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別れのワルツ [20世紀フランス文学]

 「別れのワルツ」 ミラン・クンデラ作 西永良成訳 (集英社文庫)


 有名なトランペット奏者と浮気相手の看護師と、彼らを取り巻く人々の物語です。
 偶然の一致を活用した、演劇的手法で書かれた、クンデラの初期の傑作です。

 1993年に集英社から単行本で出て、2013年に集英社文庫に入りました。
 哲学的叙述がないため、訳はとても分かりやすくて、読みやすかったです。


別れのワルツ (集英社文庫)

別れのワルツ (集英社文庫)

  • 作者: ミラン クンデラ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/12/13
  • メディア: 文庫



 有名なトランペット奏者のクリーマは、ルージェナから妊娠したと知らされました。
 ルージェナは温泉町で働く看護師で、彼は彼女と、たった一度寝ただけでした。

 心から愛する妻カミラがいるクリーマにとっては、これは寝耳に水の出来事でした。
 なんとか中絶させるために、クリーマはルージェナを丸め込もうと努力します。

 ルージェナ、あわれと思いきや・・・次第に明かされる彼女の裏事情・・・
 湯治客のバートレフ、医師のスクレタ、その友人ヤクブらが関わって・・・

 「存在の耐えられない軽さ」と比べて、いかに読みやすかったことか。
 突然難解な哲学的断章が入ることもなく、とても安心して物語を楽しめました。

 主人公クリーマの、お人好しぶりに呆れました。その人柄では人を騙せないよ。
 フランティシェクと遭遇しながらも、二人の関係を疑えないとは。

 一方、米人湯治客のバートレフの存在は、物語に不思議な味付けをしています。
 バートレフは、かつてある娘に、「妊娠した」と言われた時、どう答えたのか?

 バートレフの部屋に光が差していたのはどうしてか? あれは輪光だったのか?
 突然現れた天使のような少女は何者か?・・・彼はどこか聖人を思わせました。

 それなのに、突然ただのオヤジと化し、俗物に成り下がってしまうとは!
 第4日22章の、「なんじゃこりゃ?」という展開にはびっくりでした。

 その一方でドクター・スクレタは、一貫して悪魔的な雰囲気に包まれています。
 スクレタは、いったいどのような治療を施して、成果を上げていたのか?

 さて、全体を振り返った時、「別れのワルツ」にはちぐはぐな印象が残りました。
 「存在の耐えられない軽さ」は読みにくかったけど、完成度は高かったです。

 さいごに。(整形外科へ)

 運動会で転んだ翌日、左ひざがとても痛くて、ほとんど曲げられなくなりました。
 とても驚いて、急遽午後から有給休暇をもらって、整形外科へ行きました。

 ひざにたまっていた水を抜いてもらったら、だいぶ楽になりました。
 しかし、じん帯を少し損傷しているようです。転んだのが、本当に悔やまれます。

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