失楽園 ミルトン 1 [17世紀文学]
「失楽園 上」 ミルトン作 平井正穂訳 (岩波文庫)
「旧約聖書」の創世記をもとに、堕天使の逆襲と人間の楽園追放を描いた叙事詩です。
ミルトンは17世紀の清教徒革命時に政務を執り、不遇の晩年にこの傑作を残しました。
神との戦いに敗れ、地獄でのたうちまわっていたサタンが、再び立ち上がりました。
そして地獄の軍団に呼びかけます。自由のために戦い、あの世界を奪還しようと。
神を打ち負かすには、正面から立ち向かわずに、隠密裏に事を謀ろうではないか。
神から恩寵を受けている人間という種族の世界を、破壊してやろうではないか。
サタンはただひとり、偵察のため地獄の門を出て、人間どもの住む地球へ向かい・・・
よく言われることですが、サタンの行動が妙にカッコいいのです。
自分を襲う疑惑や恐怖に打ち勝ち、悪に徹しようとする姿は感動的ですらあります。
神を打ち倒すという不可能に対して、全力で立ち向かう姿は英雄的ですらあります。
もしかしたら、ミルトン自身がサタンに投影されているのではないでしょうか?
そう思えてしまうほど、サタンは人間的でリアルで、しかも理想的に描かれています。
清教徒革命時にミルトンは、クロムウェルのもとで長いこと政務を執っていましたが、
クロムウェルの死後、王政復古があり、失脚したミルトンは不遇の晩年を過ごします。
失意の日々の中で、彼は自身が悪魔となって降臨することを、想像したのではないか?
たとえば次のような文に、ミルトンの人間世界に対する絶望と怒りが表れています。
「恥を知れ、と私は言いたいのだ! 呪われた悪魔でさえも、
悪魔同士で固い一致団結を守っているのだ、それなのに、
生けるものの中で理性的な人間だけが、神の恩寵を受ける
希望が与えられているにもかかわらず、互いに反ゼイし合っている。
神が、地には平和あれ、と宣(のたも)うているにもかかわらず、互いに憎悪と
敵意と闘争の生活にあけくれ、残虐な戦争を起こしては
地上を荒廃させ、骨肉相食(は)んでいる始末だ。」(P82)
「失楽園」には、悪魔に魂を売り渡したくなるような、危険な魅力が潜んでいます。
「サタンがんばれ、神を倒せ!」と、悪魔を応援したくなるような、不健全な魅力が。
さて、岩波文庫版は初版が1981年です。比較的読みやすい訳だと思います。
また、それぞれの巻の最初に梗概が付いているので、とても助かっています。
さいごに。(夕食後に餅を食う?)
育ち盛り・食べ盛りの娘は、夕食直後に「おなかすいたー」と言い出しました。
そして、なんと、冷凍の餅を取り出し、オーブンで焼いて食べ始めたのです。
今はまだ小学校6年生ですが、食べる量では太刀打ちできなくなりました。
娘は最近、太るかと心配しています。そりゃ、この調子で食べたら太るでしょう。
「旧約聖書」の創世記をもとに、堕天使の逆襲と人間の楽園追放を描いた叙事詩です。
ミルトンは17世紀の清教徒革命時に政務を執り、不遇の晩年にこの傑作を残しました。
神との戦いに敗れ、地獄でのたうちまわっていたサタンが、再び立ち上がりました。
そして地獄の軍団に呼びかけます。自由のために戦い、あの世界を奪還しようと。
神を打ち負かすには、正面から立ち向かわずに、隠密裏に事を謀ろうではないか。
神から恩寵を受けている人間という種族の世界を、破壊してやろうではないか。
サタンはただひとり、偵察のため地獄の門を出て、人間どもの住む地球へ向かい・・・
よく言われることですが、サタンの行動が妙にカッコいいのです。
自分を襲う疑惑や恐怖に打ち勝ち、悪に徹しようとする姿は感動的ですらあります。
神を打ち倒すという不可能に対して、全力で立ち向かう姿は英雄的ですらあります。
もしかしたら、ミルトン自身がサタンに投影されているのではないでしょうか?
そう思えてしまうほど、サタンは人間的でリアルで、しかも理想的に描かれています。
清教徒革命時にミルトンは、クロムウェルのもとで長いこと政務を執っていましたが、
クロムウェルの死後、王政復古があり、失脚したミルトンは不遇の晩年を過ごします。
失意の日々の中で、彼は自身が悪魔となって降臨することを、想像したのではないか?
たとえば次のような文に、ミルトンの人間世界に対する絶望と怒りが表れています。
「恥を知れ、と私は言いたいのだ! 呪われた悪魔でさえも、
悪魔同士で固い一致団結を守っているのだ、それなのに、
生けるものの中で理性的な人間だけが、神の恩寵を受ける
希望が与えられているにもかかわらず、互いに反ゼイし合っている。
神が、地には平和あれ、と宣(のたも)うているにもかかわらず、互いに憎悪と
敵意と闘争の生活にあけくれ、残虐な戦争を起こしては
地上を荒廃させ、骨肉相食(は)んでいる始末だ。」(P82)
「失楽園」には、悪魔に魂を売り渡したくなるような、危険な魅力が潜んでいます。
「サタンがんばれ、神を倒せ!」と、悪魔を応援したくなるような、不健全な魅力が。
さて、岩波文庫版は初版が1981年です。比較的読みやすい訳だと思います。
また、それぞれの巻の最初に梗概が付いているので、とても助かっています。
さいごに。(夕食後に餅を食う?)
育ち盛り・食べ盛りの娘は、夕食直後に「おなかすいたー」と言い出しました。
そして、なんと、冷凍の餅を取り出し、オーブンで焼いて食べ始めたのです。
今はまだ小学校6年生ですが、食べる量では太刀打ちできなくなりました。
娘は最近、太るかと心配しています。そりゃ、この調子で食べたら太るでしょう。
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