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ソラリス [20世紀ロシア文学]

 「ソラリス」 スタニスワフ・レム作 沼野允義訳 (ハヤカワ文庫)


 惑星ソラリスを覆う海の、奇妙な現象に巻き込まれた人々を描いたSF小説です。 
 1961年にポーランド作家レムによって書かれ、二度にわたって映画化されました。

 2015年にハヤカワ文庫から、ポーランド語オリジナルからの全訳が出ました。
 とても分かりやすい文章でした。最近NHK「100分de名著」で紹介されました。


ソラリス (ハヤカワ文庫SF)

ソラリス (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: スタニスワフ・レム
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/04/08
  • メディア: 文庫



 ソラリス、それは、不思議な海に覆われた惑星です。
 海そのものが一つの生命体であり、しかも高い知能を備えているらしいのです。

 人類は海の謎を解くために、様々な試みをしましたが、結局成功していません。
 ソラリス上空の宇宙ステーションに滞在するのは、今ではわずか3人だけです。

 そこへケルヴィンが派遣され、変わり果てたステーションの様子に驚きました。
 既に1人は死んでいるし、正体不明の黒人女が歩き回っていているし。

 そして、ケルヴィンの身にも、不思議な現象が起こりました。
 あるとき目覚めると、そこに死んだはずの元恋人ハリーがいて・・・

 眼の前のハリーはいったい何者か? ケルヴィンはどのような行動に出るのか?
 あの海はいったい何なのか? 海はどのような意図を持っているのか?

 昨年12月に放送された「100分de名著」を見てから、興味を持ちました。
 番組はとても面白かったけど、小説はまた更に面白かったです。

 「ソラリス」は第一に、コンタクトを扱った物語です。ただし、相手は海。
 「未知との遭遇」や「ET」と、いかに違うことか!

 「宇宙の向こう側から真実が―人間が口に出さず、隠してきた真実がー突きつけ
 られたとき、われわれはそれをどうしても受け入れられないんだ」(P136)

 「ソラリス」で描かれているのは、ただただ人類の戸惑いと混乱ばかりです。
 そして、自分とは何か、存在とは何か、という哲学的な問いなのです。

 「でも・・・わたしは・・・ハリーじゃないわ。じゃあ、わたしは誰なの・・・?
  ハリー? じゃあ、あなたは!?」(P265)

 結末まで読んでも、結局「海」が何なのか、よく分かりませんでした。
 最後にヒントのようなものはありますが、答えは読者に委ねているようです。

 ハラハラドキドキというよりも、深く深く考えさせられる作品でした。
 そしてそれゆえに、古い作品でありながら、今でも多くの人を引きつけています。

 さいごに。(雪には弱い)

 めったに雪が降らない地域に住んでいるため、雪にはめっぽう弱いです。
 昨日、近隣の市から通う仲間は、雪で帰れなくなり、職場の近くに泊まりました。

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