ティラン・ロ・ブラン 4 [中世文学]
「ティラン・ロ・ブラン 4」 J・マルトゥレイ作 田澤耕訳 (岩波文庫)
騎士ティラン・ロ・ブランの愛と冒険を、写実的かつ現実的に描いた長編小説です。
2016年に岩波文庫から全四巻で出ました。その最終巻の第4巻です。
ティランは、北アフリカのモーロ人たちの間で、めきめきと頭角を現していきます。
アスカリアヌ王と友情を結び、計略をもってモーロ人の国々を征服していきました。
敵が穴を掘って城内に侵入するのを、ティランはどのように防いだか?
さまよう牛の群れを、ティランはどのようにして味方にしたか?
少ない味方を多く見せるため、ティランは女たちをどのように使ったか?
北アフリカのモーロ人を、ほとんど支配下に加えたあと、再会した意外な人物は?
第三巻のもやもやした展開から一転し、イケイケムードの展開で実に面白いです。
しかし、ギリシャ帝国に帰り、何もかもうまく運んだと思ったそのとき・・・
「今日、この素晴らしい大将殿が命を落とされるようなことがあったら、一体誰が
世界の騎士道を代表する者となるのだ!」(P52)
この言葉が第四巻を象徴しています。ティランの代わりなんていません。
甥のイポリトが後を継ぎますが、彼はただ老いた皇后と結婚しただけですよ。
ティランはまさに「騎士道を支えてきた騎士」です。4巻の帯にはこうあります。
「この騎士が死んでしまえば、この世の騎士道も死滅するであろう」
解説によるとティランのモデルは、14世紀の傭兵隊長ルジェ・ダ・フローとのこと。
「アルムガバルス」という傭兵隊を率いて、オスマントルコに抵抗したと言います。
この傭兵隊もめちゃくちゃ強くて、ギリシア帝国をトルコの脅威から救いました。
ところが、利用されるだけ利用されたあと、皇帝によってだまし討ちに遭ったとか。
さて、「ティラン・ロ・ブラン」が書かれたのは、1490年とのことです。
1453年にはコンスタンチノープルは陥落し、ギリシア帝国が滅亡していました。
オスマントルコの全盛期だったからこそ、このような小説が求められたのでしょう。
当時の読者は、物語の中に、古き良き騎士の時代を、虚しく夢見ていたのでしょう。
さいごに。(トルコ至宝展)
先日の家族旅行では、乃木坂の国立新美術館の「トルコ至宝展」に立ち寄りました。
吊るし飾りには、どでかいエメラルドが三つ。豪華さのスケールが違いました。
また、バラ水を入れる装飾付きの瓶など、騎士道小説でおなじみの物もありました。
バラ水は気付け薬で、物語では人が倒れるたびに、バラ水の瓶が持ち出されました。
騎士ティラン・ロ・ブランの愛と冒険を、写実的かつ現実的に描いた長編小説です。
2016年に岩波文庫から全四巻で出ました。その最終巻の第4巻です。
ティランは、北アフリカのモーロ人たちの間で、めきめきと頭角を現していきます。
アスカリアヌ王と友情を結び、計略をもってモーロ人の国々を征服していきました。
敵が穴を掘って城内に侵入するのを、ティランはどのように防いだか?
さまよう牛の群れを、ティランはどのようにして味方にしたか?
少ない味方を多く見せるため、ティランは女たちをどのように使ったか?
北アフリカのモーロ人を、ほとんど支配下に加えたあと、再会した意外な人物は?
第三巻のもやもやした展開から一転し、イケイケムードの展開で実に面白いです。
しかし、ギリシャ帝国に帰り、何もかもうまく運んだと思ったそのとき・・・
「今日、この素晴らしい大将殿が命を落とされるようなことがあったら、一体誰が
世界の騎士道を代表する者となるのだ!」(P52)
この言葉が第四巻を象徴しています。ティランの代わりなんていません。
甥のイポリトが後を継ぎますが、彼はただ老いた皇后と結婚しただけですよ。
ティランはまさに「騎士道を支えてきた騎士」です。4巻の帯にはこうあります。
「この騎士が死んでしまえば、この世の騎士道も死滅するであろう」
解説によるとティランのモデルは、14世紀の傭兵隊長ルジェ・ダ・フローとのこと。
「アルムガバルス」という傭兵隊を率いて、オスマントルコに抵抗したと言います。
この傭兵隊もめちゃくちゃ強くて、ギリシア帝国をトルコの脅威から救いました。
ところが、利用されるだけ利用されたあと、皇帝によってだまし討ちに遭ったとか。
さて、「ティラン・ロ・ブラン」が書かれたのは、1490年とのことです。
1453年にはコンスタンチノープルは陥落し、ギリシア帝国が滅亡していました。
オスマントルコの全盛期だったからこそ、このような小説が求められたのでしょう。
当時の読者は、物語の中に、古き良き騎士の時代を、虚しく夢見ていたのでしょう。
さいごに。(トルコ至宝展)
先日の家族旅行では、乃木坂の国立新美術館の「トルコ至宝展」に立ち寄りました。
吊るし飾りには、どでかいエメラルドが三つ。豪華さのスケールが違いました。
また、バラ水を入れる装飾付きの瓶など、騎士道小説でおなじみの物もありました。
バラ水は気付け薬で、物語では人が倒れるたびに、バラ水の瓶が持ち出されました。
コメント 0