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七瀬ふたたび [日本の現代文学]

 「七瀬ふたたび」 筒井康隆 (新潮文庫)


 テレパスの七瀬が、他の超能力者たちとともに、謎の暗黒組織と闘う物語です。
 1975年刊行。「家族八景」に次ぐ七瀬三部作の第2巻で、ドラマ化されました。


七瀬ふたたび (新潮文庫)

七瀬ふたたび (新潮文庫)

  • 作者: 筒井 康隆
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1978/12/22
  • メディア: 文庫



 家政婦を辞めた七瀬は、ひとり旅の列車の中で、突然崖崩れの思念を感じました。
 それは、恒夫という青年の意識でした。彼には予知能力があったのです。

 七瀬はその列車の中で初めて、自分の意識を他人に覗かれるという経験をしました。
 それは、ノリオという3歳児によるもので、彼もテレパス能力を持っていたのです。

 命拾いした七瀬は恒夫と別れて、孤児となったノリオと生活するようになりました。
 彼女はこの事件ののち、透視能力者、念動力者、時間遡行者らと知り合いました。

 やがて七瀬は、超能力者としての役割や使命を、真剣に考えるようになります。
 なぜテレパスは出現したのか? 人類史において果たす役割があるのではないか?

 そこへ、超能力者を抹殺しようとする謎の組織が現れ、七瀬たちに襲いかかります。
 彼らは普通人でありながら、特殊な訓練を積んで読心能力を身に付けていて・・・

 「七瀬ふたたび」はバリバリのSF小説であり、期待通りハラハラする展開でした。
 特に、謎の暗黒組織が登場し、彼らと対決するようになってからが面白かったです。

 しかし、結末には満足できませんでした!
 七瀬がいかにしてピンチを脱するのかと、ワクワクしながら読んでいたのですが・・・

 クライマックスでプツリと終わってしまったような、とても物足りない結末でした。
 しかも、救いがありません。こういう終わり方はないでしょう。

 また、敵対する組織がどういう連中だったのか、ほとんど明かされないままでした。
 七瀬らはどんな組織と闘っていたのか? 敵の真の目的は何だったのか?

 私はこう考えていました。敵の組織のトップには、超能力者がいるのだろうと。
 超能力を独占して世界征服を狙っているため、他の超能力者を抹殺したいのだと。

 この物語の背景には、そのような壮大な世界観があるのだろうと。
 そんなふうに勝手に想像していたため、読後、若干の失望がありました。

 この本で、もうひとつ満足できなかったのが、カバーイラストです。
 美しき超能力者である七瀬の魅力が、まったく表現されていません。

 「おもいでエマノン」のようなカバーイラストにできなかったのでしょうか。
 「おもいでエマノン」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2017-04-02

 七瀬シリーズ第三巻「エディプスの恋人」では、まったく違う展開になるようです。
 読むかよそうか、迷うところです。


エディプスの恋人 (新潮文庫)

エディプスの恋人 (新潮文庫)

  • 作者: 康隆, 筒井
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1981/09/29
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ゆったりシルエットが苦手)

 最近ファッション界では、ゆったりシルエットがトレンドになってきました。
 私は苦手です。55歳にもなると、ゆったりした服はだらしなく見えるだけなので。

 サイズ感も大違い。身長174㎝の私は、普段Mサイズでぴったりなのですが・・・
 アディダスのパーカーはMがぶかぶかだったので、なんとSサイズを買いました。

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