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ロートレック荘事件 [日本の現代文学]

 「ロートレック荘事件」 筒井康隆 (新潮文庫)

 【注意! ネタばれがあります】


 ロートレック荘と呼ばれる別荘で起こった、連続殺人事件を解明する推理小説です。
 1990年に刊行されました。叙述の仕方に特徴があり、仕掛けには賛否両論あります。


ロートレック荘事件(新潮文庫)

ロートレック荘事件(新潮文庫)

  • 作者: 筒井康隆
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/08/10
  • メディア: Kindle版



 「おれ」は8歳の時、一緒に遊んでいたいとこの重樹にけがをさせてしまいました。
 それ以後「おれ」は、下半身が成長しなくなった重樹を、常に支え続けてきました。

 あるとき「おれ」と重樹たちは、会社経営者の木内氏の別荘に招待されました。
 別荘はロートレックのコレクションがあるため、ロートレック荘と呼ばれています。

 そこでは、木内夫妻と娘の典子ほか、典子の友人である二人の少女たちがいました。
 そして木内氏は、24歳になった娘の典子を、「おれ」に嫁がせたいようなのです。

 しかし「おれ」は、典子の友人の寛子が好きで、二人は結婚の約束を交わしました。
 翌朝早く、台所で木内氏と「おれ」が話をしているとき、二発の銃声がして・・・

 さて、物語の第二章から、どことなく違和感を覚えますが、それがよく分かりません。
 第三章でさらに違和感が増しますが、やはりよく分からなくて戸惑ってしまいました。

 そこで、もう一度最初から読み直してみて、ようやく頭を整理することができました。
 しかし皆さんには、読み直すことを勧めません。違和感を持ったまま読んでほしい。

 というのも、この違和感こそが、この作品の命だからです。
 人物関係を整理してしまうと、犯人もトリックも早々に分かってしまいます。

 私は最初、人物関係がとても分かりにくいので、「下手な書き方」だと思いました。
 しかし、そうではないのです。その分かりにくさこそ、「上手い書き方」なのです。

 ややネタバレになりますが、第二章で私が「あれ?」と思った点を述べてみます。
 それは、ロートレック荘には3人の少女たちがいるのに、男が2人しかいないこと。

 若いころ、合コンをやるとき、女性が余るような設定はありえませんでした。(笑)
 だから、もうひとり読み落としたのではないかと考え、私は読み直しました。

 すると、自分の読み違いに気づき、3人目が分かったのです。
 第一章の語り手「おれ」と第二章の「おれ」と第三章の「おれ」は、それぞれ・・・

 ロートレックのイメージが、次のような連想をさせますが、これまたクセモノです。
 「ロートレック = 下半身が不自由な画家 = 浜田画伯 = 重樹」・・・

 とはいえ、作者がやろうとしたことは、他にはない推理トリックだと思いました。
 そういう意味で、読んでおいて損はない作品です。

 さいごに。(パウダー250%)

 腎機能障害となったので、医者に減塩を強く勧められました。
 そこで初めにやったことは「ハッピーターン パウダー250%」をやめることです。

 これまではやや中毒気味で、コンビニに入ると必ず2~3袋ずつ買っていました。
 でも、もう買っていません。がんばれば克服できるものなのですね。

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