木曜日だった男 [20世紀イギリス文学]
「木曜日だった男」 チェスタトン作 南條竹則訳 (光文社古典新訳文庫)
無政府主義者たちの集会に紛れ込んだ刑事が、荒唐無稽な体験をする物語です。
探偵小説の形をとっていますが内容は幻想的で、哲学的な面もあります。
光文社古典新訳文庫で出ています。訳は新しくて分かりやすいです。
創元推理文庫の吉田健一訳も、根強いファンを持っています。
詩人サイムは秘密厳守の約束で、無政府主義の隠れ家に連れて来られました。
その集会で彼は、急逝した評議員「木曜日」の後任に選任されてしまいました。
こうして秘密組織の一員となったサイムは、実は刑事でもあったのです。
彼は、組織の陰謀を阻止し、議長「日曜日」の正体を暴こうとしますが・・・
と書くと、探偵小説のようですが、実際ははちゃめちゃなドタバタ劇です。
副題は「一つの悪夢」。まさに、悪い夢です。
敵だと思っていたら味方だったり、味方だと思っていたら敵になっていたり。
相手に追われている展開が、いつのまにか追っている展開になっていたり。
物語はどんどん抽象的になり、曖昧になって、わけがわからなくなります。
正直に言って、途中から物語の流れに付いていけなくなりました。
組織のボス「日曜日」とは、結局何者だったのでしょうか?
この大騒ぎには、いったいどんな意味があったのでしょうか?
「この世界の秘密を教えてやろうか? それはね、僕らは世界の裏側しか知ら
ないっていうことなんだ。我々はすべて物を後ろから見る。・・・」(P292)
結局、警察も無政府主義者も、見方が違うだけで同じだ、と言いたかったのか。
現代社会に対する風刺と皮肉が込められている、ということは分かるのですが。
訳者の解説では、作品の解釈についてはほとんど書かれていませんでした。
解釈のヒント、あるいは考える糸口のようなものを、示してほしかったです。
さて、チェスタトンはむしろ、「ブラウン神父」シリーズで知られています。
同じ南條訳で、ちくま文庫から「ブラウン神父」シリーズの新訳が出ています。
さいごに。(魔法を使えよ)
娘は、「不審者に追いかけられる夢をよく見る」と言っていました。
そのとき「これは夢だ」と分かっていながら、何もできないのだそうです。
「夢だと分かっているなら、魔法を使って逃げろよ」と言ってやりました。
でも、そんなことはできない、と言うのです。自分の夢なのに!
無政府主義者たちの集会に紛れ込んだ刑事が、荒唐無稽な体験をする物語です。
探偵小説の形をとっていますが内容は幻想的で、哲学的な面もあります。
光文社古典新訳文庫で出ています。訳は新しくて分かりやすいです。
創元推理文庫の吉田健一訳も、根強いファンを持っています。
詩人サイムは秘密厳守の約束で、無政府主義の隠れ家に連れて来られました。
その集会で彼は、急逝した評議員「木曜日」の後任に選任されてしまいました。
こうして秘密組織の一員となったサイムは、実は刑事でもあったのです。
彼は、組織の陰謀を阻止し、議長「日曜日」の正体を暴こうとしますが・・・
と書くと、探偵小説のようですが、実際ははちゃめちゃなドタバタ劇です。
副題は「一つの悪夢」。まさに、悪い夢です。
敵だと思っていたら味方だったり、味方だと思っていたら敵になっていたり。
相手に追われている展開が、いつのまにか追っている展開になっていたり。
物語はどんどん抽象的になり、曖昧になって、わけがわからなくなります。
正直に言って、途中から物語の流れに付いていけなくなりました。
組織のボス「日曜日」とは、結局何者だったのでしょうか?
この大騒ぎには、いったいどんな意味があったのでしょうか?
「この世界の秘密を教えてやろうか? それはね、僕らは世界の裏側しか知ら
ないっていうことなんだ。我々はすべて物を後ろから見る。・・・」(P292)
結局、警察も無政府主義者も、見方が違うだけで同じだ、と言いたかったのか。
現代社会に対する風刺と皮肉が込められている、ということは分かるのですが。
訳者の解説では、作品の解釈についてはほとんど書かれていませんでした。
解釈のヒント、あるいは考える糸口のようなものを、示してほしかったです。
さて、チェスタトンはむしろ、「ブラウン神父」シリーズで知られています。
同じ南條訳で、ちくま文庫から「ブラウン神父」シリーズの新訳が出ています。
さいごに。(魔法を使えよ)
娘は、「不審者に追いかけられる夢をよく見る」と言っていました。
そのとき「これは夢だ」と分かっていながら、何もできないのだそうです。
「夢だと分かっているなら、魔法を使って逃げろよ」と言ってやりました。
でも、そんなことはできない、と言うのです。自分の夢なのに!
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