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今物語 [日本の古典文学]

 「今物語」 藤原信実 三木紀人訳注 (講談社学術文庫)


 鎌倉時代に語られていた風流譚・恋愛譚・滑稽譚を、53編収録した説話文学集です。
 簡潔で一話が短いため読みやすいです。著者は36歌仙を描いたと言われる歌人です。


今物語 (講談社学術文庫)

今物語 (講談社学術文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/10/09
  • メディア: 文庫



 「今物語」は中世説話文学の傑作というが、恥ずかしながら私は全く知らなかった。
 ある読書仲間から、「今物語」のある話を勧められて、読んでみる気になりました。

 第二話の「忠度と扇」は、読みながら私はうなりました。風流譚の傑作でしょう。
 歌の一部をとっさに口にする機転、そしてその意味を正確に理解する教養・・・

 知識をひけらかすことなく、純粋に和歌を楽しむ忠度の振る舞いが、印象的です。
 生活に和歌が自然に溶け込んでいた、古き良き時代の理想の姿がここにあります。

 ほか、第三話「雪の朧月夜」(女房から即座に敷き物が出てきたのはなぜか?)、
 第六話「うしろむき」(女が後ろ向きで寝たのはなぜか?)等も風流で良いです。

 また、第十話「やさし蔵人」(蔵人は主人に代わってどんな返事をしたか?)、
 第二十四話「亀井の尼」(帝の一夜の訪れが・・・)等はよく知られています。

 私にとっては、第二十六話「小式部の夢」(夕暮れに不意に訪れた殿方は?)、
 第三十八話「源氏供養」(紫式部の亡霊!)など、不思議な話が面白かったです。

 特に、第三十五話「蓮華王の往生」は、半ページながら強烈な印象を残します。
 夢に言われたとおり、その少年の棺を七日目に開けてみると・・・

 しかし、なんといっても最も印象に残るのは、第五十二話「はこの不始末」です。
 実は、ある読書仲間に勧められた話というのが、この話なのです。

 説教師が説法をした後、急に大便をしたくなり、布施も受け取らず帰りました。
 急いで便所に駆け込みましたが、屁ばかりが出て大便が出なかったので・・・

 昨日は大便にだまされ、今日は屁にだまされ・・・この先はとても語れません。
 品のない滑稽譚ですが、こういう話に限って記憶に残ってしまうのが悲しいです。

 さて、講談社学術文庫版は、語釈と解説が充実していますが、やや詳しすぎます。
 語釈を無くし、もっと一般の読書人が読みやすくなる構成で、出してほしいです。

 さいごに。(ダウンコレクション?)

 ユニクロのちらしに「ダウンコレクション」と、大きく出ていました。
 その、「ウンコ」の部分だけが、なぜかやたらと目に焼き付いてしまいました。

 妻と娘にそのことを話すと・・・なんともいえない冷たい反応でした。
 実は、ほかにも「かわいいワンコ」が「かわいい〇ンコ」に見えてしまって・・・

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