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母アンナの子連れ従軍記 [20世紀ドイツ文学]

 「母アンナの子連れ従軍記」 ブレヒト作 谷川道子訳 (古典新訳文庫)


 車を引いて戦場を巡り、兵士を相手に商売をする、母アンナを描いた戯曲です。
 ブレヒトにとって「三文オペラ」と並ぶ代表作で、上演されることも多いです。

 現在、古典新訳文庫で出ています。とても読みやすい訳です。
 ただし、タイトルは「肝っ玉おっ母」の方が良かったような・・・


母アンナの子連れ従軍記 (光文社古典新訳文庫)

母アンナの子連れ従軍記 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ベルトルト ブレヒト
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/08/06
  • メディア: 文庫



 岩波文庫から出ていた岩淵訳は、「肝っ玉おっ母とその子どもたち」。
 現在は品切れ。


肝っ玉おっ母とその子どもたち (岩波文庫)

肝っ玉おっ母とその子どもたち (岩波文庫)

  • 作者: オイゲン・ベルトルト ブレヒト
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2004/04/16
  • メディア: 文庫



 舞台は、17世紀前半の三十年戦争時代のドイツ。
 主人公は、三人の子どもたちと、商品を積んだ車を引いて、戦場を巡る女。

 彼女は「度胸アンナ」と呼ばれています。
 危険をかえりみず、戦場を転々として、兵士相手の商売を続けています。

 戦争は、アンナを儲けさせてくれます。
 しかし、その戦争が、彼女から三人の子どもたちを・・・

 戦場を駆け抜けるたくましいアンナの、愛と知恵と勇気に魅了されます。
 アンナはいつも陽気です。この陽気さが、切ない話を余計に切なくします。

 結末を読んだあと、泣けて泣けて・・・
 それなのに、おせっかいな解説が30ページ続く。(読めないって)

 解説と年譜とあとがきを合わせると、60ページになります。
 はっきり言って、いりません。こういう傑作は、作品が全てを語っています。

 ブレヒトの作品は三つ目ですが、私はこれが一番良かったです。
 「三文オペラ」   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-01-13
 「ガリレオの生涯」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-01-16

 さいごに。(バレンタイン)

 娘からバレンタインデーギフトをもらいました。
 ミニパイに包んだチョコです。前日、妻と一緒に作っていました。 

 おいしかった。そして、とてもうれしかった。
 娘が生まれてから、こういう日が来ることを、ずっと夢見ていたので。

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詐欺師フェーリクス・クルルの告白 [20世紀ドイツ文学]

 「詐欺師フェーリクス・クルルの告白」 トーマス・マン作 岸美光訳 (古典新訳文庫)


 詐欺師であるフェーリクスが、自分の半生を語った告白体の教養小説です。
 マンの遺作で、惜しくも未完に終わりました。


詐欺師フェーリクス・クルルの告白〈上〉 (光文社古典新訳文庫)

詐欺師フェーリクス・クルルの告白〈上〉 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: トーマス マン
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/08/10
  • メディア: 文庫



 ある日フェーリクス少年は、父親に連れられて、人気歌手の楽屋を訪ねました。
 しかし、化粧を落としたその男は、先ほど観客を魅了した歌手とはまるで別人。

 男のあまりにも醜い姿に、フェーリクスは愕然としました。
 そして、演じることや、だますことについて、考えさせられました。

 その後、クルル一家は破産。父は自殺。全てを失い、家族は一から出直します。
 フェーリクスはパリへ向かい、一流ホテルで働き始めます。

 ここまで、やや拍子抜け。というのも、ちっとも詐欺師ではないのです。
 ホテルマンとして働くフェーリクスは、誠実そのものです。

 ところが、ある金持ちの女流作家との出会いによって・・・
 また、青年貴族ヴェノスタ侯爵に出会うと・・・

 しだいにクルルの、演じる能力が開花していきます。彼は言います、
 「人は着ている服次第ですよ、・・・服は着ている人次第。」(下P101)

 物語は、舞台がパリに移ってから、本当に面白くて面白くて。
 一度読み始めたら、なかなか本を置くことができません。

 しかし、残念なことに、マンの死で中断。未完に。
 完成していたら、これこそがマンの最高傑作になっていたでしょう。

 教養小説でありながら、詐欺師を主人公にしているところが実に面白い。
 マンの頭の中にあった続編は、いったいどのようなものだったのだろう。

 さいごに。(学級閉鎖)

 娘のクラスはインフル感染者が10人に達して、学級閉鎖になりました。
 うちの子はA型にもB型にも感染したので、もう大丈夫(?)なのですが。

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カフカ短篇集 [20世紀ドイツ文学]

 「カフカ短篇集」 カフカ作 池内紀編訳 (岩波文庫)


 「掟の門」「判決」「流刑地にて」など名作を収録した、カフカの短篇集です。
 どの作品も短いながら、様々な解釈が可能で、考えさせられる作品です。

 岩波文庫の池内訳は、とても分かりやすかったです。収録数は20。
 「断食芸人」が「変身」とカップリングで、この本に入っていないのが残念。


カフカ短篇集 (岩波文庫)

カフカ短篇集 (岩波文庫)

  • 作者: カフカ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1987/01/16
  • メディア: 文庫



変身・断食芸人 (岩波文庫)

変身・断食芸人 (岩波文庫)

  • 作者: カフカ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2004/09/16
  • メディア: 文庫



 冒頭の「掟の門」から、いっきにカフカ・ワールドに引き込まれます。
 門とは何か? 門番とは何か? いろんな寓意が考えられます。

 続く「判決」も有名です。
 父はなぜ、あのような判決を言い渡したのでしょうか?

 「田舎医者」の馬丁は何者か? 「狩人グラフス」はなぜ蘇ったのか?
 全ての作品、読み終わった後に、「?」が残ります。考えさせられます。

 中でも注目は、「流刑地にて」。ちょっと残虐な内容の作品です。
 この作品は、「海辺のカフカ」のカフカ少年が、次のように説明しています。

 「カフカは僕らの置かれている状況について説明しようとするよりは、
 むしろその複雑な機械のことを純粋に機械的に説明しようとする。・・・
 つまり、そうすることによって彼は、僕らの置かれている状況を誰より
 もありありと説明することができる。」(「海辺のカフカ(上)」P118)

 そして、さらに、「その複雑で目的のしれない処刑機械は、現実の僕のまわり
 に実際に存在したのだ。」と15歳のカフカ少年は言っています。

 ところで、カフカはチェコ語でカラスのことだそうですね。
 このことも私は。「海辺のカフカ」のカフカ少年から教えられました。

 さて、この本を最初に読んだのは大学時代でした。
 当時から変わらず、マイ・ベストは「掟の門」。

 大学を卒業してから四半世紀。未だに自分なりの解釈が完成していません。
 この作品は、「審判」にも取り入れられているそうです。読まなくては。


審判 (岩波文庫)

審判 (岩波文庫)

  • 作者: カフカ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1966/05/16
  • メディア: 文庫



 なお、ちくま文庫からは、「カフカセレクション」全三冊が出ています。
 他の文庫では読めない作品も多く、ややマニア向きの本です。


カフカ・セレクション〈1〉時空/認知 (ちくま文庫)

カフカ・セレクション〈1〉時空/認知 (ちくま文庫)

  • 作者: フランツ カフカ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2008/07/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(雪!)

 なんと、雪です! ここに家を建ててから、初めてのことです。
 仕事が休みの日でよかった。道にも少し、雪が積もっていました。

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飛ぶ教室 [20世紀ドイツ文学]

 「飛ぶ教室」 ケストナー作 丘沢静也訳 (光文社古典新訳文庫)


 ギムナジウムの寄宿舎を舞台に、少年たちと人びととの交流を描いた小説です。
 世界中で愛されている、児童文学の傑作です。

 古典新訳文庫と講談社文庫から出ています。どちらもオススメです。
 私が読んだ古典新訳文庫版は、とても明快な訳でした。(でも、カバーが・・・)


飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ケストナー
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/09/07
  • メディア: 文庫



飛ぶ教室 (講談社文庫)

飛ぶ教室 (講談社文庫)

  • 作者: エーリッヒ ケストナー
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2003/12/10
  • メディア: 文庫



 ファンタジーではありません。ギムナジウムを舞台にした物語です。
 私は、「空飛ぶじゅうたん」のような物語だとばかり思っていました。

 成績1番のマルティン、ボクサー志望のマティアス、臆病なウーリ、
 読書家のセバスティアン、両親から捨てられたジョニー。

 物語の中心は、これら5人の少年たちです。
 ギムナジウムの5年生。年は、10代の半ばでしょうか。

 しかし、大人こそ、この物語を読むべきです。
 自分が忘れていた大切な何かを、思い出すことでしょう。

 少年たちを取り巻く大人たちが、とても良い味を出しています。
 特に、正義さんと禁煙さん。禁煙さんの次の言葉は印象的でした。

 「ただね、大切なことに思いをはせる時間をもった人間が、
 もっとふえればいいと思うだけだ。」(P160)

 解説によると、ケストナーは、「すなおな感情、はっきりした思考、
 かんたんな言葉」に、こだわったのだそうです。

 実際、とても分かりやすいです。だから、注釈がひとつもありません。
 ただ、私は「ディクテーション・ノート」(P43)の意味が分からなかった。
 人の名前かと思っていました。(ああ、恥ずかし)

 さて、訳者解説は、わずか7ページ足らずですが、秀逸です。
 ケストナーに対する愛を感じます。

 解説が短く、注釈は無し。値段は500円を切っています。
 実に理想的な文庫本です。本を作る人みんなに、見習ってほしいです。

 さいごに。(なぜ私だけうつらなかったのか)

 妻と娘が寝込んでいたので、洗濯・食事の用意・食器洗いなどをやりました。
 この間、インフルのふたりと顔を突き合わせていたのに、私だけ元気でした。 

 私の仕事場で、感染した人は、まだひとりもいません。
 多くの人と接する仕事をしているので、自然に免疫ができたのでしょうか。

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ふたりのロッテ [20世紀ドイツ文学]

 「ふたりのロッテ」 ケストナー作 池田香代子訳 (岩波少年文庫)


 離れ離れに暮らしていた双子の少女たちが、両親を和解させるまでの物語です。
 児童文学の傑作として知られています。

 現在、岩波少年文庫シリーズから出ています。とても分かりやすい訳です。
 ただし、文庫本ではありません。ソフトカバーの単行本です。


ふたりのロッテ (岩波少年文庫)

ふたりのロッテ (岩波少年文庫)

  • 作者: エーリヒ ケストナー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2006/06/16
  • メディア: 単行本



 ある夏休み、林間学校で、二人のそっくりな女の子が出会いました。
 ルイーゼとロッテです。

 二人は9歳。これまで、別々の街で暮らしてきました。
 しかし、誕生日も一緒。生まれた場所も一緒だったのです。

 話をしていくうちに、しだいに分かってきたひとつの事実・・・
 そして、ふたりが取った秘密の行動・・・

 児童文学だからと言って、甘く見てはいけません。
 大人が読んでも、充分に楽しめます。感動します!

 少女たちのけなげな行動が、大人たちを少しずつ変えていきます。
 子供の心の純真さが、大人の心を打ちます。

 さて、作者ケストナーは、ナチスドイツ政権下で、著作を禁じられていました。
 彼が、終戦後に満を持して出した作品が、この「ふたりのロッテ」です。

 この小説は、当時、たいへんな評判を呼んだのだそうです。
 きっとこの作品は、戦争で傷ついた人々の心を、やさしく癒したと思います。

 さて、ケストナーといえば、「飛ぶ教室」。こちらは、文庫で出ています。
 「ふたりのロッテ」も文庫化してほしい。大人に読んでもらいたいから。


飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ケストナー
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/09/07
  • メディア: 文庫



 さいごに。(インフル)

 娘がインフルエンザになったので、看病するために仕事を早退しました。
 すると、娘はすでに薬が効いて熱が下がり、元気に歌を歌っていました。

 しかし、妻がダウン。医者に連れて行くと、インフルエンザでした。
 ひと晩中、娘を看病していたので、うつされてしまったようです。
 妻も薬を飲んでいますが、娘よりずっと症状が長引いています。

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ワイマルのロッテ [20世紀ドイツ文学]

 「ワイマルのロッテ」 トーマス・マン作 望月市恵訳 (岩波文庫)


 ゲーテと、「ウェルテル」のシャルロッテの、44年ぶりの再会を描いた小説です。
 ゲーテの日記にたった1行残された、二人の再会の記述をもとに創作されました。

 岩波文庫から上下二分冊で出ていましたが、上が品切れです。
 (下だけあってもしかたがない。なんとかしておくれ。)


ワイマルのロッテ (上) (岩波文庫)

ワイマルのロッテ (上) (岩波文庫)

  • 作者: トーマス・マン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2002/07/09
  • メディア: 文庫



 1816年の9月。ワイマルのある旅館に、上品な老婦人がやってきました。
 宿帳に記された名前は、「宮中顧問官夫人シャルロッテ・ケストナー」。

 旅館の給仕マーゲルは、涙を流さんばかりに感動します。
 彼女こそ、「若きウェルテルの悩み」に描かれた、ロッテなのです。

 あれこれと問いかけてしまう給仕マーゲル。
 そのワクワク感がビンビン伝わってきて、こちらまでワクワクしてきます。

 しかも、シャルロッテとゲーテとの会見は、史実だというのです。
 ゲーテファン、ウェルテルファンには、たまりません。

 ところが、肝心のゲーテが、なかなか現れないのです。
 ウェルテルとは無関係な人物が出てきて、期待ははぐらかされてしまいます。

 その間、もどかしくて、もどかしくて。
 下巻に入り、ようやくゲーテが登場した頃には、すでに疲れきっていました。

 他のマンの作品にも言えることですが、無駄を省けば半分ぐらいになります。
 「とんでもない、無駄な部分は少しも無い!」と、我が朋友は言いましたが。

 この物語は、「ウェルテル」の後日譚として、実に興味深い作品でした。
 もう一度、「ウェルテル」を読み直したくなりました。
 「ウェルテル」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-07-02

 その一方で、ゲーテファンにとって、複雑な気分になる作品でもあります。
 ゲーテのイメージが崩れます。本国で批判されたのも当然でしょう。

 ところで、少し前に、「ゲーテの恋」という映画が上映されました。
 ちょっと見たい気がします。100分ほどと、比較的短めなので。


ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~ [DVD]

ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~ [DVD]

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD



 余談ですが、「ロッテ」と聞いて、私がまずイメージするのはこの作品です。
 主人公のひとりが、ロッテ・ケルナー。作者はケストナー!


ふたりのロッテ (岩波少年文庫)

ふたりのロッテ (岩波少年文庫)

  • 作者: エーリヒ ケストナー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2006/06/16
  • メディア: 単行本



 さいごに。(娘の車酔い)

 最近、娘の車酔いがひどいです。始まったのは、1年生になった頃からです。
 幼稚園の時には、毎朝幼稚園バスに乗っていても、全く平気だったのですが。

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ガリレオの生涯 [20世紀ドイツ文学]

 「ガリレオの生涯」 ブレヒト作 谷川道子訳 (古典新訳文庫)


 地動説を巡って教会と対立したガリレオの、後半生を描いた戯曲です。
 ブレヒト最後の傑作です。

 現在、古典新訳文庫と岩波文庫から出ています。
 古典新訳文庫版は、訳が新しくて分かりやすいので、オススメです。

 ただし、本文のあとに、おせっかいな解説や年譜が90ページ続いています。
 そういう余分なページを省略して、700円ぐらいに抑えてほしかったです。

 それから、このカバーイラスト。望遠鏡を振り回すナメクジ人間!
 古典新訳文庫のカバーには、少しずつ慣れてきたものの、これはひどい。


ガリレオの生涯 (光文社古典新訳文庫)

ガリレオの生涯 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ベルトルト ブレヒト
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/01/10
  • メディア: 文庫



 1609年、ガリレオは望遠鏡で天体を観察し、地動説の証拠を見つけました。
 人びとに真実を伝えますが、学者たちは望遠鏡をのぞこうとさえしません。

 地動説を葬りたい教会と、諦めないガリレオ。両者の対立は激化します。
 「真理を知らぬ者は馬鹿だが、真理を知りながらそれを嘘だと言う者は犯罪者だ!」

 それなのに、1633年、ガリレオは異端審問所で、地動説を撤回してしまいました。
 はたして、ガリレオは敗れたのか?・・・

 ドタバタ劇の「三文オペラ」より、はるかに面白かったです。
 ガリレオの名著「天文対話」を、読んでみたくなりました。(品切れ)


天文対話〈上〉 (岩波文庫)

天文対話〈上〉 (岩波文庫)

  • 作者: ガリレオ ガリレイ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1959/08/25
  • メディア: 文庫



 ブレヒトは、ナチス政権下の亡命時代に、この作品を書き続けていました。
 命がけで真実を告げるガリレオの姿は、当時のブレヒトに重ねられます。

 さいごに。(表彰)

 仕事で表彰されました(うちの支店からは3人)。その理由は・・・
 1 夏の出張で良い結果が出た ← 若い人たちの活躍のおかげ
 2 我が課の取り組みの成果が出てきた ← 4月に入った助っ人のおかげ

 みんな他人の力によるものです。それでも社内報には、名前が載ってしまう。
 今後は、「なんであいつが?」と、思われないようにしなくては・・・

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三文オペラ [20世紀ドイツ文学]

 「三文オペラ」 ブレヒト作 岩淵達治訳 (岩浪文庫)


 盗賊団の親分メッキーと、乞食集団の親分の娘ポリーを巡る、ドタバタ劇の傑作です。
 英国詩人ゲイの「乞食オペラ」を、約200年後に書き直して、大ヒットさせました。

 ついこのあいだまで、書店の店頭に並んでいましたが、現在は品切れです。
 2006年の新訳で、比較的手に入りやすい本です。


三文オペラ (岩波文庫)

三文オペラ (岩波文庫)

  • 作者: ベルトルト・ブレヒト
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2006/01/17
  • メディア: 文庫



 主人公は、盗賊団の親分で、女たらしのメッキーです。 
 彼は、あるとき街で見かけた女ポリーに惚れて、結婚してしまいました。

 ポリーの父親は、乞食集団の親分ピーチャムです。
 彼は、娘を奪った悪党を破滅させるために、ロンドン警視総監に働きかけます。

 しかし、メッキーと警視総監は・・・
 しかし、ピーチャムはあることを企み・・・

 実に楽しい茶番劇です。挿入されている多くの歌が、劇を盛り上げてくれます。
 スタンダード「マック・ザ・ナイフ」は、メッキーのテーマソングだったのですね。

 今年2014年9月、新国立劇場で上演されるようです。
 長そうなので、見たいとは思いませんが。

 ある公演では、休憩を入れて3時間半だったそうです。
 (寝ちゃうって)

 ついでに言うと、岩浪文庫には、覚書・訳注・解説が70ページほど付いています。
 (読まないって)

 ところで、作者ブレヒトは、トーマス・マンと同時期のドイツの作家です。
 「ガリレオの生涯」「肝っ玉おっかちゃん」なども有名です。


ガリレオの生涯 (光文社古典新訳文庫)

ガリレオの生涯 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ベルトルト ブレヒト
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/01/10
  • メディア: 文庫



肝っ玉おっ母とその子どもたち (岩波文庫)

肝っ玉おっ母とその子どもたち (岩波文庫)

  • 作者: オイゲン・ベルトルト ブレヒト
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2004/04/16
  • メディア: 文庫



 ドイツは20世紀に入ると、他にカフカ、ケストナーなど、おなじみの作家が登場。
 「19世紀アメリカ文学」に移る前に、読んでおきたいです。

 さいごに。(定着度テスト100点)

 娘の小学校で、国語と算数の定着度テストがありました。
 娘はどちらも100点。両方100点は、クラスに3人だけだったそうです。

 娘は大喜びでしたが、それ以上に、私と妻も喜びました。
 冬休みに、苦手なカタカナと時計を勉強していたのが、良かったと思います。

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ファウスト博士 [20世紀ドイツ文学]

 「ファウスト博士」 トーマス・マン作 関泰祐・関楠生訳 (岩波文庫)


 ある文献学者が語る、天才作曲家アドリアン・レーヴェルキューンの物語です。
 トーマス・マンの晩年の傑作で、亡命先のアメリカで執筆されました。

 現在、岩波文庫から出ています。初版は1974年。
 もともと1952年~54年に、岩波現代叢書から出たものの改訳です。


ファウスト博士〈上〉 (1974年) (岩波文庫)

ファウスト博士〈上〉 (1974年) (岩波文庫)

  • 作者: トーマス・マン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1974/08/16
  • メディア: 文庫



 ファウスト博士の物語ではありません。架空の音楽家アドリアンの伝記です。
 表紙の作品紹介を読んで、私は初めてそのことを知りました。

 さて、アドリアンは音楽の道に進むため、ライプチヒへ旅立ちました。
 案内者によって娼婦の館に連れて行かれ、そこで一人の娼婦に出会いました。

 病気治療で町を去っていた彼女を、アドリアンは追い求め、探し当てました。
 そして、彼女が与えた警告を無視して、行為におよんでしまうのです。

 これが、アドリアンの人生に、決定的な意味を与えました。
 それは、悪魔との血の契約だったのです。

 悪魔的な想像力を発揮する一方で、破滅に向かってひた走るアドリアン。
 最後の大作「ファウスト博士の嘆き」を完成させると、・・・

 さすが、「魔の山」のトーマス・マンです。この作品も、強烈でした。
 脱線しながら続くおしゃべり、感情だけが空回りする議論など、マン節も健在。

 そして、興味深いのは、二重の時間。
 「物語の内容が演ぜられている時間」と「語り手が活動している時間」です。

 この二つの時間は照応していて、「アドリアン」と「ドイツ」は重なります。
 悪魔の取引を受け入れて、狂気によって破滅に向かう「アドリアン」。
 ナチス政権を受け入れて、暴走によって破滅に向かう「ドイツ」。

 ナチス政権に抵抗していたマンは、亡命先のアメリカでこれを書きました。
 物語の語り手が至る所でドイツ批判をやっている理由が、そこにあります。

 ところで、この作品から、タルティーニの「悪魔のトリル」を連想しました。
 ムターによる演奏がオススメ。悪魔的な美しさがあります。


カルメン幻想曲~ヴァイオリン名曲集

カルメン幻想曲~ヴァイオリン名曲集

  • アーティスト: ムター(アンネ=ゾフィー),サラサーテ,フォーレ,ビエニアフスキ,タルティーニ,ラヴェル,マスネ,レヴァイン(ジェイムズ),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2005/10/26
  • メディア: CD



 昨年末、私は地元の書店で、「ファウスト博士」を三冊一緒に購入しました。
 しかし、現在は品切れです。

 実は昨年末、同時に「ワイマルのロッテ」も二冊一緒に購入しました。
 そして、この本も上巻が品切れです。

 これら名作は、常に文庫本で手に入るようにしてほしいものです。
 品切れの本は、人にオススメしにくいので。

 さいごに。(初登山)

 今年の初登山に行きました。登山といっても、歩行は往復1時間ほど。
 寒かったけど、天気が良くて気持ち良かったです。

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車輪の下 [20世紀ドイツ文学]

 「車輪の下」 ヘッセ作 高橋健二訳 (新潮文庫)

 優秀な少年ハンスが、神学校という車輪の下で、踏み潰されてしまう物語です。
 「郷愁」の次に出た小説です。日本で最も読まれているヘッセ作品です。

 古典新訳文庫、新潮文庫、集英社文庫、岩浪文庫、角川文庫などから出ています。
 もっとも新しくて、分かりやすい訳は、古典新訳版です。


車輪の下で (光文社古典新訳文庫)

車輪の下で (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ヘッセ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/12/06
  • メディア: 文庫



 しかし私が読んだのは、新潮文庫版。訳は古いけど、味わいがあります。
 大学時代に読んでから、私にとって「車輪の下」といえば、これです。


車輪の下 (新潮文庫)

車輪の下 (新潮文庫)

  • 作者: ヘルマン ヘッセ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1951/12/04
  • メディア: 文庫



 (注意。今回はネタバレが多めです)

 ハンスは天分のある子で、多くの人々の期待を背負って、神学校を受験しました。
 そして2番の成績で、見事に合格しました。

 神学校で1番を目指し、ひたすら勉強に励むハンス。
 しかし親しくなったのは、異端児のハイルナー。

 時はまさに思春期。新しい友情によって、ハンスは揺さぶられます。
 今までの生き方に疑問を感じ、勉強よりも友情を選びます。

 新学校に入学した時、ハンスは街にとって誇りであり、期待の星でした。
 しかし挫折して、1年もたたずに帰郷すると・・・

 さて、読んでみてひとつ謎が残ります。
 ハンスの死は、事故だったのが、自殺だったのか。

 初めて読んだ大学時代、私は事故死として解釈しました。
 機械工として新しい人生に踏み出したハンスに、自殺は不自然に思えたのです。

 で、故郷で新たな展望が開けたものの、事故によってうっかり死んでしまった、
 ハンスは死んで、自然に帰り、魂の調和を取り戻した。と、甘い解釈をしました。

 しかし、今回読み返してみて、私はこれを自殺だと考えたくなりました。
 もちろん、キリスト教社会にとって、自殺は大罪です。
 だからこそ、ハンスは最後の最後に、社会への反抗として、それを選んだのでは?

 死んでもなお美しかったハンス。
 彼は、その死によって、校長や父親や、更には自分の人生に復讐したのではないか。

 ところで、今回読んで、ずっと心に引っかかっていたことがあります。
 それは、ハンスは、この父親の子ではないのではないか、ということです。

 ハンスは、街にこれまで存在しなかったような、才能と風貌を持つ少年です。
 そして、父親にはまったく似ていない少年です。

 つまり、ハンスは異端児として生まれたのではないか。
 そして、異端児として死んだのではないか。

 考えすぎだとは思うのですが・・・
 そう考えた方が、自分にはすっきりと解釈できるのです。

 さいごに。(シュトーレン)

 今年も、お正月にシュトーレンを作りました。今が、食べごろです。
 なかなかおいしくできました。妻も娘も喜んでくれています。

 娘がケーキ屋さんになったら、私の作るシュトーレンをお店に置いてもらう予定。
 しかし、最近、娘の将来の希望が変わってきているので、かなわぬ夢かも。

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