新潮文庫から新訳が出ました。とても分かりやすい訳です。
原書と同じ挿し絵が入っていているのも嬉しいです。
主人公は、赤毛でソバカスがあるため「にんじん」と呼ばれる男の子です。
にんじんは、母親によって虐待されています。この虐待がなかなかひどい。
家の雑用を押し付けられ、おいしいものは与えられませんが、それはまだいい。
極めつけは、おねしょをスープに混ぜて、飲ませられる場面でしょう。
この母親の残酷な仕打ちは理解に苦しみます。彼女は精神的な病気でしょうか。
訳者はあとがきで、「モラル・ハラスメント」として解釈していますが・・・
一方で父親は、にんじんに不器用ながらも愛情を持って接しています。
たとえば、お父さんとの手紙のやりとりは、冷淡というよりもユーモラスです。
「おまえが手紙に書いてきた作家たちは、私やおまえと同じく人間だ。
つまり、彼らにできることは、おまえにもできるということだ。
だから、まず自分で本を書きなさい。」
ほかにも随所で、残酷な母親と優しい父親、という構図が成り立っています。
しかし、最後まで読んで、私はそのとらえ方が大きく変わりました。
「ぼくも母親が嫌いなんだ。」というにんじんに、父親が答えた言葉は・・・
この言葉は、母親に対してあまりにも残酷ではないか?
この小説は、虐待を生き抜いた男の子が、人間的に成長する物語だと言われます。
しかし私には、ダメな母親が、最後にのけものにされる物語だと思いました。
ある意味、この物語で一番かわいそうなのは、母親なのかもしれません。
このような終わり方をしたところに、ルナールの幼少期の深い傷跡が見えます。
さて、49の小話のうち最も面白かったのは、「赤いほっぺ」です。
にんじんが、ヴィオロン先生のことを告げ口した本当の理由は・・・
にんじんの屈折した心理が読み取れて面白いです。
「赤いほっぺ」は、単独のショートショートとして楽しむことができそうです。
ところで、恥ずかしながら私は、49になって初めて「にんじん」を読みました。
実際に読んでみて、今まで漠然と抱いていたイメージが、だいぶ変わりました。
さいごに。(ころぼっくるヒュッテ)
家族旅行初日は、台風が次々に三つも発生した日で、天気が不安定でした。
車山は、肩の駐車場から歩いて登りましたが、山頂は霧の中でした。
しかし、ころぼっくるヒュッテで食べたボルシチが、とてもおいしくて良かったです。
知る人ぞ知る老舗のヒュッテです。来年はここに泊まろうか、と話しています。
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