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グリム童話もの [19世紀ドイツ北欧文学]

 「だれが、いばら姫を起こしたのか」 フェッチャー作 丘沢静也訳 (ちくま文庫)


 心理的・歴史的・民俗的背景を踏まえて、グリム童話の真相に迫ろうとした著書です。
 副題は、「グリム童話をひっかきまわす」です。グリム童話のパロディの古典です。


だれが、いばら姫を起こしたのか―グリム童話をひっかきまわす (ちくま文庫)

だれが、いばら姫を起こしたのか―グリム童話をひっかきまわす (ちくま文庫)

  • 作者: イーリング フェッチャー
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1991/09
  • メディア: 文庫



 「いばら姫」は15歳のとき、糸巻き棒で指をつきさし、100年間の眠りにつきます。
 では、「糸巻き棒」が象徴するものは? 「つきさす」ことが象徴することは?

 100年間の眠りは、姫がずっと処女でいてほしいという、両親の願望を表していた?
 姫が王子のキスで目覚めるのは、まさに姫が処女喪失恐怖症を克服したということ?

 「カエルの王」では、姫がカエルを壁にたたきつけたところ、王子に変わりました。
 「カエル」というのは何を象徴していた? 「カエル」と姫の関係は?

 姫は実は、カエルと最初に会ったときから、性的な魅力を感じていた?
 嫌悪すべきカエルが、好ましい王子に変わるのは、姫が性体験をしたということ?

 ほか「赤頭巾ちゃん」「白雪姫」「シンデレラ」など、全14編が収録されています。
 さまざまな観点から、童話の意味を深読みし、好き勝手な想像をしています。

 一話が短く、内容は刺激的で、知的好奇心がくすぐられるため、全く飽きません。
 ただし、内容は学術的なものではなく、あくまで趣味として楽しむ本だと思います。


 桐生操の「本当は恐ろしいグリム童話」(ワニ文庫)は、グリム童話の二次創作です。
 1998年に出てまもなくベストセラーとなり、グリム童話ブームを巻き起こしました。


本当は恐ろしいグリム童話 (WANIBUNKO)

本当は恐ろしいグリム童話 (WANIBUNKO)

  • 作者: 桐生 操
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2001/01/01
  • メディア: 文庫



 たとえば冒頭の「白雪姫」は、大きくデフォルメされ、ヘンな話になっています。
 白雪姫を殺そうとしたのは、継母ではなくて実の母? 王子は死体愛好家?・・・

 王妃は、王が娘の白雪姫と愛し合う場面を目撃しました。白雪姫はまだ7歳です。
 王妃は娘の殺害を計画し、白雪姫は森の小人に助けられ、彼らの夜の相手をします。

 王妃の毒リンゴで倒れた白雪姫の死体を、通りがかりの王子が城に持ち帰りました。
 王子はその死体をこっそり愛好して・・・(この辺で本を放り出してしまった)

 という具合で、「なんじゃこりゃ」という展開です。これは、やりすぎでしょう。
 しかし、グリム童話の魅力を広く知らしめたという点では、読書界に貢献しました。


 1998年、グリム童話ブームに乗って、私も色々な「グリム童話もの」を読みました。
 最も印象的だったのが、森義信の「メルヘンの深層」(講談社現代新書)でした。


メルヘンの深層―歴史が解く童話の謎 (講談社現代新書)

メルヘンの深層―歴史が解く童話の謎 (講談社現代新書)

  • 作者: 森 義信
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/02
  • メディア: 新書



 副題は「歴史が説く童話の謎」で、主に歴史的なアプローチがされています。
 「白雪姫」に魔女裁判を、「ヘンゼルとグレーテル」に子捨てを見るという具合。

 最も興味深かったのは、第10章の「青ひげ物語としたたかな女」です。
 残酷な「青ひげ」という一般的な見方とは、全く違った解釈がされていて面白い。


 鈴木晶の「グリム童話 メルヘンの深層」(講談社現代新書)も興味深いです。
 こちらは、主に哲学的・心理学的なアプローチがなされています。

 グリム童話などメルヘンについて、広く知りたいという場合はオススメです。
 グリム兄弟について、童話成立の背景、メルヘンの意味などにも触れています。


グリム童話―メルヘンの深層 (講談社現代新書)

グリム童話―メルヘンの深層 (講談社現代新書)

  • 作者: 鈴木 晶
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/01
  • メディア: 新書



 「誰も書かなかった灰かぶり姫の瞳」梁瀬光世(幻冬舎文庫)という本もあります。
 広く浅く手軽に楽しめる本ですが、その分他の本に比べて、物足りない気もします。


誰も書かなかった灰かぶり姫(シンデレラ)の瞳―25の童話の驚くべき真相 (幻冬舎文庫)

誰も書かなかった灰かぶり姫(シンデレラ)の瞳―25の童話の驚くべき真相 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 梁瀬 光世
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1998/10
  • メディア: 文庫



 ところで、ここで紹介した本のほとんどが、すでに絶版という悲しい状況でした。
 いつの日か、グリム童話ブームが再び来て、復刊されることを願っています。

 さいごに。(からやまの極ダレ丼がうまい)

 ママさんの都合で、時々娘と二人で夕飯を外で食べることがあります。
 そのとき、最近よく行くのが、から揚げ専門店の「からやま」です。

 特に「極ダレ丼」が、めっぽううまい。ニンニクのきいたタレが良いです。
 しかも、約600円ほどと安いので、私と娘はすっかりはまってしまいました。

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