愉しき放浪児 [19世紀ドイツ北欧文学]
「改訳 愉しき放浪児」 アイヒェンドルフ作 関泰祐訳 (岩波文庫)
バイオリン片手に運試しの旅に出たのらくら者の、恋と冒険の物語です。
ドイツロマン主義作家アイヒェンドルフの代表作です。
「改訳」とありますが、騙されてはいけません。1952年の訳です。
もとの訳はなんと1938年。しかも旧字体。読みにくかったです。
ある朝、寝坊して父に叱られた「ぼく」は、バイオリン片手に旅に出ました。
道を歩いて歌っていると、二人の美しい令嬢に気に入られました。
彼女たちの馬車の荷台に乘って、ウィーンの大きな屋敷にやってきました。
「ぼく」は美しい令嬢が忘れられず・・・いったい彼女は何者だったのか?
今度はイタリア目指して歩いていると、二人の画家に気に入られました。
しかし二人は失踪して・・・いったい彼らは何者だったのか?
というように、様々な謎が重なって、もやもやしたまま物語は進行します。
そして謎は、最後の第10章で、すべて明かされるのですが・・・
恥を忍んで打ち明けますが、私にはこの種明かしがよく分かりませんでした。
第10章を何度読んでも、人物の関係がのみこめませんでした。
巻末の「解説」を読んで、ようやく分かってきました。
文章も分かりにくいし、話の筋もつかみにくかったです。
さらに、根本的な違和感がありました。
それは、主人公に対する、次のような違和感です。
怠け者が、いいかげんに暮らしていたため、転落していくのなら話は分かります。
怠け者が、いいかげんに暮らしていながら、とんとん拍子にいってしまうとは!
主人公同様、作者もまたノウテンキだったのではないか、と思ってしまいました。
全体的に、ファンタジーっぽい作品でした。
さて、この作品は先月岩波文庫から復刊されたばかりです。買うなら今でしょう。
ほかに、「聖アントワヌの誘惑」「贋金つくり」などを、私は購入しました。
さいごに。(オトキソ新シリーズ)
4月から、「大人の基礎英語」の新シリーズが始まります。楽しみです。
舞台はサイパン。主人公は新たに野村佑香。今回も期待が持てます。
バイオリン片手に運試しの旅に出たのらくら者の、恋と冒険の物語です。
ドイツロマン主義作家アイヒェンドルフの代表作です。
「改訳」とありますが、騙されてはいけません。1952年の訳です。
もとの訳はなんと1938年。しかも旧字体。読みにくかったです。
ある朝、寝坊して父に叱られた「ぼく」は、バイオリン片手に旅に出ました。
道を歩いて歌っていると、二人の美しい令嬢に気に入られました。
彼女たちの馬車の荷台に乘って、ウィーンの大きな屋敷にやってきました。
「ぼく」は美しい令嬢が忘れられず・・・いったい彼女は何者だったのか?
今度はイタリア目指して歩いていると、二人の画家に気に入られました。
しかし二人は失踪して・・・いったい彼らは何者だったのか?
というように、様々な謎が重なって、もやもやしたまま物語は進行します。
そして謎は、最後の第10章で、すべて明かされるのですが・・・
恥を忍んで打ち明けますが、私にはこの種明かしがよく分かりませんでした。
第10章を何度読んでも、人物の関係がのみこめませんでした。
巻末の「解説」を読んで、ようやく分かってきました。
文章も分かりにくいし、話の筋もつかみにくかったです。
さらに、根本的な違和感がありました。
それは、主人公に対する、次のような違和感です。
怠け者が、いいかげんに暮らしていたため、転落していくのなら話は分かります。
怠け者が、いいかげんに暮らしていながら、とんとん拍子にいってしまうとは!
主人公同様、作者もまたノウテンキだったのではないか、と思ってしまいました。
全体的に、ファンタジーっぽい作品でした。
さて、この作品は先月岩波文庫から復刊されたばかりです。買うなら今でしょう。
ほかに、「聖アントワヌの誘惑」「贋金つくり」などを、私は購入しました。
さいごに。(オトキソ新シリーズ)
4月から、「大人の基礎英語」の新シリーズが始まります。楽しみです。
舞台はサイパン。主人公は新たに野村佑香。今回も期待が持てます。
村のロメオとユリア [19世紀ドイツ北欧文学]
「村のロメオとユリア」 ケラー作 草間平作訳 (岩波文庫)
お互いに敵として争う農夫を父に持つ、ある青年と少女の悲恋の物語です。
「緑のハインリヒ」で有名なケラーの、短編小説の傑作です。
岩波文庫から7月に復刊されたばかりです。
初訳はなんと大正7年。改訳はされていますが、古くて読みにくいです。
ある村に2人の働き者の農夫がいました。
一方には男の子、一方には女の子がいて、小さい頃は仲良く遊んでいました。
しかし、2人の農夫は訴訟で争うようになると、没落の一途をたどりました。
男の子と女の子は敵同士となり、会うことさえできなくなりました。
子供たちが偶然再会したとき、すでに2人は美しい男女に成長していました。
2人は恋に落ちましたが、父親同士は醜い争いを続けていて・・・
「ロミオとジュリエット」のような、悲劇的な結末は覚悟していました。
しかし、あんなふうに、破滅に向かって行進していくことはなかった。
「哀れな若者たちは、彼らに許されたこの一日の間に、愛のあらゆる形式と気分
とを経験し、惜しくも失われた青春の日を取り返さねばならなかったばかりでは
なく、なお命をささげてこの情熱の結末をも先取りせねばならなかった」(P96)
わずか1日の中に全生涯をささげるという生き方は、確かに魅力的です。
しかし、死んだら意味がないだろ、と私は思ってしまう。
さて、ケラーといったら、やはり「緑のハインリヒ」でしょう。
この傑作が、岩波文庫でずっと品切れ状態。新訳化を強く望む!
ところで、岩波版「緑のハインリヒ」は、新版でしょうか、旧版でしょうか。
ケラー自身が、新旧二つのバージョンを作ったのですが、結末が全く違うのです。
さいごに。(セミ取り)
娘と、向かいの公園でセミ取りをしました。
私の収穫は0.しかし娘は、自力で2匹捕まえました。
お互いに敵として争う農夫を父に持つ、ある青年と少女の悲恋の物語です。
「緑のハインリヒ」で有名なケラーの、短編小説の傑作です。
岩波文庫から7月に復刊されたばかりです。
初訳はなんと大正7年。改訳はされていますが、古くて読みにくいです。
ある村に2人の働き者の農夫がいました。
一方には男の子、一方には女の子がいて、小さい頃は仲良く遊んでいました。
しかし、2人の農夫は訴訟で争うようになると、没落の一途をたどりました。
男の子と女の子は敵同士となり、会うことさえできなくなりました。
子供たちが偶然再会したとき、すでに2人は美しい男女に成長していました。
2人は恋に落ちましたが、父親同士は醜い争いを続けていて・・・
「ロミオとジュリエット」のような、悲劇的な結末は覚悟していました。
しかし、あんなふうに、破滅に向かって行進していくことはなかった。
「哀れな若者たちは、彼らに許されたこの一日の間に、愛のあらゆる形式と気分
とを経験し、惜しくも失われた青春の日を取り返さねばならなかったばかりでは
なく、なお命をささげてこの情熱の結末をも先取りせねばならなかった」(P96)
わずか1日の中に全生涯をささげるという生き方は、確かに魅力的です。
しかし、死んだら意味がないだろ、と私は思ってしまう。
さて、ケラーといったら、やはり「緑のハインリヒ」でしょう。
この傑作が、岩波文庫でずっと品切れ状態。新訳化を強く望む!
ところで、岩波版「緑のハインリヒ」は、新版でしょうか、旧版でしょうか。
ケラー自身が、新旧二つのバージョンを作ったのですが、結末が全く違うのです。
さいごに。(セミ取り)
娘と、向かいの公園でセミ取りをしました。
私の収穫は0.しかし娘は、自力で2匹捕まえました。
19世紀ドイツ文学のベスト20を選びました(2) [19世紀ドイツ北欧文学]
こんな「 文学全集 第Ⅳ集 19世紀ドイツ編 」を作りたい!
前回、「 文学全集 第Ⅳ集 19世紀ドイツ北欧編 」を、暫定的に作りました。
「暫定的」といったのは、前回のラインナップが、少ししょぼかったから。
では、19世紀の「ドイツ文学」で、ベスト20を選ぶとしたらどうなるのか?
品切れのため自分が読んでいない(内容は知っている)本を含めて、選びました。
今回は、文句なしの傑作ぞろいです。
ただし、品切れの本や、訳が古い本ばかりになってしまいました。
タイトルの◎は、前回のベスト20に入っている本です。
1 ◎「青い花」 ノヴァーリス (1802)
→ ドイツロマン主義の大傑作。岩波で購入可。
2 「ヴィルヘルム・テル」 シラー (1804)
→ シラーの戯曲の大傑作。わが子の頭上のりんごを射る話。品切れ。
3 「こわれがめ」 クライスト (1808)
→ ドイツ喜劇の大傑作。品切れ。
4 ◎「親和力」 ゲーテ (1809)
→ ゲーテ晩年の大傑作。講談社文芸文庫で購入可。
5 「悪魔の霊液」 ホフマン (1815)
→ ドイツロマン主義の世界的名作。品切れ。
6 「サッポー」 グリルパルツァー (1818)
→ オーストリア最大の劇作家による最高傑作。品切れ。
7 「愉しい放蕩児」 アイヒェンドルフ (1826)
→ 愉快な長編小説の大傑作。品切れ。
8 ◎「ファウスト 1・2」 ゲーテ (1808)(1832)
→ 問答無用の世界的な名作。集英社・岩波・新潮などで購入可。
9 「画家ノルテン」 メーリケ (1832)
→ ドイツ教養小説の大傑作。品切れ。
10 ◎「ダントンの死」 ビューヒナー (1835)
→ ドイツ文学史で決して外せない戯曲の大傑作。岩波で購入可。
11 「ニーベルンゲンの指輪」 ヴァーグナー (1853)
→ 歌劇の帝王による最大の歌劇。品切れ。
12 「ギューゲスとその指輪」 ヘッベル (1856)
→ ドイツ最大の劇作家による最高傑作。品切れ。
13 ◎「晩夏」 シュティフター (1857)
→ ドイツ教養小説の大傑作。ちくまで購入可。
14 「ユルク・イェナッチェ」 C・F・マイヤー (1876)
→ 当時一世を風靡した大傑作。品切れ。
15 「緑のハインリヒ」 ケラー (1879)
→ ドイツ教養小説の大傑作。品切れ。
16 「白馬の騎手」 シュトルム (1888)
→ 「みずうみ」で有名な作者の晩年の最高傑作。品切れ。
17 「職工」 ハウプトマン (1892)
→ 当時一世を風靡した社会劇の大傑作。品切れ。
18 ◎「罪なき罪(エフィ・ブリースト)」 フォンターネ (1895)
→ 社会小説の大傑作。岩波で購入可だが、訳が古すぎる。
19 「地霊」 ヴェーデキント (1895)
→ 性を描いた悲劇の大傑作。品切れ。
20 「輪舞」 シュニッツラー (1900)
→ ユーモラスな戯曲の大傑作。品切れ。
以上、20作中14作が、品切れ状態という悲しさ!
今後「罪なき罪」も品切れになるだろうから、ますます不便になるでしょう。
きっと売れないのだろうが、こういう作品が常に手に入るようになってほしい。
実は、ベスト20に入れたかった作品が、ほかにもたくさんあります。
たとえば・・・
・ ゲーテの 「ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代」 と 「詩と真実」。
・ シラーの 「オルレアンの少女」 と 「メッスィーナの花嫁」。
・ ホフマンの 「牡猫ムルの人生観」 と短編集。
・ クライストの 「ペンテジレーア」 と 「ホンブルクの公子」。
・ アイヒェンドルフの 「予感と現在」 と 「大理石像」。
・ グリルバルツァーの 「祖先の女」 と 「金羊毛」。
・ ヘッベルの 「マリーア・マクダレーネ」 と 「ヘローデスとマリアムネ」。
・ マイヤーの 「フッテン最後の日」。
・ ニーチェの 「ツァラトゥストラはかく語りき」。
・ ハウプトマンの 「日の出前」 と 「沈んだ鐘」。
・ シュニッツラーの 「アナトール」 と 「ベルタ・ガルラン夫人」。
・ ヴェーデキントの 「春のめざめ」。
さて、2013年も、残るところあと1ヶ月半です。
今後、マンやヘッセやカロッサなど、20世紀ドイツ文学を読むつもりです。
さいごに。(早かったガッツポーズ)
職場のサッカー大会、最終戦もフル出場。
しかも、前半、相手のゴール前で、パスがきました。
迷わずシュート。そして迷わずガッツポーズ。
しかし、ボールはそれて、枠の外へ。慌ててガッツポーズを引っ込めました。
この試合も負けて、今年は予選リーグ3戦全敗。でも、楽しかった。
前回、「 文学全集 第Ⅳ集 19世紀ドイツ北欧編 」を、暫定的に作りました。
「暫定的」といったのは、前回のラインナップが、少ししょぼかったから。
では、19世紀の「ドイツ文学」で、ベスト20を選ぶとしたらどうなるのか?
品切れのため自分が読んでいない(内容は知っている)本を含めて、選びました。
今回は、文句なしの傑作ぞろいです。
ただし、品切れの本や、訳が古い本ばかりになってしまいました。
タイトルの◎は、前回のベスト20に入っている本です。
1 ◎「青い花」 ノヴァーリス (1802)
→ ドイツロマン主義の大傑作。岩波で購入可。
2 「ヴィルヘルム・テル」 シラー (1804)
→ シラーの戯曲の大傑作。わが子の頭上のりんごを射る話。品切れ。
3 「こわれがめ」 クライスト (1808)
→ ドイツ喜劇の大傑作。品切れ。
4 ◎「親和力」 ゲーテ (1809)
→ ゲーテ晩年の大傑作。講談社文芸文庫で購入可。
5 「悪魔の霊液」 ホフマン (1815)
→ ドイツロマン主義の世界的名作。品切れ。
6 「サッポー」 グリルパルツァー (1818)
→ オーストリア最大の劇作家による最高傑作。品切れ。
7 「愉しい放蕩児」 アイヒェンドルフ (1826)
→ 愉快な長編小説の大傑作。品切れ。
8 ◎「ファウスト 1・2」 ゲーテ (1808)(1832)
→ 問答無用の世界的な名作。集英社・岩波・新潮などで購入可。
9 「画家ノルテン」 メーリケ (1832)
→ ドイツ教養小説の大傑作。品切れ。
10 ◎「ダントンの死」 ビューヒナー (1835)
→ ドイツ文学史で決して外せない戯曲の大傑作。岩波で購入可。
11 「ニーベルンゲンの指輪」 ヴァーグナー (1853)
→ 歌劇の帝王による最大の歌劇。品切れ。
12 「ギューゲスとその指輪」 ヘッベル (1856)
→ ドイツ最大の劇作家による最高傑作。品切れ。
13 ◎「晩夏」 シュティフター (1857)
→ ドイツ教養小説の大傑作。ちくまで購入可。
14 「ユルク・イェナッチェ」 C・F・マイヤー (1876)
→ 当時一世を風靡した大傑作。品切れ。
15 「緑のハインリヒ」 ケラー (1879)
→ ドイツ教養小説の大傑作。品切れ。
16 「白馬の騎手」 シュトルム (1888)
→ 「みずうみ」で有名な作者の晩年の最高傑作。品切れ。
17 「職工」 ハウプトマン (1892)
→ 当時一世を風靡した社会劇の大傑作。品切れ。
18 ◎「罪なき罪(エフィ・ブリースト)」 フォンターネ (1895)
→ 社会小説の大傑作。岩波で購入可だが、訳が古すぎる。
19 「地霊」 ヴェーデキント (1895)
→ 性を描いた悲劇の大傑作。品切れ。
20 「輪舞」 シュニッツラー (1900)
→ ユーモラスな戯曲の大傑作。品切れ。
以上、20作中14作が、品切れ状態という悲しさ!
今後「罪なき罪」も品切れになるだろうから、ますます不便になるでしょう。
きっと売れないのだろうが、こういう作品が常に手に入るようになってほしい。
実は、ベスト20に入れたかった作品が、ほかにもたくさんあります。
たとえば・・・
・ ゲーテの 「ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代」 と 「詩と真実」。
・ シラーの 「オルレアンの少女」 と 「メッスィーナの花嫁」。
・ ホフマンの 「牡猫ムルの人生観」 と短編集。
・ クライストの 「ペンテジレーア」 と 「ホンブルクの公子」。
・ アイヒェンドルフの 「予感と現在」 と 「大理石像」。
・ グリルバルツァーの 「祖先の女」 と 「金羊毛」。
・ ヘッベルの 「マリーア・マクダレーネ」 と 「ヘローデスとマリアムネ」。
・ マイヤーの 「フッテン最後の日」。
・ ニーチェの 「ツァラトゥストラはかく語りき」。
・ ハウプトマンの 「日の出前」 と 「沈んだ鐘」。
・ シュニッツラーの 「アナトール」 と 「ベルタ・ガルラン夫人」。
・ ヴェーデキントの 「春のめざめ」。
さて、2013年も、残るところあと1ヶ月半です。
今後、マンやヘッセやカロッサなど、20世紀ドイツ文学を読むつもりです。
さいごに。(早かったガッツポーズ)
職場のサッカー大会、最終戦もフル出場。
しかも、前半、相手のゴール前で、パスがきました。
迷わずシュート。そして迷わずガッツポーズ。
しかし、ボールはそれて、枠の外へ。慌ててガッツポーズを引っ込めました。
この試合も負けて、今年は予選リーグ3戦全敗。でも、楽しかった。
19世紀ドイツ北欧文学のベスト20を選びました [19世紀ドイツ北欧文学]
「文学全集 第Ⅳ集 19世紀ドイツ北欧編」
文庫本で自分だけの文学全集をそろえることが、このブログの目標です。
すでに、第Ⅰ集から第Ⅲ集は完成済みです。
第Ⅰ集「19世紀フランス編」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-10-23
第Ⅱ集「19世紀イギリス編」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-08-04
第Ⅲ集「19世紀ロシア編」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-12-22
2013年は「ドイツの年」と勝手に決めて、ドイツ文学を中心に読んでいます。
ようやく、19世紀のドイツ文学について、まとめる時期がきたようです。
第Ⅳ集は、「19世紀ドイツ北欧編」として、以下のように決めました。
今回も20作選びましたが・・・今回は暫定的なものとしたいです。
理由はのちほど。では、とりあえず第Ⅳ集を紹介します。
1 「青い花」ノヴァーリス(1802年)岩波800円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-11-04
2 「親和力」ゲーテ(1809年)講談文芸1575円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-08-04
3 「チリの地震 クライスト短編集」クライスト(1810年)河出800円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-02-02
4 「黄金の壺 マドモワゼル・ド・スキュデリ」ホフマン(1815年)古典新訳781円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-03-17
5 「グリム童話(上)(下)」グリム兄弟(1815年)ちくま800円+640円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-02-17
6 「大理石像・デュランデ城悲歌」アイヒェンドルフ(1819年)岩波480円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-03-20
7 「ホフマン短篇集」ホフマン(1821年)岩波780円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-11-24
8 「ファウスト第一部・第二部」ゲーテ(1832年)集英社686円+933円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-06-25-1
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-07-01
9 「ダントンの死」ビューヒナー(1935年)岩波900円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09
10 「ユーディット」ヘッベル(1840年)岩波540円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-04-11
11 「さすらいのオランダ人 タンホイザア」ワアグナア(1841年)岩波540円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-04-02
12 「ウィーンの辻音楽師」グリルパルツァー(1848年)岩波480円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-12-30
13 「みずうみ」シュトルム(1851年)岩波460円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-11-18
14 「天と地との間」オット・ルートヴィヒ(1856年)岩波780円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-05-09
15 「晩夏」シュティフター(1857年)ちくま1300円+1500円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-06-02
16 「人形の家」イプセン(1879年)岩波460円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-04-25
17 「幽霊」イプセン(1881年)岩波460円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-09-28
18 「花・死人に口なし」シュニッツラー(1894年)岩波720円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-05-03
19 「罪なき罪(エフィ・ブリースト)」フォンターネ(1895年)岩波560円+700円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-04-21
20 「クオ・ワディス」シェンキェヴィチ(1896年)岩波800円+800円+780円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-12
以上、今回選出の20巻は、計26冊で19361円。税込みで20289円でした。
自分で選んでおいてなんですが、この巻はしょぼいです。
もちろん、それなりの作品をそろえてあります。
しかし、フランス編・イギリス編・ロシア編に比べて、だいぶ見劣りがします。
なぜそうなったのか?
それは、ドイツ文学で文庫化されている作品が少ないからです。
19世紀ドイツに、良い作品がなかったわけでは、決してありません。
文庫化されていても、品切れの本ばかりなので、セレクトできないのです。
また、ベスト20の作品の中には、何十年も前に出た本もあります。
訳は古いし、活字は読みにくいし・・・
納得できないことが多いので、今回のセレクトは暫定的なものとします。
では改めて、ひとつひとつコメントをしていきましょう。
1 「青い花」ノヴァーリス(1802年)
→ これは文句なし。名作だし、訳も良かった。
2 「親和力」ゲーテ(1809年)
→ これも文句なしでしょう。名作だし、訳も良かった。
3 「チリの地震 クライスト短編集」クライスト(1810年)
→ クライストといえば、「こわれがめ」(品切れ)でしょう。
4 「黄金の壺 マドモワゼル・ド・スキュデリ」ホフマン(1815年)
→ ホフマンには「悪魔の霊液」ほか、まだまだ入れたい作品がある。
5 「グリム童話(上)(下)」グリム兄弟(1815年)
→ 童話がセレクトされてしまうなんて・・・
6 「大理石像・デュランデ城悲歌」アイヒェンドルフ(1819年)
→ アイヒェンドルフといえば、「愉しい放蕩児」(品切れ)でしょう。
7 「ホフマン短篇集」ホフマン(1821年)
→ 「牡猫ムルの人生観」(品切れ)とか、ほかに選ぶべき作品がある。
8 「ファウスト第一部・第二部」ゲーテ(1832年)
→ これは文句なし。選ばなかったら、私はずばりアホでしょう。
9 「ダントンの死」ビューヒナー(1935年)
→ これも文句なし。よくぞ復刊してくれた。
10 「ユーディット」ヘッベル(1840年)
→ 確かに名作。だがヘッベルには、まだほかに選ぶべき作品がある。
11 「さすらいのオランダ人 タンホイザア」ワアグナア(1841年)
→ ワーグナーから、本当は「ニーベルンゲンの指輪」を選びたい。
12 「ウィーンの辻音楽師」グリルパルツァー(1848年)
→ グリルバルツァーの最高傑作は、「サッポー」(品切れ)だという。
13 「みずうみ」シュトルム(1851年)
→ シュトルムの最高傑作は、「白馬の騎手」(品切れ)だという。
14 「天と地との間」オット・ルートヴィヒ(1856年)
→ これを入れるんだったら、ほかに選ぶべき作品があるでしょう。
15 「晩夏」シュティフター(1857年)
→ これは文句なし。訳も良かった。地味だが外せない作品でしょう。
16 「人形の家」イプセン(1879年)
→ 文句ない名作だが、イプセンはノルウェーの作家。
17 「幽霊」イプセン(1881年)
→ ノルウェーの作家を二つも入れるのは、苦肉の策だった。
18 「花・死人に口なし」シュニッツラー(1894年)
→ シュニッツラーといえば、「輪舞」(品切れ)でしょう。
19 「罪なき罪(エフィ・ブリースト)」フォンターネ(1895年)
→ これも外せない作品。ただし、訳が古くて実に読みにくい。
20 「クオ・ワディス」シェンキェヴィチ(1896年)
→ 文句ない名作。だが、シェンキェヴィチはポーランドの作家。
本音を言えば、ドイツ文学だけでまとめたかったです。
文庫化されていない作品も入れたら、ドイツ文学だけでまとまるはずです。
「悪魔の霊液」や「緑のハインリヒ」を入れて、ベストセレクションを考えたい。
次回はそれを考えよう。ああ、次回が楽しみだ。
さいごに。(牛丼の『キチ』)
しばらく前に、牛丼屋へ行きました。牛丼には、大・中・小がありました。
「おれは大」と私。「わたしは小」と妻。「わたしはキチ」と娘。
「キチ?」と聞くと、「牛丼のキチ!」と娘。
実は、少し前に3人で、おみくじをやって、大吉・小吉・吉を出したのです。
だから娘は、牛丼にも、大と小と吉があると思っていたのでした。
(結局娘は、牛丼の小を注文しました)
文庫本で自分だけの文学全集をそろえることが、このブログの目標です。
すでに、第Ⅰ集から第Ⅲ集は完成済みです。
第Ⅰ集「19世紀フランス編」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-10-23
第Ⅱ集「19世紀イギリス編」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-08-04
第Ⅲ集「19世紀ロシア編」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-12-22
2013年は「ドイツの年」と勝手に決めて、ドイツ文学を中心に読んでいます。
ようやく、19世紀のドイツ文学について、まとめる時期がきたようです。
第Ⅳ集は、「19世紀ドイツ北欧編」として、以下のように決めました。
今回も20作選びましたが・・・今回は暫定的なものとしたいです。
理由はのちほど。では、とりあえず第Ⅳ集を紹介します。
1 「青い花」ノヴァーリス(1802年)岩波800円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-11-04
2 「親和力」ゲーテ(1809年)講談文芸1575円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-08-04
3 「チリの地震 クライスト短編集」クライスト(1810年)河出800円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-02-02
4 「黄金の壺 マドモワゼル・ド・スキュデリ」ホフマン(1815年)古典新訳781円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-03-17
5 「グリム童話(上)(下)」グリム兄弟(1815年)ちくま800円+640円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-02-17
6 「大理石像・デュランデ城悲歌」アイヒェンドルフ(1819年)岩波480円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-03-20
7 「ホフマン短篇集」ホフマン(1821年)岩波780円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-11-24
8 「ファウスト第一部・第二部」ゲーテ(1832年)集英社686円+933円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-06-25-1
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-07-01
9 「ダントンの死」ビューヒナー(1935年)岩波900円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09
10 「ユーディット」ヘッベル(1840年)岩波540円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-04-11
11 「さすらいのオランダ人 タンホイザア」ワアグナア(1841年)岩波540円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-04-02
12 「ウィーンの辻音楽師」グリルパルツァー(1848年)岩波480円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-12-30
13 「みずうみ」シュトルム(1851年)岩波460円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-11-18
14 「天と地との間」オット・ルートヴィヒ(1856年)岩波780円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-05-09
15 「晩夏」シュティフター(1857年)ちくま1300円+1500円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-06-02
16 「人形の家」イプセン(1879年)岩波460円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-04-25
17 「幽霊」イプセン(1881年)岩波460円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-09-28
18 「花・死人に口なし」シュニッツラー(1894年)岩波720円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-05-03
19 「罪なき罪(エフィ・ブリースト)」フォンターネ(1895年)岩波560円+700円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-04-21
20 「クオ・ワディス」シェンキェヴィチ(1896年)岩波800円+800円+780円
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-12
以上、今回選出の20巻は、計26冊で19361円。税込みで20289円でした。
自分で選んでおいてなんですが、この巻はしょぼいです。
もちろん、それなりの作品をそろえてあります。
しかし、フランス編・イギリス編・ロシア編に比べて、だいぶ見劣りがします。
なぜそうなったのか?
それは、ドイツ文学で文庫化されている作品が少ないからです。
19世紀ドイツに、良い作品がなかったわけでは、決してありません。
文庫化されていても、品切れの本ばかりなので、セレクトできないのです。
また、ベスト20の作品の中には、何十年も前に出た本もあります。
訳は古いし、活字は読みにくいし・・・
納得できないことが多いので、今回のセレクトは暫定的なものとします。
では改めて、ひとつひとつコメントをしていきましょう。
1 「青い花」ノヴァーリス(1802年)
→ これは文句なし。名作だし、訳も良かった。
2 「親和力」ゲーテ(1809年)
→ これも文句なしでしょう。名作だし、訳も良かった。
3 「チリの地震 クライスト短編集」クライスト(1810年)
→ クライストといえば、「こわれがめ」(品切れ)でしょう。
4 「黄金の壺 マドモワゼル・ド・スキュデリ」ホフマン(1815年)
→ ホフマンには「悪魔の霊液」ほか、まだまだ入れたい作品がある。
5 「グリム童話(上)(下)」グリム兄弟(1815年)
→ 童話がセレクトされてしまうなんて・・・
6 「大理石像・デュランデ城悲歌」アイヒェンドルフ(1819年)
→ アイヒェンドルフといえば、「愉しい放蕩児」(品切れ)でしょう。
7 「ホフマン短篇集」ホフマン(1821年)
→ 「牡猫ムルの人生観」(品切れ)とか、ほかに選ぶべき作品がある。
8 「ファウスト第一部・第二部」ゲーテ(1832年)
→ これは文句なし。選ばなかったら、私はずばりアホでしょう。
9 「ダントンの死」ビューヒナー(1935年)
→ これも文句なし。よくぞ復刊してくれた。
10 「ユーディット」ヘッベル(1840年)
→ 確かに名作。だがヘッベルには、まだほかに選ぶべき作品がある。
11 「さすらいのオランダ人 タンホイザア」ワアグナア(1841年)
→ ワーグナーから、本当は「ニーベルンゲンの指輪」を選びたい。
12 「ウィーンの辻音楽師」グリルパルツァー(1848年)
→ グリルバルツァーの最高傑作は、「サッポー」(品切れ)だという。
13 「みずうみ」シュトルム(1851年)
→ シュトルムの最高傑作は、「白馬の騎手」(品切れ)だという。
14 「天と地との間」オット・ルートヴィヒ(1856年)
→ これを入れるんだったら、ほかに選ぶべき作品があるでしょう。
15 「晩夏」シュティフター(1857年)
→ これは文句なし。訳も良かった。地味だが外せない作品でしょう。
16 「人形の家」イプセン(1879年)
→ 文句ない名作だが、イプセンはノルウェーの作家。
17 「幽霊」イプセン(1881年)
→ ノルウェーの作家を二つも入れるのは、苦肉の策だった。
18 「花・死人に口なし」シュニッツラー(1894年)
→ シュニッツラーといえば、「輪舞」(品切れ)でしょう。
19 「罪なき罪(エフィ・ブリースト)」フォンターネ(1895年)
→ これも外せない作品。ただし、訳が古くて実に読みにくい。
20 「クオ・ワディス」シェンキェヴィチ(1896年)
→ 文句ない名作。だが、シェンキェヴィチはポーランドの作家。
本音を言えば、ドイツ文学だけでまとめたかったです。
文庫化されていない作品も入れたら、ドイツ文学だけでまとまるはずです。
「悪魔の霊液」や「緑のハインリヒ」を入れて、ベストセレクションを考えたい。
次回はそれを考えよう。ああ、次回が楽しみだ。
さいごに。(牛丼の『キチ』)
しばらく前に、牛丼屋へ行きました。牛丼には、大・中・小がありました。
「おれは大」と私。「わたしは小」と妻。「わたしはキチ」と娘。
「キチ?」と聞くと、「牛丼のキチ!」と娘。
実は、少し前に3人で、おみくじをやって、大吉・小吉・吉を出したのです。
だから娘は、牛丼にも、大と小と吉があると思っていたのでした。
(結局娘は、牛丼の小を注文しました)
クオ・ワディス2 [19世紀ドイツ北欧文学]
「クオ・ワディス」 シェンキェーヴィチ作 木村彰一訳 (岩波文庫)
「クオ・ワディス」については、まだまだ伝えたいことがあります。
前回に続いて、「クオ・ワディス」について、書かせていただきます。
これは、西暦60年頃のローマ帝国を舞台にした、壮大な歴史小説です。
「クオ・ワディス」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09
この物語は、青年貴族ウィニキウスとリギアの愛を中心に描かれています。
しかし、私のお気に入りは、その叔父のペトロニウス。
私はこの本を読んで、すっかりペトロニウスのファンになってしまいました。
ペトロニウスは、皇帝ネロの寵臣であり、「美の審判者」と呼ばれています。
芸術を愛するネロのご機嫌を取ることによって、権勢を誇っています。
一見すると、惰性で生きている、狡知で怠惰な貴族でしかありません。
しかしペトロニウスには、人生に対する確固たる信念があるのです。
彼には痛いほど分かっています。自分の地位が、はかないものであることが。
ネロの気まぐれひとつで、自分の命が無くなることが。
だからこそ、今目の前にある人生を、全力で楽しむ。そういう信念です。
彼は確かにネロに追従しています。しかしそれは、命がけのゲームなのです。
死から目をそむけるのではなく、死を見据えた上で、人生を楽しんでいます。
だから、愛する甥のウィニキウスのために、死を恐れずネロに諫言します。
自分の破滅を覚悟した上で、全力で人のために尽くす姿は、実に美しい。
キリスト教の愛と苦難をテーマにしながらも、最も魅力的に描かれているのは、
最後までキリスト教に染まらずに、自分の流儀を貫徹したペトロニウスです。
さて、物語はローマの大火から佳境に入り、本から離れられなくなります。
ペトロニウスやウィニキウスらが、どうなるのか、気になって気になって。
終盤は、睡眠時間を4時間半にして、いっきに読んでしまいました。
この作品は、今年最も夢中になって読んだ作品です。
さいごに。(町内の運動会)
うちの町内は小さくて、子供が少ないため、大人も子供も何種目も出ます。
午前中に終わる運動会なのに、私も娘も4種目ずつ出ました。妻は2種目。
娘は、スプーンリレーが優勝したので、大喜びでした。
私は、町内対抗リレーのアンカーをやり、優勝して大満足です。
「クオ・ワディス」については、まだまだ伝えたいことがあります。
前回に続いて、「クオ・ワディス」について、書かせていただきます。
これは、西暦60年頃のローマ帝国を舞台にした、壮大な歴史小説です。
「クオ・ワディス」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09
この物語は、青年貴族ウィニキウスとリギアの愛を中心に描かれています。
しかし、私のお気に入りは、その叔父のペトロニウス。
私はこの本を読んで、すっかりペトロニウスのファンになってしまいました。
ペトロニウスは、皇帝ネロの寵臣であり、「美の審判者」と呼ばれています。
芸術を愛するネロのご機嫌を取ることによって、権勢を誇っています。
一見すると、惰性で生きている、狡知で怠惰な貴族でしかありません。
しかしペトロニウスには、人生に対する確固たる信念があるのです。
彼には痛いほど分かっています。自分の地位が、はかないものであることが。
ネロの気まぐれひとつで、自分の命が無くなることが。
だからこそ、今目の前にある人生を、全力で楽しむ。そういう信念です。
彼は確かにネロに追従しています。しかしそれは、命がけのゲームなのです。
死から目をそむけるのではなく、死を見据えた上で、人生を楽しんでいます。
だから、愛する甥のウィニキウスのために、死を恐れずネロに諫言します。
自分の破滅を覚悟した上で、全力で人のために尽くす姿は、実に美しい。
キリスト教の愛と苦難をテーマにしながらも、最も魅力的に描かれているのは、
最後までキリスト教に染まらずに、自分の流儀を貫徹したペトロニウスです。
さて、物語はローマの大火から佳境に入り、本から離れられなくなります。
ペトロニウスやウィニキウスらが、どうなるのか、気になって気になって。
終盤は、睡眠時間を4時間半にして、いっきに読んでしまいました。
この作品は、今年最も夢中になって読んだ作品です。
さいごに。(町内の運動会)
うちの町内は小さくて、子供が少ないため、大人も子供も何種目も出ます。
午前中に終わる運動会なのに、私も娘も4種目ずつ出ました。妻は2種目。
娘は、スプーンリレーが優勝したので、大喜びでした。
私は、町内対抗リレーのアンカーをやり、優勝して大満足です。
クオ・ワディス [19世紀ドイツ北欧文学]
「クオ・ワディス」 シェンキェーヴィチ作 木村彰一訳 (岩波文庫)
西暦60年頃のローマ帝国最盛期を舞台にした、壮大な歴史小説です。
作者は19世紀ポーランドの作家で、ノーベル文学賞受賞者です。
岩波文庫から三分冊で出ています。
初版は1995年ですが、訳は1977年の講談社世界文学全集のものです。
表紙はステンドグラスで美しい。上中下三冊並べて眺めたい。
舞台は古代ローマ。西暦1世紀で、帝国の最盛期。
皇帝は、悪名高きネロ。貴族たちは酒色に溺れ、堕落した生活を送っています。
主人公は、美青年ウィニキウス。元執政官の息子で、ローマ軍の大隊長です。
ウィニキウスはローマに帰還した折、美しいリギアに恋するようになりました。
その恋心を打ち明けた相手は、叔父のペトロニウス。ネロの寵臣です。
ペトロニウスはある策略を用いて、甥のためにリギアを奪略しようとします。
しかし裏をかかれて、リギアは逃亡。探索するが、見つからず。
しかしウィニキウスは、有力な情報を得て、ある集団の集会に入り込み・・・
リギアはどこに隠れていたのか? 彼女をかくまっていた集団は何か?
ウィニキウスの愛は成就するのか? そして、彼らの運命は?
ネットでの評価通り、めちゃくちゃ面白い小説でした。
魅力のひとつは、実在の人物が多数登場すること。
時代考証もしっかりしていて、古代ローマを体感できる小説でした。
ウィニキウスは架空の人物ですが、彼が頼る叔父ペトロニウスは実在の詩人。
あの「サテュリコン」(現在品切れ)の作者として知られている人物です。
「サテュリコン」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-12-02
皇帝ネロ、その妻ポッパエア。親衛隊隊長ティゲリヌス。
聖ペテロ、聖パウロ。もちろん、みな歴史上の人物です。
歴史上の事件も詳細に描かれていて、古代ローマにトリップした感じです。
ローマの大火も、キリスト教弾圧も、ペテロの殉教も描かれています。
ちなみに、タイトルの「クオ・ワディス」は、新約聖書からの引用です。
「どこへ行くのですか」という意味で、このときのエピソードは有名。
ローマから逃れようとしたペテロの前に、復活したキリストが現れました。
「どこへ行くのですか」と聞くペテロに、キリストは答えます。
「お前がローマを見捨てるのなら、私が行ってもう一度十字架にかかろう。」
作者シェンキェーヴィチは、強国の圧制に苦しむ故国ポーランドの状況を、
迫害されるキリスト教徒に重ね合わせていたのだそうです。
さいごに。(自宅でチョコは禁止)
自宅でチョコを食べることを、控えることにしました。
妻に、「甘いお菓子ばかり食べている男は魅力がない」と言われたので。
小学校1年生の娘と、お菓子の取り合いをしているようではいけません。
反省。で、昨日買ったチョコは、職場へ持って行きます。
西暦60年頃のローマ帝国最盛期を舞台にした、壮大な歴史小説です。
作者は19世紀ポーランドの作家で、ノーベル文学賞受賞者です。
岩波文庫から三分冊で出ています。
初版は1995年ですが、訳は1977年の講談社世界文学全集のものです。
表紙はステンドグラスで美しい。上中下三冊並べて眺めたい。
舞台は古代ローマ。西暦1世紀で、帝国の最盛期。
皇帝は、悪名高きネロ。貴族たちは酒色に溺れ、堕落した生活を送っています。
主人公は、美青年ウィニキウス。元執政官の息子で、ローマ軍の大隊長です。
ウィニキウスはローマに帰還した折、美しいリギアに恋するようになりました。
その恋心を打ち明けた相手は、叔父のペトロニウス。ネロの寵臣です。
ペトロニウスはある策略を用いて、甥のためにリギアを奪略しようとします。
しかし裏をかかれて、リギアは逃亡。探索するが、見つからず。
しかしウィニキウスは、有力な情報を得て、ある集団の集会に入り込み・・・
リギアはどこに隠れていたのか? 彼女をかくまっていた集団は何か?
ウィニキウスの愛は成就するのか? そして、彼らの運命は?
ネットでの評価通り、めちゃくちゃ面白い小説でした。
魅力のひとつは、実在の人物が多数登場すること。
時代考証もしっかりしていて、古代ローマを体感できる小説でした。
ウィニキウスは架空の人物ですが、彼が頼る叔父ペトロニウスは実在の詩人。
あの「サテュリコン」(現在品切れ)の作者として知られている人物です。
「サテュリコン」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-12-02
皇帝ネロ、その妻ポッパエア。親衛隊隊長ティゲリヌス。
聖ペテロ、聖パウロ。もちろん、みな歴史上の人物です。
歴史上の事件も詳細に描かれていて、古代ローマにトリップした感じです。
ローマの大火も、キリスト教弾圧も、ペテロの殉教も描かれています。
ちなみに、タイトルの「クオ・ワディス」は、新約聖書からの引用です。
「どこへ行くのですか」という意味で、このときのエピソードは有名。
ローマから逃れようとしたペテロの前に、復活したキリストが現れました。
「どこへ行くのですか」と聞くペテロに、キリストは答えます。
「お前がローマを見捨てるのなら、私が行ってもう一度十字架にかかろう。」
作者シェンキェーヴィチは、強国の圧制に苦しむ故国ポーランドの状況を、
迫害されるキリスト教徒に重ね合わせていたのだそうです。
さいごに。(自宅でチョコは禁止)
自宅でチョコを食べることを、控えることにしました。
妻に、「甘いお菓子ばかり食べている男は魅力がない」と言われたので。
小学校1年生の娘と、お菓子の取り合いをしているようではいけません。
反省。で、昨日買ったチョコは、職場へ持って行きます。
アンデルセン童話集 [19世紀ドイツ北欧文学]
「アンデルセン童話集」 アンデルセン作 荒俣宏訳 (文春文庫)
「おやゆび姫」「マッチ売りの少女」など、代表作ばかり集めた童話集です。
アンデルセンは、19世紀のデンマークの人です。
岩波文庫の完訳版や、新潮文庫版などもありますが、オススメは文春文庫版。
ハリー・クラークの挿絵がとても素晴らしい。モノクロなのが残念ですが。
岩波文庫版は完訳です。完訳派の人にオススメ。訳が古いが、味わい深い。
新潮文庫版は選集です。こちらも、訳が少し古い。
「おやゆび姫」「みにくいアヒルの子」「マッチ売りの少女」「はだかの王様」
などなど、有名な童話ばかりですが、傑作はやはり「人魚姫」でしょう。
王子に恋した人魚姫。魔女の力を借りてまで、その恋に賭けます。
その美しい声と引き換えに、とうとう人間の足を手に入れました。
しかし、魔女は言いました。
一度人間になったら、二度と人魚には戻れない。
王子がほかの女性と結婚したら、翌朝お前は海の泡となるのだと・・・
悲しくも美しい物語です。
人魚の悲恋に涙がこぼれそうになります。
アンデルセン童話は、収集されたグリム童話と違い、多くが創作したものです。
時々、神や天使や聖職者などが登場し、キリスト教的な味付けがされています。
「人魚姫」では、永遠の魂というものが、重大な要素になっていました。
さて、この本には「絵のない絵本」も収録されています。
多くの訳が出ていますが、荒俣訳が最も分かりやすいと私は思います。
なお、アンデルセンといえば、日本では森鴎外訳「即興詩人」が有名です。
いつか時間ができたら、鴎外訳版を読んでみたいです。
さいごに。(眼が・・・)
指にとげが刺さったので、針で取ろうとしたのですが・・・
見えないのです! 指を眼に近づけると、ぼやけてしまって。
眼から離すと見えやすい。めがねを外すとくっきり見える。
老眼の兆候? というか、老眼そのもの?
「おやゆび姫」「マッチ売りの少女」など、代表作ばかり集めた童話集です。
アンデルセンは、19世紀のデンマークの人です。
岩波文庫の完訳版や、新潮文庫版などもありますが、オススメは文春文庫版。
ハリー・クラークの挿絵がとても素晴らしい。モノクロなのが残念ですが。
岩波文庫版は完訳です。完訳派の人にオススメ。訳が古いが、味わい深い。
新潮文庫版は選集です。こちらも、訳が少し古い。
「おやゆび姫」「みにくいアヒルの子」「マッチ売りの少女」「はだかの王様」
などなど、有名な童話ばかりですが、傑作はやはり「人魚姫」でしょう。
王子に恋した人魚姫。魔女の力を借りてまで、その恋に賭けます。
その美しい声と引き換えに、とうとう人間の足を手に入れました。
しかし、魔女は言いました。
一度人間になったら、二度と人魚には戻れない。
王子がほかの女性と結婚したら、翌朝お前は海の泡となるのだと・・・
悲しくも美しい物語です。
人魚の悲恋に涙がこぼれそうになります。
アンデルセン童話は、収集されたグリム童話と違い、多くが創作したものです。
時々、神や天使や聖職者などが登場し、キリスト教的な味付けがされています。
「人魚姫」では、永遠の魂というものが、重大な要素になっていました。
さて、この本には「絵のない絵本」も収録されています。
多くの訳が出ていますが、荒俣訳が最も分かりやすいと私は思います。
なお、アンデルセンといえば、日本では森鴎外訳「即興詩人」が有名です。
いつか時間ができたら、鴎外訳版を読んでみたいです。
さいごに。(眼が・・・)
指にとげが刺さったので、針で取ろうとしたのですが・・・
見えないのです! 指を眼に近づけると、ぼやけてしまって。
眼から離すと見えやすい。めがねを外すとくっきり見える。
老眼の兆候? というか、老眼そのもの?
ダントンの死 [19世紀ドイツ北欧文学]
「ダントンの死」 ビューヒナー作 岩淵達治訳 (岩波文庫)
フランス革命で活躍したダントンが、断頭台の露と消える場面を描いた戯曲です。
23歳で早逝したビューヒナーの、迫力に満ちた傑作です。
2006年に岩波文庫から出されました。
「ヴォイツェク」「レンツ」などの傑作も収録しています。
ロベスピエールとともに、フランス革命の立役者であるダントン。
しかしダントンは、自分がおこなった革命に、その人殺しに、うんざりしています。
一方、「共和国の武器は恐怖だ」と、恐怖政治を断行しようとするロベスピエール。
そしてロベスピエールは、意見の合わないダントンの逮捕を決意しました。
ダントンは、仲間から命の危険を警告されます。
しかし、ダントンは逃げません。また、何の対策も立てません。
時代の流れは止められない、運命を受け入れるしかない、そう考えているようです。
そしてダントンは、死というものに、絶望ではなく、救いを見ているようです。
こうしてダントンは、自分自身が作った革命裁判所によって裁かれるわけですが、
彼を死に追いやったロベスピエールも、その数ヵ月後に断頭台に登る運命でした。
一説に、ギロチンに引かれていくダントンが、ロベスピエールの家の前を通った時、
「次はきさまの番だぞ!」と叫んだといいます。ダントンらしいエピソードです。
この戯曲には、当時の時代の狂気が、よく表れています。
この本に収録されたほか2編も、狂気を感じさせる作品です。
「レンツ」は、ドイツ作家レンツが、狂気に陥っていく様子を描いた短編小説です。
死んだ子を生き返らせようとして祈り、「起きて歩け!」と叫ぶ場面は笑えます。
「ヴォイツェク」は、ある下級軍人が、情婦を刺殺するまでを描いた戯曲です。
主人公の軍人ヴォイツェクがまた、狂気に陥っています。作品は未完。
ビューヒナーの傑作三作を収録している点で、この本はお得です。
ただし、訳注と解説等が約100ページ。読まないって!
その分をカットして、700円ぐらいに抑えてくれたらいいのに。
今後も絶版にならないよう、多くの人に買ってもらいたいから。
ところで「ダントンの死」を読んで、革命関係の二作を思い出しました。
ミシュレの「フランス革命史」と、A・フランスの「神々は渇く」です。
どちらも未読のまま、私の本棚で仲良く眠っています。
さいごに。(大きなかぶ)
娘が小学校の宿題で、「大きなかぶ」を暗記させられました。
すらすら暗記できていました。
懐かしいです。40年前の我々の時代と、変わっていません。
犬や猫やねずみが、一緒になって引っ張るところが楽しいです。
フランス革命で活躍したダントンが、断頭台の露と消える場面を描いた戯曲です。
23歳で早逝したビューヒナーの、迫力に満ちた傑作です。
2006年に岩波文庫から出されました。
「ヴォイツェク」「レンツ」などの傑作も収録しています。
ロベスピエールとともに、フランス革命の立役者であるダントン。
しかしダントンは、自分がおこなった革命に、その人殺しに、うんざりしています。
一方、「共和国の武器は恐怖だ」と、恐怖政治を断行しようとするロベスピエール。
そしてロベスピエールは、意見の合わないダントンの逮捕を決意しました。
ダントンは、仲間から命の危険を警告されます。
しかし、ダントンは逃げません。また、何の対策も立てません。
時代の流れは止められない、運命を受け入れるしかない、そう考えているようです。
そしてダントンは、死というものに、絶望ではなく、救いを見ているようです。
こうしてダントンは、自分自身が作った革命裁判所によって裁かれるわけですが、
彼を死に追いやったロベスピエールも、その数ヵ月後に断頭台に登る運命でした。
一説に、ギロチンに引かれていくダントンが、ロベスピエールの家の前を通った時、
「次はきさまの番だぞ!」と叫んだといいます。ダントンらしいエピソードです。
この戯曲には、当時の時代の狂気が、よく表れています。
この本に収録されたほか2編も、狂気を感じさせる作品です。
「レンツ」は、ドイツ作家レンツが、狂気に陥っていく様子を描いた短編小説です。
死んだ子を生き返らせようとして祈り、「起きて歩け!」と叫ぶ場面は笑えます。
「ヴォイツェク」は、ある下級軍人が、情婦を刺殺するまでを描いた戯曲です。
主人公の軍人ヴォイツェクがまた、狂気に陥っています。作品は未完。
ビューヒナーの傑作三作を収録している点で、この本はお得です。
ただし、訳注と解説等が約100ページ。読まないって!
その分をカットして、700円ぐらいに抑えてくれたらいいのに。
今後も絶版にならないよう、多くの人に買ってもらいたいから。
ところで「ダントンの死」を読んで、革命関係の二作を思い出しました。
ミシュレの「フランス革命史」と、A・フランスの「神々は渇く」です。
どちらも未読のまま、私の本棚で仲良く眠っています。
さいごに。(大きなかぶ)
娘が小学校の宿題で、「大きなかぶ」を暗記させられました。
すらすら暗記できていました。
懐かしいです。40年前の我々の時代と、変わっていません。
犬や猫やねずみが、一緒になって引っ張るところが楽しいです。
親和力 [19世紀ドイツ北欧文学]
「親和力」 ゲーテ作 柴田翔訳 (講談社文芸文庫)
中年の理想的な夫婦を中心に、四人が繰り広げる四角関係の恋愛小説です。
ゲーテ晩年の傑作で、深遠な内容を含んでいます。
この傑作が、文庫では講談社文芸文庫からしか出ていません。
訳は予想以上に分りやすくて、内容的にも実に面白かったです。
物語の主人公は、富裕な男爵エードゥアルトと、その妻シャルロッテです。
お互いにとても愛し合っていて、落ち着いた静かな生活を営んでいます。
そこへ、夫エードゥアルトの親友の大尉が、迎えられました。
また、妻シャルロッテの姪オッティーリも、呼び寄せられました。
四人で、共同生活をしていくうちに・・・
この作品は、あまり日本では知られていないと思います。
実際、翻訳も少ないです。
しかし、予想以上に面白い物語でした。結末も劇的でした。
私的には、「ウェルテル」や「マイスター」以上に良かったです。
ところで「親和力」とは当時の科学用語で、物質と物質が結合する力のこと。
第一部の第四章で、詳しく考察されています。
例えば、「物質AB」と「物質CD」がぶつかり、A・B・C・Dに分かれる。
その後、親和力が働いて、「物質AD」と「物質BC」に、再結合されます。
このことは、人間関係にも言えます。
「エードゥアルト+シャルロッテ」の夫婦に、他の二人が合流したら?
気の合う男同士・女同士が引き合って、夫婦生活を乱すのではないか。
「エードゥアルト+大尉」対「シャルロッテ+その姪」という具合に。
しかし、事態はまったく予想外の方向へ進展していきます。
四人はそれぞれの考えに従って、事態を打開しようとしますが・・・
そして、赤ん坊に現れた不思議な刻印の意味は?
また、途中で挿入される奇譚の表す意味は?
様々な謎とともに、物語は悲劇的な結末へ、静かに進んでいきます。
(これらの謎の答えは、訳者解説で充分に示唆されています。)
ところで私は、めったなことでは講談社文芸文庫を買いません。
理由は、値段が高すぎるから。
だいたい適正価格の倍ぐらいという印象です。(あくまで個人的印象)
「親和力」は、450ページほどで、1575円でした。
もちろん、この本を買って損したとは、まったく思いません。
しかし、せめて1000円を切ってくれたら、もっと人に勧めやすいのですが。
あの、のっぺらぼうのような表紙も、私はあまり気に入りません。
しかも、日焼けをすると変色が目立つのです。
ちなみに、講談社文芸文庫で紹介した本は、他では読めないものばかりです。
「ロード・ジム」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-03-21
「焼け跡のイエス」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-09-20
「暗い絵」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-09-21
「桜島」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-09-30
さいごに。(セミ取り)
100均で買った虫取り網を持って、娘と公園にセミ取り出かけました。
まさか、娘に捕まるようなセミはいないだろうと、思ったのですが・・・
なんと、娘は二匹捕まえました。セミは油断していたのか、愚かだったのか。
捕まえたくせに、娘はセミを怖がっているので、すぐに逃がしてあげました。
中年の理想的な夫婦を中心に、四人が繰り広げる四角関係の恋愛小説です。
ゲーテ晩年の傑作で、深遠な内容を含んでいます。
この傑作が、文庫では講談社文芸文庫からしか出ていません。
訳は予想以上に分りやすくて、内容的にも実に面白かったです。
物語の主人公は、富裕な男爵エードゥアルトと、その妻シャルロッテです。
お互いにとても愛し合っていて、落ち着いた静かな生活を営んでいます。
そこへ、夫エードゥアルトの親友の大尉が、迎えられました。
また、妻シャルロッテの姪オッティーリも、呼び寄せられました。
四人で、共同生活をしていくうちに・・・
この作品は、あまり日本では知られていないと思います。
実際、翻訳も少ないです。
しかし、予想以上に面白い物語でした。結末も劇的でした。
私的には、「ウェルテル」や「マイスター」以上に良かったです。
ところで「親和力」とは当時の科学用語で、物質と物質が結合する力のこと。
第一部の第四章で、詳しく考察されています。
例えば、「物質AB」と「物質CD」がぶつかり、A・B・C・Dに分かれる。
その後、親和力が働いて、「物質AD」と「物質BC」に、再結合されます。
このことは、人間関係にも言えます。
「エードゥアルト+シャルロッテ」の夫婦に、他の二人が合流したら?
気の合う男同士・女同士が引き合って、夫婦生活を乱すのではないか。
「エードゥアルト+大尉」対「シャルロッテ+その姪」という具合に。
しかし、事態はまったく予想外の方向へ進展していきます。
四人はそれぞれの考えに従って、事態を打開しようとしますが・・・
そして、赤ん坊に現れた不思議な刻印の意味は?
また、途中で挿入される奇譚の表す意味は?
様々な謎とともに、物語は悲劇的な結末へ、静かに進んでいきます。
(これらの謎の答えは、訳者解説で充分に示唆されています。)
ところで私は、めったなことでは講談社文芸文庫を買いません。
理由は、値段が高すぎるから。
だいたい適正価格の倍ぐらいという印象です。(あくまで個人的印象)
「親和力」は、450ページほどで、1575円でした。
もちろん、この本を買って損したとは、まったく思いません。
しかし、せめて1000円を切ってくれたら、もっと人に勧めやすいのですが。
あの、のっぺらぼうのような表紙も、私はあまり気に入りません。
しかも、日焼けをすると変色が目立つのです。
ちなみに、講談社文芸文庫で紹介した本は、他では読めないものばかりです。
「ロード・ジム」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-03-21
「焼け跡のイエス」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-09-20
「暗い絵」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-09-21
「桜島」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-09-30
さいごに。(セミ取り)
100均で買った虫取り網を持って、娘と公園にセミ取り出かけました。
まさか、娘に捕まるようなセミはいないだろうと、思ったのですが・・・
なんと、娘は二匹捕まえました。セミは油断していたのか、愚かだったのか。
捕まえたくせに、娘はセミを怖がっているので、すぐに逃がしてあげました。
晩夏 [19世紀ドイツ北欧文学]
「晩夏」 シュティフター作 藤村宏訳 (ちくま文庫)
美しい薔薇が咲く丘の老紳士と、そこを訪れる老婦人の、「人生の晩夏」の物語です。
19世紀中頃のドイツ作家シュティフターの代表作です。
かつて集英社の世界文学全集に載っていた訳が、ちくま文庫で読むことができます。
訳は分かりやすく、挿し絵が豊富で、註はページの左端にあって、読みやすいです。
とても丁寧に作られた本ですが、(上)(下)合わせて2800円。
1000ページ以上あるし、値段も高いので、気軽に人に勧められません。残念。
青年ハインリヒは、アルプス山麓で、雨宿りさせてもらうために、ある屋敷を訪ねました。
そこは、まるで別天地。バラがいちめんに美しく咲き乱れていました。
家の主人は初老の紳士で、青年は暖かく迎え入れられ、親切なもてなしを受けました。
その生活に心惹かれながらも、お互いに名前を明かさず、青年は3日目に出発します。
後にハインリヒは、王宮に住む知り合いを訪ね、思いがけず屋敷の主人の名を知りました。
彼は、かつて高官だった男爵で…
ハインリヒは、たびたびバラの丘の屋敷を訪れるようになり、ある老婦人と親しくなります。
その老婦人は、かつて男爵と…
物語は、ゆっくりゆっくり進みます。
ストーリーと関係のない話が、たくさん盛り込まれているためです。
植物はこんなふうに育てるのだとか、鳥はこんなふうに世話するのだとか。
つい、うとうとしてしまいます。
しかし、それはそれで贅沢な眠りです。
自分もバラの家にいて、はるかかなたのアルプスを、眺めている夢を見るのですから。
ところでこの本は、無駄を省いたら300ページくらいに圧縮できそうです。
そうしたら、もっと読まれるようになるでしょう。
でも一方、圧縮したら、物足りなくなってしまうような気もします。
案外、無駄のように思われる部分が、この作品では大事なのかもしれません。
さて、シュティフターの作品は地味ですが、自然の美しさが伝わってきます。
すでに紹介した「水晶」も、オススメです。
「水晶」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-05-12
さいごに。(ハクビシン)
娘が、登校中にハクビシンを見たと言いました。充分ありえることです。
顔には白い線が入っていたというから、確かにハクビシンでしょう。
裏の家では、長く留守にしていた間に、ハクビシンが住み着いたことがありました。
その頃、夜中に変な獣の鳴き声や、何かがバタバタ走る音が、よく聞こえました。
美しい薔薇が咲く丘の老紳士と、そこを訪れる老婦人の、「人生の晩夏」の物語です。
19世紀中頃のドイツ作家シュティフターの代表作です。
かつて集英社の世界文学全集に載っていた訳が、ちくま文庫で読むことができます。
訳は分かりやすく、挿し絵が豊富で、註はページの左端にあって、読みやすいです。
とても丁寧に作られた本ですが、(上)(下)合わせて2800円。
1000ページ以上あるし、値段も高いので、気軽に人に勧められません。残念。
青年ハインリヒは、アルプス山麓で、雨宿りさせてもらうために、ある屋敷を訪ねました。
そこは、まるで別天地。バラがいちめんに美しく咲き乱れていました。
家の主人は初老の紳士で、青年は暖かく迎え入れられ、親切なもてなしを受けました。
その生活に心惹かれながらも、お互いに名前を明かさず、青年は3日目に出発します。
後にハインリヒは、王宮に住む知り合いを訪ね、思いがけず屋敷の主人の名を知りました。
彼は、かつて高官だった男爵で…
ハインリヒは、たびたびバラの丘の屋敷を訪れるようになり、ある老婦人と親しくなります。
その老婦人は、かつて男爵と…
物語は、ゆっくりゆっくり進みます。
ストーリーと関係のない話が、たくさん盛り込まれているためです。
植物はこんなふうに育てるのだとか、鳥はこんなふうに世話するのだとか。
つい、うとうとしてしまいます。
しかし、それはそれで贅沢な眠りです。
自分もバラの家にいて、はるかかなたのアルプスを、眺めている夢を見るのですから。
ところでこの本は、無駄を省いたら300ページくらいに圧縮できそうです。
そうしたら、もっと読まれるようになるでしょう。
でも一方、圧縮したら、物足りなくなってしまうような気もします。
案外、無駄のように思われる部分が、この作品では大事なのかもしれません。
さて、シュティフターの作品は地味ですが、自然の美しさが伝わってきます。
すでに紹介した「水晶」も、オススメです。
「水晶」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-05-12
さいごに。(ハクビシン)
娘が、登校中にハクビシンを見たと言いました。充分ありえることです。
顔には白い線が入っていたというから、確かにハクビシンでしょう。
裏の家では、長く留守にしていた間に、ハクビシンが住み着いたことがありました。
その頃、夜中に変な獣の鳴き声や、何かがバタバタ走る音が、よく聞こえました。