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エジプト十字架の謎 [20世紀アメリカ文学]

 「エジプト十字架の謎」 エラリー・クイーン作 井上勇訳 (創元推理文庫)


 エジプト十字架にはりつけにされ殺された、首なし死体の謎を追う物語です。
 1932年刊。国名シリーズ第5作であり、最高傑作と目されることもあります。

 私が読んだのは、創元推理文庫の旧版です。初版は1959年。井上訳です。
 2016年に新訳版が出ました。文章は読みやすく、カバーもお洒落です。


エジプト十字架の謎 (創元推理文庫 (104-9))

エジプト十字架の謎 (創元推理文庫 (104-9))

  • 作者: エラリー・クイーン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1959/09
  • メディア: 文庫



エジプト十字架の謎【新訳版】 (創元推理文庫)

エジプト十字架の謎【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 作者: エラリー・クイーン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/07/21
  • メディア: 文庫



 ある田舎町で、T字の標識にはりつけにされた、首なし死体が発見されました。
 死体は小学校長ヴァンで、彼の家のドアにもTの字が、血で描かれていました。

 エラリー・クイーンは、首なし死体をエジプト十字架ではないかと考えました。
 行方をくらました者たちの捜査が進展しないうちに、第二の殺人が起こり・・・

 クイーンのファンが最高傑作として推す作品なので、15年ほど前に読みました。
 しかし、私にはイマイチでした。以下、その理由を書かせていただきます。

 エラリーは推理しているというより、話を解説しているにすぎないと感じました。
 真実は推理から導かれるよりも、当事者の告白から明かされる方が多かったです。

 しかも、真実はちびりちびりと小出しされ、物語はいっこうに進展しません。
 皆が無為に過ごすのを、あざ笑うかのように、第三の殺人が起こってしまいます。

 その後、エラリーが語り出しますが(旧版P382~)、これが、長い長い。
 あーでもない、こーでもない、と言っているだけで、ちっとも核心に迫りません。

 エラリーの講釈を読みながら、私はホームズを懐かしく思い出しました。
 彼は、わずか30ページの中ですべてを解決し、真実を簡潔に語ってくれました。

 最後にエラリーは、クロサックの正体を見破って、得意げに話し始めます。
 でも、犯人が捕まってから話しても意味ないです。どうせ犯人に吐かせるんだし。

 それに、犯人を追い詰めたのはヤードリーであり、彼の方がお手柄だのでは?
 エラリーが、恩師のヤードリーを小馬鹿にして話すのも、いかがなものか?

 作品を楽しめなかった最大の理由は、主人公エラリーが鼻についたからです。
 また、エラリー警視の親馬鹿ぶりにも呆れました。(ある意味面白かったけど)

 と、クイーン・ファンの皆さん、勝手なことばかり述べてごめんなさい。
 こんなふうに書いておきながら、やはり「ギリシア棺の謎」は読みたいです。


ギリシャ棺の謎【新訳版】 (創元推理文庫)

ギリシャ棺の謎【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 作者: エラリー・クイーン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/07/30
  • メディア: 文庫



 さいごに。(シャトレーゼのホワイトラスク)

 ホワイトチョコラスクといったら、ガトーフェスタハラダのものが有名。
 確かにとてもぜいたくな味なのだけど、値段もそれなりに高いです。

 ところが、シャトレーゼのホワイトチョコラスクも、とてもおいしかった。
 値段も安かったので、今後はこちらが、わが家の定番になりそうです。

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