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時のロスト・ワールド [20世紀アメリカ文学]

 「透明惑星危機一髪 / 時のロスト・ワールド キャプテン・フューチャー全集4」
 エドモンド・ハミルトン作 野田昌宏訳 (創元SF文庫)


 フューチャーメンが宇宙を舞台に冒険する、スペース・オペラの全集の第四弾です。
 「時のロスト・ワールド」は、シリーズ中の最高傑作との呼び声が高い作品です。


透明惑星危機一髪!/時のロスト・ワールド <キャプテン・フューチャー全集4> (創元SF文庫)

透明惑星危機一髪!/時のロスト・ワールド <キャプテン・フューチャー全集4> (創元SF文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2004/12/18
  • メディア: 文庫



 「星を継ぐもの」全三巻を読んで、思い出した作品が「時のロスト・ワールド」です。
 この物語でも、小惑星の起源や人類の起源など、さまざまな謎が解明されます。

 物語は、月のフューチャーメンの基地に、1人の男が降り立つところから始まります。
 男は、小惑星221で助けを求める声を聞いたと言います。それも1億年前からの声です。

 キャプテン・フューチャーは気付きました。惑星カタインからの救援のメッセージだと。
 あるカタイン人が「時搬送ビーム」で、「電磁・精神信号」を現在に送ってきたのです。

 カタインはかつて火星と木星の間にあった惑星で、崩壊して小惑星となっていました。
 フューチャーメンは、開発した「航時推進機」で、1億年前の太陽系へ旅立って・・・

 カタイン人は、いかにして危機を回避しようとしていたのか?
 カタインを救うためのウランを、フューチャーメンはどのように手に入れたのか?

 「原子中の電子の軌道速度というものは、時間の経過速度を制御しているんだ。(中
 略)もし電子の速度をはやめてやれば、その物体の時間は未来へどんどん進んでいく。
 電子の運動方向を逆にしてやれば、時間の流れに抗して過去へとむかうことができるん
 だ。」(P295)

 「ほんまかいな?」と突っ込みたくなるけど、それは私が年をとってしまった証拠です。
 中学生の頃、初めて読んだときには、その発想に感動して、涙が出そうになりました。

 しかもフューチャーメンは、太古の地球に降りたって、恐竜の世界を探検するのです。
 恐竜好きの私には、たまらない展開でした。

 さらにそこには人類がいて、彼らの言う「古きものの地」とは、崩壊した都市でした。
 そして彼らは、白鳥座のデネブ星を拝んでいました。ムー的好奇心が刺激されます。

 17章以降の太陽系の誕生の場面は、本当にすばらしいです。様々な謎も解明されます。
 何百隻にも及ぶ宇宙船が、デネブの方角からやってきて・・・

 さて、この「時のロスト・ワールド」では、時間の壁を超えました。
 第4巻に同時収録の「透明惑星危機一髪!」もまた、次元を超える壮大な物語です。

 冥王星の衛星ケルベルスの監獄から、火星の魔術師ウル・クォルンが脱獄しました。
 何も無いところから宇宙船が現れ、クォルンを乗せて突然消えてしまったのです。

 その後、不思議な盗難事件が相次ぎます。窃盗団は人々の前から突然消失するのです。
 彼らは異次元へ転移したのか? クォルンらは異次元で何を企んでいるのか?・・・

 さて「時のロスト・ワールド」と並び、傑作だと思うのは「輝く星々のかなたへ!」。
 「キャプテン・フューチャー全集」の第5巻に入っています。


輝く星々のかなたへ!/月世界の無法者 <キャプテン・フューチャー全集5> (創元SF文庫)

輝く星々のかなたへ!/月世界の無法者 <キャプテン・フューチャー全集5> (創元SF文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2005/02/11
  • メディア: 文庫



 さいごに。(7月発売の気になる文庫本)

・7/15 「世界の神話入門」 呉茂一 (講談社学術文庫)
 → かつて講談社現代新書から出ていた名著。世界神話の入門書。買い。 

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