ヴェニスの商人 [17世紀文学]
「新訳 ヴェニスの商人」 シェイクスピア作 河合祥一郎訳 (角川文庫)
友人のため体の肉1ポンドをかたに金を借りた、ヴェニスの商人をめぐる悲喜劇です。
シェイクスピアの中でも、とても人気のある作品で、金貸しシャイロックは有名です。
ヴェニスの貿易商アントーニオは、積荷満杯の船をいくつも行き来させていました。
友人のバサーニオは、貴婦人に求婚するため、アントーニオに金を借りに来ました。
全財産が海の上を漂うアントーニオは、ユダヤ人シャイロックに信用借りをします。
アントーニオの体の肉1ポンドをかたに、無利子で金を貸すという条件で・・・
この作品は基本的に、シャイロック=復讐の鬼であり、悪役として演じられました。
しかし、シャイロックの切実な訴えを読むと、彼こそ被害者だと、思えてきました。
「ユダヤ人には目がないのか? 手がないのか。内臓が、手足が、感覚が、愛情が、
喜怒哀楽がないとでもいうのか? キリスト教徒とどこが違う? 同じ食い物を食
い、同じ武器で傷つき、同じ病気に罹り、同じ薬で治り、冬も夏も同じように暑が
ったり寒がったりするじゃないか?」(P70)
実際19世紀になると、シャイロックを悲劇の主人公とすることもあったそうです。
キリスト教徒の偽善性を指摘した批評家が現れたりします。(「訳者あとがき」)
だいたい、アントーニオも良くないですよ。
バサーニオのような奴に、カネを貸すなんて。
バサーニオは、カネもないのに派手に暮らして、身代をつぶしてしまった男です。
しかも働いて稼ぐのではなく、金持ち女と結婚して、財産を作ろうとする男です。
1本の矢を失くしたら、同じ方向にもう1本の矢を放ち、2本とも見つけるのだ。
友人にカネを出させるため、そんなギャンブルみたいなことを平気で言う男です。
そりゃあ、シャイロックだって、カネを貸すのを渋るでしょう。
肉1ポンドの条件は、シャイロック流のアントーニオに対する警告だったのでは?
というように、私はシャイロック寄りの視点で、この劇を読み進めました。
娘が駆け落ちしたり、財産を没収されたり、シャイロックがかわいそうで・・・
さて、作品の冒頭付近には、アントーニオによる名言があります。
「世の中は世の中にすぎんよ、誰もが自分の役を演じる舞台だ。」
ところが、存分に自分の役を演じているのは、貴婦人ボーシャのように思えます。
後半部に入ると、主人公はボーシャか、とさえ思えてしまいます。
そういう意味で、いろんな楽しみ方ができる作品でした。
ただ、最後の指輪の場面は蛇足でしょう。裁判の終了とともに幕にするべきです。
さいごに。(河津桜は見ごろを過ぎました)
2月の中旬に見ごろを迎えた河津桜は、近所のお寺にも植えられています。
所々、葉が出て来ています。見ごろを少し過ぎたようです。
友人のため体の肉1ポンドをかたに金を借りた、ヴェニスの商人をめぐる悲喜劇です。
シェイクスピアの中でも、とても人気のある作品で、金貸しシャイロックは有名です。
ヴェニスの貿易商アントーニオは、積荷満杯の船をいくつも行き来させていました。
友人のバサーニオは、貴婦人に求婚するため、アントーニオに金を借りに来ました。
全財産が海の上を漂うアントーニオは、ユダヤ人シャイロックに信用借りをします。
アントーニオの体の肉1ポンドをかたに、無利子で金を貸すという条件で・・・
この作品は基本的に、シャイロック=復讐の鬼であり、悪役として演じられました。
しかし、シャイロックの切実な訴えを読むと、彼こそ被害者だと、思えてきました。
「ユダヤ人には目がないのか? 手がないのか。内臓が、手足が、感覚が、愛情が、
喜怒哀楽がないとでもいうのか? キリスト教徒とどこが違う? 同じ食い物を食
い、同じ武器で傷つき、同じ病気に罹り、同じ薬で治り、冬も夏も同じように暑が
ったり寒がったりするじゃないか?」(P70)
実際19世紀になると、シャイロックを悲劇の主人公とすることもあったそうです。
キリスト教徒の偽善性を指摘した批評家が現れたりします。(「訳者あとがき」)
だいたい、アントーニオも良くないですよ。
バサーニオのような奴に、カネを貸すなんて。
バサーニオは、カネもないのに派手に暮らして、身代をつぶしてしまった男です。
しかも働いて稼ぐのではなく、金持ち女と結婚して、財産を作ろうとする男です。
1本の矢を失くしたら、同じ方向にもう1本の矢を放ち、2本とも見つけるのだ。
友人にカネを出させるため、そんなギャンブルみたいなことを平気で言う男です。
そりゃあ、シャイロックだって、カネを貸すのを渋るでしょう。
肉1ポンドの条件は、シャイロック流のアントーニオに対する警告だったのでは?
というように、私はシャイロック寄りの視点で、この劇を読み進めました。
娘が駆け落ちしたり、財産を没収されたり、シャイロックがかわいそうで・・・
さて、作品の冒頭付近には、アントーニオによる名言があります。
「世の中は世の中にすぎんよ、誰もが自分の役を演じる舞台だ。」
ところが、存分に自分の役を演じているのは、貴婦人ボーシャのように思えます。
後半部に入ると、主人公はボーシャか、とさえ思えてしまいます。
そういう意味で、いろんな楽しみ方ができる作品でした。
ただ、最後の指輪の場面は蛇足でしょう。裁判の終了とともに幕にするべきです。
さいごに。(河津桜は見ごろを過ぎました)
2月の中旬に見ごろを迎えた河津桜は、近所のお寺にも植えられています。
所々、葉が出て来ています。見ごろを少し過ぎたようです。
「ヴェニスの商人」をニューヨークで観たことがあります...ダスティン・ホフマンがシャイロックを演じました...
by サンフランシスコ人 (2019-03-10 06:45)
ダスティン・ホフマンのシャイロック!
見たいですね。
by ike-pyon (2019-03-16 20:18)