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ダンス・ダンス・ダンス [日本の現代文学]

 「ダンス・ダンス・ダンス(上・下)」 村上春樹 (講談社文庫)


 羊男と再会した「僕」が、様々な人と出会いながら、自己を再生する物語です。
 作者の6作目の長編で、「羊をめぐる冒険」の続編です。

 1988年に単行本で出ました。講談社文庫からは1991年に出ました。
 うちにあるのは、2004年に出た新版(オリジナルカバー版)です。


ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/10/15
  • メディア: 文庫



 4年前「僕」は特殊な耳を持つ彼女と一緒に、羊をめぐる冒険をしていました。
 彼女はいろんな場面で僕を導いてくれましたが、突然いなくなったのでした。

 そして今、「僕」は彼女を探すために、いるかホテルにやってきました。
 以前二人で泊まったその小さなホテルは、26階建てのビルに変わっていました。

 そのホテルの暗闇の一隅で、「僕」は羊男と再会します。
 羊男はずっと「僕」を待っていたと言います。

 「ここにあるのは、あっちとはまた違う現実なんだ。あんたは今はまだここで
 は生きていけない。・・・あんたはここに来るべきじゃないんだ」 

 「踊るんだ。踊り続けるんだ。何故踊るかなんて考えちゃいけない。
 意味なんてもともとないんだ。」

 羊男はなぜそこにいたのか? 羊男のいる世界はどんな世界か?
 羊男は「僕」にとってどんな意味を持つのか? そもそも羊男とは何者か?

 フロント係りのユミヨシさん、旧友で俳優の五反田君、13歳の美少女ユキ、
 そして4年前に疾走したキキ。さまざまな糸がからまりあって・・・

 さて、この小説が出たのは、私が大学3年生の時でした。
 学生協に並んだ単行本を、さっそく買って読みました。

 1度目を読んだ時は、なんとなく物足りないような感じがしました。
 前年に出た「ノルウェイの森」の印象が、強すぎたからかもしれません。

 実は、当時私は「ノルウェイの森」で村上春樹を知ったばかりでした。
 その後羊三部作を順に読んで、本書を読み直した時、その魅力が分かりました。

 特にこの作品は、「羊をめぐる冒険」と切っても切れない関係にあります。
 それを読まないと、羊男に再会したときのワクワク感が得られません。

 「羊をめぐる冒険」で、最後まで謎の存在だった羊男。
 前作で描ききれなかった羊男の意味を、深く掘り下げた物語だと私は思います。

 「羊をめぐる冒険」で「僕」は、親友「ねずみ」を失い、自分の一部も失って、
 その後はあちらの世界とこちらの世界のはざまで、彷徨うように生きています。

 そんな「僕」に、失われた自分を取り戻させる役割を持つのが羊男です。
 羊男によって、「僕」はあちらの世界につながり、再生されて戻ってきます。

 最後が他の作品と違って明るく、希望が持てるような終わり方をしています。
 こういう結末を描きたくて、この作品を書いたのかもしれません。

 ただ、この作品を通して読んだのは、今から30年近くも前のことです。
 時間ができたら(退職後か)、もう一度羊4作品を通して読みたいです。

 さいごに。(席替え)

 クラスで席替えがあり、娘は仲の良い子の隣の席になって喜んでいます。
 しばらくの間は機嫌良く学校に行ってくれるといいのですが。

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