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今昔物語集2 [日本の古典文学]

 「今昔物語」 福永武彦訳 (ちくま文庫)


 怪異譚、滑稽譚、人情譚等、あらゆる話を収録した、平安末期成立の説話集です。
 私は、本朝篇から155話を抄録したちくま文庫版で読みました。訳者は福永武彦。


今昔物語 (ちくま文庫)

今昔物語 (ちくま文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1991/10/24
  • メディア: 文庫



 ちくま文庫「今昔物語」後半は、滑稽・悪行・人情・奇譚・仏法・・・と続きます。
 特に悪行は本書のクライマックスで、どこかで聞いたことのある話も多いです。

 「谷底に落ちても平茸(ひらたけ)を取る話」 「鼻を持ち上げて朝粥を食う話」
 「異端の術で瓜を盗まれる話」        「何者とも知れぬ女盗賊の話」
 「羅城門の楼上で死人を見る話」       「大江山の藪の中で起こった話」
 「太刀帯(たてわき)の陣で魚を売る女の話」 「近江の国に婢となった女の話」
 「信濃の国にあった姥捨山の話」       「死んでも舌が残った僧の話」
 「女の執念が凝って蛇となる話」       「京の町で百鬼夜行にあう話」

 最も印象に残ったのは、「丹波の守が胎児の生き胆(ぎも)を取る話」です。
 平貞盛が丹波の守だったとき、悪い病気に罹ったため、医者に診断させました。

 医者が言うには、「これは命にかかわる病で、胎児の生き胆を薬とするしかない」。
 貞盛が、子の維衡に言うには、「お前の妻の腹の子を、おれにくれ」。(!)

 いくら親子だって、それはないでしょう。で、維衡は災難をどのように防いだのか?
 また、そののち医者にふりかかった災難を、維衡はどのように防いだのか?

 最も面白かったのは、「平中物語」で有名な「平中が本院の侍従に恋する話」です。
 平中は「侍従の君」に恋い焦がれ、彼女の部屋に忍んで行きましたが・・・

 痛い目にあった平中が、侍従の君を思いきるために案じた一計とは?
 しかし、そのはこの中のう〇こは、何とも言えない良い匂いがして・・・

 なお、う〇こネタなら「越前の守為盛が謀をめぐらす話」も面白いです。
 6月の暑い日、役人たちが越前の守の屋敷に、量米の取り立てに行きました。

 門の中に通されると、そこには塩辛い料理ばかりがたくさん並べられていました。
 出された酒は、少し濁って酸っぱかったが、のどの渇きに何杯も飲むうちに・・・

 「近江の国に婢(ひ)となった女の話」も、忘れられない話です。
 両親が亡くなり、残された女は、夫を養うことができず、別れることにしました。

 やがて落ちぶれた女は、ある男に見初められて、近江の国に連れて行かれました。
 数年後、そこに赴任した新しい国の守とは・・・本書の中で最も泣ける話でした。

 さて、ちくま文庫版「今昔物語」は、全体の2割弱の155話を採録しています。
 最初はこのくらいがちょうどいいと思っていましたが、今ではもの足りないです。

 その最大の理由は、源博雅と蝉丸の伝説が、ここには収録されていないからです。
 いつか時間がたっぷりできたなら、講談社学術文庫版の全2巻に挑戦したいです。

 さいごに。(10連休に旅行?どこの国の話?)

 毎年ゴールデンウィークの最後の3日間には、大事な出張が入っています。
 その準備をするため、ゴールデンウィークは、ほとんど休むことができません。

 すでに10日間のうち9日間が仕事で、唯一の4/29の休みを必死で死守しています。
 巷では「10連休に旅行」とか言ってますが・・・

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