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アーサー王物語 [中世文学]

 「アーサー王物語」 ノウルズ作 金原瑞人訳 (偕成社文庫)


 イギリスのノウルズがまとめた、読みやすくて格好いいアーサー王物語です。
 子供にも読めて、センチメンタルではない物語として、訳者に選ばれました。

 なお、本書は確かに読みやすいのですが、子供向けにしては難しかったです。
 また偕成社文庫は文庫版ではなく、単行本の扱いになっています。


アーサー王物語 (偕成社文庫)

アーサー王物語 (偕成社文庫)

  • 作者: ジェイムズ ノウルズ
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2000/07/01
  • メディア: 単行本



 アーサーの即位、エクスカリバーの獲得、ブリテンの統一、ガリアの征服、
 グウィネビアとの結婚、ローマ帝国の征服、ラーンスロットとの戦いと最期。

 様々なアーサー王伝説が、一つのストーリーとなるように編集されています。
 アーサーを中心にし た物語については、とてもバランスが取れています。

 もちろん、円卓の騎士たちの冒険も、主だったものは収録されています。
 バリンとバランの悲劇、ラーンスロットの冒険、ボーメンの冒険、聖杯探求。

 ところが、トリスタンやガウェインの物語が入っていません!
 アーサー王物語の本筋に関係ないエピソードは、外されているらしいのです。

 もやもやしながら、ネットでレビューを見てみたら、同じ感想がちらほら。
 トリスタンとイズーや、ガウェインの結婚は、収録してほしかったなあ・・・

 さて、解説にある訳者の言葉が印象に残りました。
 子供向けの本はロマンチックすぎるとした上で、次のように言います。

 「ぼくの頭のなかにある『アーサー王物語』は、騎士がくりひろげる勇壮な戦
 いの物語であり、残酷な運命にふりまわされる人びとの物語であり、『よきも
 の』も『美しきもの』もついにはすべてがほろんでいく壮絶な物語なのです。」

 「よきもの」も「美しきもの」も・・・というくだりがとても良いです。
 アーサー王国が崩壊に向かう場面を読むと、いつも悲しい気持ちになります。

 アーサー王国崩壊のきっかけは、ラーンスロットと王妃による罪でした。
 しかし私は、王国崩壊の兆しは、聖杯探求の時点で既に表れていたと思います。

 騎士たちが聖杯のために団結をといて、円卓を離れたことがきっかけではないか。
 キリストの聖杯は、ケルトのアーサーにとって、不運の源だったのではないか。

 ところで、アーサー王は死後、伝説の島「アヴァロン」に旅立ちました。
 蛇足ですが、ロキシーミュージックの「アヴァロン」は、私の愛聴盤です。


Avalon

Avalon

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Virgin Records Us
  • 発売日: 2000/02/28
  • メディア: CD



 岩波少年文庫の「アーサー王物語」も気になります。訳がやや古いようですが。
 ちなみにこちらも版型は文庫ではなく新書です。惜しいことに絶版でした。


アーサー王物語 (岩波少年文庫 3057)

アーサー王物語 (岩波少年文庫 3057)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1957/12/10
  • メディア: 新書



 「ケルト神話と中世騎士物語」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-04-23
 「アーサー王ロマンス」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-02-13
 「アーサー王の死」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-02-10
 「中世騎士物語」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-01-23

 さいごに。(ひざがヤバイ)

 区民大運動会のリレーで転んでから、1か月以上たちます。
 しかし、左ひざがまだ戻らず、走るとひざが抜けるような感じがします。

 通院していた整形外科によると、靭帯損傷のときの症状だという。
 紹介状を書いてもらい、総合病院で調べることになりました。ああー。

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