夕暮まで [日本の近代文学]
「夕暮まで」 吉行淳之介 (新潮文庫)
処女にこだわる若い杉子との交際を軸に、中年男佐々のけだるい生活を描いています。
七章からなる連作小説で、1978年に出て話題となり、1980年には映画化されました。
40過ぎで、妻と中学生の娘を持つ佐々は、杉子という若い女性と付き合っています。
杉子は、処女性にこだわっていて、ホテルでは最後の一線だけを許そうとしません。
杉子との交際が1年半ほどになったとき、彼女の周りに若い男の影がちらつき・・・
そしてあるとき杉子は・・・
正直に言って私には、やや難解な小説でした。よく分からない部分がありました。
第一、杉子との性行為の描写があるのに、処女というのはどういうことなのか?
「杉子は仰向けになって、全身を真直ぐに伸ばしている。
両脚が堅く合さって、横腹にはそれぞれ左右の腕が貼りついたようになっている。
強く締め合せた腿の付根の窪みに、オリーブオイルを滴らせ、佐々は覆いかぶさって
ゆく。」(P40)
要するにこれは、風俗で言う「スマタ」というやつです。
刊行当時、「スマタ」で終わらせる設定が、話題となったのだそうです。
杉子がそこにこだわるのは、処女であることが大事な武器だと考えているからです。
そしてこの状況は、家庭のある佐々にとっても、心地よいものだったのではないか。
逆に、佐々にとって一番怖いのは、杉子の次のような一言だったのではないか。
「佐々さん、あたしと結婚することはできないの」(P87)
杉子が一線を許さなかったのは、佐々に無理やり奪ってほしかったからではないのか?
だから、わざと若い男といちゃついたり、佐々を挑発したりしたのではないか?
しかし、佐々は決して杉子とそのことで、向き合おうとしませんでした。
だから絶望した杉子は、あのような行動を取ったのではないのか?
私自身もこの小説を読んで、佐々という男の生き方に、いらだちを覚えました。
男は、特に父親は、こんなふうになっちゃダメですよ。もっと家庭を大事にしろ!
佐々にはほかにも、みえ子、祐子、園子などの女がいました。
でも、どうして不倫に走ってしまうのか描かれていないので、共感できませんでした。
不倫は、自分も含めて、誰も幸せにしません。ただただ虚しいだけです。
ということを、私を含めて世の男たちに分からせたことが、この作品の美点でしょう。
私のとって「夕暮まで」は、けだるくてむなしいエロ小説でしかありませんでした。
吉行淳之介の代表作は、やはり娼婦小説かなあ。
「原色の街・驟雨」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2020-12-21
さいごに。(私の株が一瞬上がる)
家の中に蜘蛛が出ました。娘のてのひらぐらいある大きな蜘蛛です。
それをつかまえて、庭に放しました。そのときだけ、「さすがパパ」と言われました。
処女にこだわる若い杉子との交際を軸に、中年男佐々のけだるい生活を描いています。
七章からなる連作小説で、1978年に出て話題となり、1980年には映画化されました。
40過ぎで、妻と中学生の娘を持つ佐々は、杉子という若い女性と付き合っています。
杉子は、処女性にこだわっていて、ホテルでは最後の一線だけを許そうとしません。
杉子との交際が1年半ほどになったとき、彼女の周りに若い男の影がちらつき・・・
そしてあるとき杉子は・・・
正直に言って私には、やや難解な小説でした。よく分からない部分がありました。
第一、杉子との性行為の描写があるのに、処女というのはどういうことなのか?
「杉子は仰向けになって、全身を真直ぐに伸ばしている。
両脚が堅く合さって、横腹にはそれぞれ左右の腕が貼りついたようになっている。
強く締め合せた腿の付根の窪みに、オリーブオイルを滴らせ、佐々は覆いかぶさって
ゆく。」(P40)
要するにこれは、風俗で言う「スマタ」というやつです。
刊行当時、「スマタ」で終わらせる設定が、話題となったのだそうです。
杉子がそこにこだわるのは、処女であることが大事な武器だと考えているからです。
そしてこの状況は、家庭のある佐々にとっても、心地よいものだったのではないか。
逆に、佐々にとって一番怖いのは、杉子の次のような一言だったのではないか。
「佐々さん、あたしと結婚することはできないの」(P87)
杉子が一線を許さなかったのは、佐々に無理やり奪ってほしかったからではないのか?
だから、わざと若い男といちゃついたり、佐々を挑発したりしたのではないか?
しかし、佐々は決して杉子とそのことで、向き合おうとしませんでした。
だから絶望した杉子は、あのような行動を取ったのではないのか?
私自身もこの小説を読んで、佐々という男の生き方に、いらだちを覚えました。
男は、特に父親は、こんなふうになっちゃダメですよ。もっと家庭を大事にしろ!
佐々にはほかにも、みえ子、祐子、園子などの女がいました。
でも、どうして不倫に走ってしまうのか描かれていないので、共感できませんでした。
不倫は、自分も含めて、誰も幸せにしません。ただただ虚しいだけです。
ということを、私を含めて世の男たちに分からせたことが、この作品の美点でしょう。
私のとって「夕暮まで」は、けだるくてむなしいエロ小説でしかありませんでした。
吉行淳之介の代表作は、やはり娼婦小説かなあ。
「原色の街・驟雨」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2020-12-21
さいごに。(私の株が一瞬上がる)
家の中に蜘蛛が出ました。娘のてのひらぐらいある大きな蜘蛛です。
それをつかまえて、庭に放しました。そのときだけ、「さすがパパ」と言われました。
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