もう牛を食べても安心か [理系本]
「もう牛を食べても安心か」 福岡伸一 (文春新書)
2000年代前半の狂牛病問題を分析した上で、新しい生命観を提示しています。
福岡伸一の最初の新書であり、第1回科学ジャーナリスト賞を受賞しました。
私はこの本を、宮城哲弥の「新書365冊」(朝日新書)で知りました。
「新書365冊」は新書本の宝庫ですが、最も印象に残ったのがこの本でした。
この本は狂牛病の本ではありません。生命観を捉え直す本です!
宮城の解説がすばらしいので、「新書365冊」から引用させてもらいます。
心身の造りや働きを分子レヴェルに還元してはじめて、「生命が『流れ』の
中にある」ことがみえてくる。「全く比喩ではなく」、生の営みは「流れ」
そのものなのである。/ 狂牛病はその「流れ」に乗して広がった。
「食べる」とは、分子以下の微視的レヴェルにおいては、私達の体を入れ換
える行為に他ならないのだ。「私たちの身体は数日間のうちに入れ換わって
おり、『実態』と呼べるものは何もない。そこにあるのは流れだけなのである。
というように、生命の本質を「流れ」(!)の中でとらえています。
そして、この生のメカニズムが「動的平衡」です。
特に面白いのが、第二章「私たちはなぜ食べ続けるのか」、第三章「消化する
とき何が起こっているのか」、第五章「動的平衡論から導かれること」です。
第五章では、「自分自身の身体の所有権」も「自己決定」も危うい、と言う。
生命が流れだとしたら身体はどこにあるのかと、恐ろしい方向に論は展開する。
まさに、瞠目の書です。ここで描かれた生命観は、全く予想外のすごさでした。
「生物と無生物のあいだ」で紹介した通り、この本は私にとって衝撃的でした。
「生物と無生物のあいだ」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-04-27
さて、福岡が提示する生命観は、西田幾多郎が描いたものと類似しているという。
大学時代に哲学を専攻し、西田哲学に少しだけ接した私としては、実に興味深い。
「福岡伸一、西田哲学を読む」は、単行本ですが、私は買って読んでいます。
対談形式なので話が分かりやすく、内容は非常にスリリングです。
さいごに。(徒競走なし?)
娘に走り方を教えたのですが、今年は徒競走が無いのだという。
残念です! 小学校最後の運動会で、徒競走の応援ができないとは!
しかし、その日(土曜日)、私の仕事が入ってしまいました。
残念です! 小学校最後の運動会で、応援に行けないとは!
2000年代前半の狂牛病問題を分析した上で、新しい生命観を提示しています。
福岡伸一の最初の新書であり、第1回科学ジャーナリスト賞を受賞しました。
私はこの本を、宮城哲弥の「新書365冊」(朝日新書)で知りました。
「新書365冊」は新書本の宝庫ですが、最も印象に残ったのがこの本でした。
この本は狂牛病の本ではありません。生命観を捉え直す本です!
宮城の解説がすばらしいので、「新書365冊」から引用させてもらいます。
心身の造りや働きを分子レヴェルに還元してはじめて、「生命が『流れ』の
中にある」ことがみえてくる。「全く比喩ではなく」、生の営みは「流れ」
そのものなのである。/ 狂牛病はその「流れ」に乗して広がった。
「食べる」とは、分子以下の微視的レヴェルにおいては、私達の体を入れ換
える行為に他ならないのだ。「私たちの身体は数日間のうちに入れ換わって
おり、『実態』と呼べるものは何もない。そこにあるのは流れだけなのである。
というように、生命の本質を「流れ」(!)の中でとらえています。
そして、この生のメカニズムが「動的平衡」です。
特に面白いのが、第二章「私たちはなぜ食べ続けるのか」、第三章「消化する
とき何が起こっているのか」、第五章「動的平衡論から導かれること」です。
第五章では、「自分自身の身体の所有権」も「自己決定」も危うい、と言う。
生命が流れだとしたら身体はどこにあるのかと、恐ろしい方向に論は展開する。
まさに、瞠目の書です。ここで描かれた生命観は、全く予想外のすごさでした。
「生物と無生物のあいだ」で紹介した通り、この本は私にとって衝撃的でした。
「生物と無生物のあいだ」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-04-27
さて、福岡が提示する生命観は、西田幾多郎が描いたものと類似しているという。
大学時代に哲学を専攻し、西田哲学に少しだけ接した私としては、実に興味深い。
「福岡伸一、西田哲学を読む」は、単行本ですが、私は買って読んでいます。
対談形式なので話が分かりやすく、内容は非常にスリリングです。
福岡伸一、西田哲学を読む――生命をめぐる思索の旅 動的平衡と絶対矛盾的自己同一
- 作者: 池田善昭
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2017/07/07
- メディア: 単行本
さいごに。(徒競走なし?)
娘に走り方を教えたのですが、今年は徒競走が無いのだという。
残念です! 小学校最後の運動会で、徒競走の応援ができないとは!
しかし、その日(土曜日)、私の仕事が入ってしまいました。
残念です! 小学校最後の運動会で、応援に行けないとは!
初めてご連絡させて頂きました。
私、株式会社スプリックスの島 貫と申します。
突然のご連絡で失礼致します。
弊社では、学校の先生方向けに授業準備のための
無料情報サイト「フォレスタネット」を運営しております。
この度、貴ブログに投稿されている書評記事の数々を拝見し、
是非私共にお力をお貸し頂けないかと思いご連絡致しました。
一冊一冊、本の内容だけでなく著者に関する情報や、
管理人様のご感想、問題提起などもされている
とても読み応えのある記事だと感じました。
「フォレスタネット」は全国の先生方が実践等を
共有し合うことで先生方の授業準備をご支援するサイトです。
日々多くの先生方のご厚意を頂戴し、
総数10万点以上の教材や実践例を掲載させて頂いております。
それを全国の先生が授業準備や学級経営に
活かしていらっしゃいます。
しかし、全国の先生をご支援する為に
より多くの情報を揃えていきたいと思っております。
つきましては、貴ブログにございます記事について、
是非フォレスタネットへ掲載させて頂けませんでしょうか。
掲載に伴う作業の一切は全て我々の方で進めさせて頂き、
名義は管理人様の名義のまま掲載させて頂きます。
最後になりますが、フォレスタネットが
どのようなものかご覧頂くために、
下記のゲスト用アカウントを作成致しました。
もし宜しければログイン頂き、ご覧いただけますと幸いです。
URL: https://foresta.education/
ログインID:guest1802@nomail.com
パスワード:yG7CJvUz
ご不明な点も多々あるかと存じますので、
何なりとご質問頂ければと存じます。
この度は突然の不躾なお願いとなり、大変申し訳ございません。
ご検討の程、何卒宜しくお願い申し上げます。
ご連絡いただける際は下記のメールアドレスまでお願い致します。
r.shimanuki@sprix.jp
by shimanuki (2018-05-16 13:40)
「西田幾多郎が描いたものと類似しているという....」
米国の大学の授業に、日本人の哲学者は出てこないと思います....
by サンフランシスコ人 (2018-05-18 06:05)
shimanukiさん、ご覧いただきありがとうございます。
とてもすばらしい取り組みですね。
私の記事でよかったら、どうぞお使いください。
(同じ趣旨の文をメールでも送らせていただきました)
by ike-pyon (2018-05-18 06:58)
サンフランシスコ人さん、いつもありがとうございます。
西田は日本を代表する哲学者です。
しかし、日本でも哲学を専攻しなければ、接することがありません。
もっと知られてもいいと思うのですが。
by ike-pyon (2018-05-18 07:07)