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デューン 砂の惑星1 [20世紀アメリカ文学]

 「デューン 砂の惑星(上)」フランク・ハーバート作 酒井昭伸訳(ハヤカワ文庫)


 砂の惑星アラキスに移ったアトレイデス家と、ハルコンネン家との闘いの物語です。
 1965年刊。のちにシリーズ化しました。今回は上巻「第一部 砂の惑星」の紹介です。


デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (上) (ハヤカワ文庫SF)

デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (上) (ハヤカワ文庫SF)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/01/22
  • メディア: 文庫



 ポールは、ベネ・ゲセリット(教団)である母から、特別な教育を授けられました。
 15歳の時に教母による試練に耐えて、特別な存在ではないかと期待されています。

 父アトレイデス公爵は、皇帝の命令で、砂の惑星アラキスに移ることとなりました。
 そこは乾燥して砂漠が広がる荒涼とした地で、貴重な香料メラジンの産地でした。

 前の支配者は宿敵ハルコンネン男爵で、メラジンの利権で私腹を肥やしていました。
 アラキスを手放す気のない男爵は、公爵を破滅させるため巧妙な罠を仕掛けました。

 危険を承知しながらも、アトレイデス公爵家の一族は、砂の惑星に乗り込みました。
 メンタート(演算能力者)のハワトは、あらゆる危険を計算に入れ防備に努めます。

 屋敷の中でポールの命が狙われ、内部に裏切り者がいることが確実となりました。
 怪しいのは医師のユエですが、彼は裏切ることができない条件付けがされています。

 敵の策略もあって、ハワトはポールの母であるジェシカを疑うようになり・・・
 そしてある夜中、シールドが解除されると、あっという間に館は制圧されて・・・

 医師ユエは敵を殺めるため、アトレイデス公爵にどのような仕掛けを施したか?
 ポールと母ジェシカは、どのようにして生き延びることができたのか?

 とにかく面白いです。これまで読まなかったことが悔やまれます。
 この作品は、「20世紀アメリカ文学のベスト40」に入れるべきでした!

 それぞれの章の前に、「ムアッディブを知る」など後世の著作の引用があります。
 その内容がネタバレなので、読者には次の展開が嫌でも分かるようになっています。

 たとえば、ポールはのちにムアッディブと呼ばれる歴史的な人物となっています。
 だからポールが生き残ることが分かっているので、安心して読み進められます。

 そういう意味で、これはSF小説よりも、歴史小説に似ているかもしれません。
 生き残るかどうかよりも、いかにして生き残るのかが、興味深く語られています。

 私にとってもっとも興味深かったのは、この小説の世界です。
 時代は遠い未来ですが、人類は一度、AIとの全面戦争をしていたのです。

 AIに勝るため、ベネ・ゲセリットは精神性を高める訓練を何世紀も積みました。
 そして、ポール・アトレイデスが、待ち望んでいた特別な存在ではないかと・・・

 「ぼくには先々を見通す力がある。常人には見えない地平が見える。起こりうる未
 来への、さまざまな道程が見える」(P464)

 この上巻が、映画のパート1とほぼ重なるようです。
 そして中巻は、ポールの修行時代。いったいどうなるか? 次も楽しみです。

 さいごに。(映画も見てみたい)

 2年前に「デューン 砂の惑星」が上映されたときは、スルーしていました。
 しかし、今回その予告編を見て、絶対見てみたいと思いました。レンタルで。



 なんと、続編もすでに作られているのですね。
 ぜひ見たいです。今度はぜひ映画館で。



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