痴愚神礼讃 [中世文学]
「痴愚神礼讃」 エラスムス作 沓掛良彦訳 (中公文庫)
痴愚こそ幸福の源泉である、と自賛する痴愚女神を描き、当時大流行した名著です。
1509年に書かれた風刺文学の傑作で、宗教改革に大きな影響を与えました。
2013年に中公文庫からラテン語原典訳が出ました。新しくて分かりやすい訳文です。
段落分け等、読みやすい工夫がされています。が、3分の1が注釈、読まないって。
自分に帰依する人々を「大馬鹿者」と呼び、聴衆に向かって語ることはというと、
痴愚でいることは素晴らしく、痴愚な者は幸せである、ということばかり・・・
時にギリシア神話を引用し、時にローマの古典を引用し、時に聖書から引用します。
非常に手の込んだ、知的なたわごとだと思いました。
ところが時として、ドキッとさせられる表現と出会います。
舞台監督と人生の例は、なかなかいけています。
「舞台監督はしばしば同じ訳者を、違った扮装で舞台に出させますから、つい先ほど
まで緋の衣をまとって王様を演じていた者が、今度はボロにくるまった奴隷として姿
を見せたりするのです。要するにすべてが見せかけの仮装なのですが、人生という芝
居も、その演じられ方は、これと変わるところがありません。」(P73)
ちなみにこの作品は、前半が圧倒的に面白いです。
後半になると妙に理屈っぽくなって、読んでいて疲れるようになります。
さて、この名著(迷著)を、エラスムスはトマス・モアに宛てて一気に書きました。
まさかその時は、この作品が歴史的名著となるは、考えてもみなかったでしょう。
作品中で、王や修道士はもちろん、教皇までが笑いの対象となっています。
1511年に刊行されると、教会から大顰蹙を買い、発禁処分となりました。
また、1517年にルターが「95ヶ条の論題」を出し、宗教改革が始まりますが、
この流れに「痴愚神礼讃」が大きな役割を果たしたとも、言われています。
また、この笑いの伝統は、ラブレーの「ガルガンチュワ物語」に受け継がれ、
「痴愚神礼讃」といえば、ルネサンス文学の名著ということになっています。
エラスムスの親友モアの「ユートピア」もまた、ルネサンス文学の名著です。
モアの「ユートピア」以後、さまざまな人々のユートピア論が出されました。
さいごに。(ゴキブリごっこ)
娘がどこからか、非常にリアルなゴキブリのおもちゃをもらってきました。
それを色々な場所に隠して、相手を驚かすのが、わが家のマイブームです。
いつだったか、私のペンケースに入っていて、とてもびっくりしました。
ところが、あのゴキちゃんを1週間見かけません。いつどこから出てくるか?
痴愚こそ幸福の源泉である、と自賛する痴愚女神を描き、当時大流行した名著です。
1509年に書かれた風刺文学の傑作で、宗教改革に大きな影響を与えました。
2013年に中公文庫からラテン語原典訳が出ました。新しくて分かりやすい訳文です。
段落分け等、読みやすい工夫がされています。が、3分の1が注釈、読まないって。
自分に帰依する人々を「大馬鹿者」と呼び、聴衆に向かって語ることはというと、
痴愚でいることは素晴らしく、痴愚な者は幸せである、ということばかり・・・
時にギリシア神話を引用し、時にローマの古典を引用し、時に聖書から引用します。
非常に手の込んだ、知的なたわごとだと思いました。
ところが時として、ドキッとさせられる表現と出会います。
舞台監督と人生の例は、なかなかいけています。
「舞台監督はしばしば同じ訳者を、違った扮装で舞台に出させますから、つい先ほど
まで緋の衣をまとって王様を演じていた者が、今度はボロにくるまった奴隷として姿
を見せたりするのです。要するにすべてが見せかけの仮装なのですが、人生という芝
居も、その演じられ方は、これと変わるところがありません。」(P73)
ちなみにこの作品は、前半が圧倒的に面白いです。
後半になると妙に理屈っぽくなって、読んでいて疲れるようになります。
さて、この名著(迷著)を、エラスムスはトマス・モアに宛てて一気に書きました。
まさかその時は、この作品が歴史的名著となるは、考えてもみなかったでしょう。
作品中で、王や修道士はもちろん、教皇までが笑いの対象となっています。
1511年に刊行されると、教会から大顰蹙を買い、発禁処分となりました。
また、1517年にルターが「95ヶ条の論題」を出し、宗教改革が始まりますが、
この流れに「痴愚神礼讃」が大きな役割を果たしたとも、言われています。
また、この笑いの伝統は、ラブレーの「ガルガンチュワ物語」に受け継がれ、
「痴愚神礼讃」といえば、ルネサンス文学の名著ということになっています。
ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈1〉 (ちくま文庫)
- 作者: フランソワ ラブレー
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/01/01
- メディア: 文庫
エラスムスの親友モアの「ユートピア」もまた、ルネサンス文学の名著です。
モアの「ユートピア」以後、さまざまな人々のユートピア論が出されました。
さいごに。(ゴキブリごっこ)
娘がどこからか、非常にリアルなゴキブリのおもちゃをもらってきました。
それを色々な場所に隠して、相手を驚かすのが、わが家のマイブームです。
いつだったか、私のペンケースに入っていて、とてもびっくりしました。
ところが、あのゴキちゃんを1週間見かけません。いつどこから出てくるか?
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