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国境の南、太陽の西 [日本の現代文学]

 「国境の南、太陽の西」 村上春樹 (講談社文庫)


 ずっと忘れられなかった小学校時代の大切な友達との、純愛と不倫の物語です。
 1992年に出た、村上春樹の7作目の長編小説です。講談社文庫に入っています。


国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/10/04
  • メディア: 文庫



 「僕」が小学校5年生の終りのときに、島本さんという女子が転校してきました。
 島本さんは、左足を少しひきずっていましたが、決して弱音を吐かない子でした。

 「僕」も島本さんも、同じ一人っ子だったため、二人は急速に接近しました。
 「僕」は相手に自分と似たものを見出し、お互いに好意を持っていると感じました。

 しかし、二人は違う中学に進み、やがて交流が途絶えました。
 「僕」は島本さんと会わなくなったあとも、彼女を懐かしく思い続けていました。

 「僕は長いあいだ、彼女に対して僕の心の中の特別な部分をあけていたように思う。
 まるでレストランのいちばん奥の静かな席に、そっと予約済の札を立てておくように」

 離れてから25年後、それぞれの境遇は大きく変わっていて・・・
 再会した二人は、どうしようもない何かによって、お互いに惹かれ合い・・・

 「僕」の出した結論は? 島本さんの出した結論は?
 そして、島本さんはどこへ行ってしまったのか?

 この小説が出た直後、すぐに買って読んだはずですが、全く覚えていませんでした。
 25年ぶりに再読して、「こんなに素敵でせつない小説だったのか」と驚いています。

 「世の中には取り返しのつくことと、つかないことがあると思うのよ。
 そして時間が経つというのは取り返しがつかないことよね。」(P20)

 あのとき島本さんは、何か予感のようなものを既に感じ取っていたのではないか。
 そして無意識的に、「僕」に忠告していたのではないか。

 取り返しがつかないものを求めても、決してそれは手に入れられません。
 島本さんはそこにいながら、まるで遠い星から送られる遥か昔の光のようで・・・

 ところで、終盤の性描写は必要だったのか? もっと違った形があったのでは?
 いつもこういう展開に陥るところに、ノーベル賞を取れない理由があるのでは?

 この作品は、「ねじまき鳥クロニクル」から分離されて、成立したのだそうです。
 つまり元となる部分は、最初は「ねじまき鳥」に含まれていた。知らなかった!


ねじまき鳥クロニクル 全3巻 完結セット (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル 全3巻 完結セット (新潮文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/11/05
  • メディア: 文庫



 さいごに。(週2回のバレエ)

 娘は10月から、バレエ教室に通うのを、週2回(木と土)に増やしました。
 特に木曜日は学校のあとに行くので、帰って来るとくたくたになっています。

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