SSブログ

丸かじりドン・キホーテ [17世紀文学]

 「丸かじりドン・キホーテ」 中丸明 (新潮文庫)


 「ドン・キホーテ」初心者が、長大な物語を手軽に味わうためのガイドマップです。
 物語のあらすじ、読み解くための13の鍵、セルバンテスの生涯の三章から成ります。


丸かじりドン・キホーテ (新潮文庫)

丸かじりドン・キホーテ (新潮文庫)

  • 作者: 中丸 明
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 文庫



 傑作スペイン文学「ドン・キホーテ」を、通して読んだ人は少ないのだそうです。
 風車に戦いを挑む場面が強烈すぎて、ばかばかしくて読む気をそがれるのだとか。

 なるほど、話は面白いのだが、岩波文庫で6冊あるとなると、ごちそうさまです。
 私は1冊目しか読んでいません。全巻を通して読むには、エネルギーが必要です。
 「ドン・キホーテ」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-01-13

 さて、本書「丸かじりドン・キホーテ」は、流れがよく見える抄訳になっています。
 細部を大胆に省略して、約280ページにまとめているので、とても気軽に読めます。

 この本のおかげで、「ドン・キホーテ」の全貌をだいたい知ることができました。
 意外だったことは、前半よりも後半の方が面白かった、ということです。

 「前半」の旅から帰ったドン・キホーテは、しばらく故郷で静養していました。
 しかしある学士から、自分の伝記が世に広まっていることを聞かされて・・・

 後半には、「ドン・キホーテ前編」を愛読しているという人物が続出しました。
 その代表格が公爵夫人でしょう。彼女は、評判の騎士を自分の城に招待して・・・

 この公爵夫人によって、サンチョ・パンサが島の太守を務めた場面は傑作です。
 仕立て屋と百姓の訴訟、豚飼いと女の訴訟と、たて続けに名判決を下しました。

 太守となったサンチョは冴えまくっていて、名言がポンポンと飛び出します。
 「考えても見なせ。人間、眠ってるあいだは、金持ちも貧乏人も同じだべ。」

 「悪徳領主になって地獄さおっこちるより、ただのサンチョ・パンサで天国さ
 行ったほーが、なんぼかマシだとおもうだ」

 サンチョが島を去る場面、特に騾馬に謝る場面は、ほろりとしてしまいます。
 サンチョは良い味を出してます。サンチョあっての「ドン・キホーテ」ですよ。

 「あのふたりはどうも、同じ鋳型から打ち出されたとしかおもえませんわい。
 主人の気ちがい沙汰も、家来の愚かさなしでは、まったくのところ、一文の
 値打ちもないんですからの。」

 解説によると、「丸かじりドン・キホーテ」の圧巻は、第Ⅱ章だと言います。
 「ドン・キホーテを読み解く13の鍵と題して、物語の背景を説明しています。

 レコンキスタ、異教徒、大航海時代、ペスト、郷士、ハプスブルク家・・・
 当時のスペイン事情が分かり、「ドン・キホーテ」の理解が深まります。

 かつて現代教養文庫から、「ドレ画ドン・キホーテ物語」が出ていました。
 その名の通り、「ドレ画」がメインで、ストーリーは絵の説明程度です。

 このドレの絵がまたすばらしい。文庫本で小さくて細かいのが難点ですが。
 ドン・キホーテとサンチョ・パンサのイメージが、この本で作られました。


ドン・キホーテ物語 (現代教養文庫)

ドン・キホーテ物語 (現代教養文庫)

  • 作者: セルバンテス
  • 出版社/メーカー: 社会思想社
  • 発売日: 1990/12
  • メディア: 文庫



 さいごに。(女子力高めグループが苦手)

 娘のクラスには、女子力の高い女子数人のグループがあるそうです。
 うちの娘は、そのグループの女子たちが苦手なのだそうです。

 彼女たちは、人に何か言われると、即座にかわいい反応をするのだとか。
 うちの娘はぼんやりしているので、そういう反応ができないと言います。

nice!(2)  コメント(2) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 2

サンフランシスコ人

「娘はぼんやりしているので、そういう反応ができない.....」

困りましたねぇ.....米国では、女にとって必要不可欠ですが....


by サンフランシスコ人 (2018-12-14 08:42) 

ike-pyon

米国では、うまくやっていけないかもしれません・・・
by ike-pyon (2018-12-20 06:43) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。