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三国志演義4 [中世文学]

 「三国志演義(四)」 羅貫中 井波律子訳 (講談社学術文庫)


 魏呉蜀の三国時代を舞台にした講談を、明時代にまとめて成立した歴史小説です。
 ここでは、最も新しい講談社学術文庫(全4巻)の井波律子訳を紹介します。


三国志演義 (四) (講談社学術文庫)

三国志演義 (四) (講談社学術文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/12/11
  • メディア: 文庫



 講談社学術文庫版(四)には、第九十一回から第百二十回までが収められています。
 出師の表、北伐、街亭の敗北、趙雲の死、諸葛孔明の死、司馬仲達の死、蜀滅亡・・・

 この巻が最終巻です。すでに第三巻で、劉備・関羽・張飛は亡くなっていました。
 だから、この巻はおまけだと思っていたけど、とんでもない! 結構面白かったです。

 特に前半、蜀の諸葛孔明と魏の司馬仲達との駆け引きは、大きな読みどころでした。
 孔明の反間の計、街亭の戦い、五丈原の戦い、死せる孔明生ける仲達を走らす・・・

 5回にわたる北伐の中で、蜀も魏も完全に世代交代し、巻の後半は終焉に向かいます。
 後半の読みどころは、姜維(きょうい)と鄧艾(とうがい)の駆け引きでしょう。

 魏呉蜀が、戦いでなく、お家騒動で衰退していく過程は、なんとも寂しい限りです。
 終盤でキラリと光るエピソードが、陸抗と羊祜(ようこ)の不思議な信頼関係です。

 敵に贈られた酒を疑うことなく飲む羊祜。敵から贈られた薬を疑うことなく飲む陸抗。
 敵味方を超えて、お互いにリスペクトし合う二人。この「男の世界」にしびれます!

 さて、この巻の中で、私が最も興味深く思った人物は、裏切り者の魏延です。
 忠義の将が多い蜀では、異色の存在ですが、魏延のことを考えると悲しくなります。

 劉備のために働きながら、「反骨の相」ゆえに、孔明に斬られそうになりました。
 蜀のために活躍しながらも、孔明からは裏切るのではないかと、疑われ続けました。

 それゆえ魏延は、劉備の取り巻きになじめず、孤独を感じていたのではないか?
 もしかしたら、孔明は、魏延が裏切るようにしむけてしまったのではないか?

 孔明が反骨の相などにこだわらず、心から信頼していたら魏延は変わったのでは?
 暖かい触れ合いがあったら、魏延は自分自身を成長させることができたのでは?

 思うに、魏延は最初から見限られていたため、成長する機会を与えられなかった。
 魏延を生かせなかったことが、孔明の最大の失敗だったように思えてしまいます。

 ところで、三国志演義全4巻を読み通すにあたって、参考にした本があります。
 三国志ナビ(新潮文庫)です。

 主な戦いについて、流れが地図で示されていて、とても分かりやすいです。
 できれば全120回のあらすじを入れてもらえると、さらに良かったです。


三国志ナビ (新潮文庫)

三国志ナビ (新潮文庫)

  • 作者: 渡邉 義浩
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/01/29
  • メディア: 文庫



 さいごに。(会話に入れない)

 娘と妻でジャニーズの会話になると、時々わけのわからない言葉が飛び交います。
 「セクゾ」とか「ディーディー」とか「タンオリ」とか・・・会話に入れません。

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