エプタメロン [中世文学]
「エプタメロン」 ナヴァール王妃作 平野威馬雄訳 (ちくま文庫)
増水した川に橋を架けるまでの間、男女が交代で一日に10話ずつ物語ったものです。
「デカメロン」の影響で書かれましたが、作者の死によって七日物語となりました。
ちくま文庫から出ていますが、72話のうち27話を収めている抄訳版です。
全訳したうえで、合理的なストーリーにして、そのエッセンスを取り出したと言う。
温泉場からの帰り道、フランス人の一行は、洪水によって川を渡れなくなりました。
では川に橋がかかるまでの間、お互いにお話を語り合おうということになって・・・
「デカメロン」同様、まじめな話よりも、不まじめな話の方が、ずっと面白いです。
そして「デカメロン」同様、作品に色どりを加えているのは、堕落した聖職者ども。
以下、特に気に入った話について、少しだけ紹介します。
(ちくま文庫版の収録数は27話のみなので、全訳版とは話の番号が異なります。)
第六話では、好色な男が、召使だと思いこんで、自分の妻を相手にしてしまい・・・
その夜、若い友人にも同じことをさせた結果、その妻は・・・全体のベスト作です。
第九話では、厳格な僧院長が、あの手この手で尼僧を誘惑します。
「尼僧が乳房を持っていて何の用があるか? こうして触ってやらなくては・・・」
第十話については、そのストーリーはともかく、補足説明がとても興味深いです。
妻をフランソワ一世に寝取られた男が、捨て身でおこなった恐ろしい復讐とは?!
ほか、第十九話の修道僧は、怠け者の令嬢を、どんなふうに「懲らしめた」のか?
第二十話の神父は、ある花嫁のベッドで、どのような「ダンス」をしたか?
第二十七話の、臨終間際の妻が回復してしまったのは、夫が何をしたからか?
「まさか」と思うことが次々に起きます。しかも、著者によると全て実話だと言う。
著者のナヴァール王妃は、フランス・ルネサンス期の王フランソワ一世の姉です。
そして仏語で書かれた「エプタメロン」は、フランス・ルネサンスの代表作です。
ところで、鹿島茂による解説に、興味深いことが書かれてありました。
フランスにおける「恋愛」とは、結婚後に人妻が愛人と楽しむことを言うとか・・・
さいごに。(佐久島)
愛知県の南海、三河湾に浮かぶ佐久島(人口262人)に、日帰りで行ってきました。
安くお手軽に(船賃は往復大人1640円)、南の島の雰囲気を味わってきました。
佐久島は、地域おこしがうまくいった島で、「現代アートの島」として蘇りました。
多くの観光客が訪れ、そのほとんどが名物の「大あさり丼」を食べています。
増水した川に橋を架けるまでの間、男女が交代で一日に10話ずつ物語ったものです。
「デカメロン」の影響で書かれましたが、作者の死によって七日物語となりました。
ちくま文庫から出ていますが、72話のうち27話を収めている抄訳版です。
全訳したうえで、合理的なストーリーにして、そのエッセンスを取り出したと言う。
温泉場からの帰り道、フランス人の一行は、洪水によって川を渡れなくなりました。
では川に橋がかかるまでの間、お互いにお話を語り合おうということになって・・・
「デカメロン」同様、まじめな話よりも、不まじめな話の方が、ずっと面白いです。
そして「デカメロン」同様、作品に色どりを加えているのは、堕落した聖職者ども。
以下、特に気に入った話について、少しだけ紹介します。
(ちくま文庫版の収録数は27話のみなので、全訳版とは話の番号が異なります。)
第六話では、好色な男が、召使だと思いこんで、自分の妻を相手にしてしまい・・・
その夜、若い友人にも同じことをさせた結果、その妻は・・・全体のベスト作です。
第九話では、厳格な僧院長が、あの手この手で尼僧を誘惑します。
「尼僧が乳房を持っていて何の用があるか? こうして触ってやらなくては・・・」
第十話については、そのストーリーはともかく、補足説明がとても興味深いです。
妻をフランソワ一世に寝取られた男が、捨て身でおこなった恐ろしい復讐とは?!
ほか、第十九話の修道僧は、怠け者の令嬢を、どんなふうに「懲らしめた」のか?
第二十話の神父は、ある花嫁のベッドで、どのような「ダンス」をしたか?
第二十七話の、臨終間際の妻が回復してしまったのは、夫が何をしたからか?
「まさか」と思うことが次々に起きます。しかも、著者によると全て実話だと言う。
著者のナヴァール王妃は、フランス・ルネサンス期の王フランソワ一世の姉です。
そして仏語で書かれた「エプタメロン」は、フランス・ルネサンスの代表作です。
ところで、鹿島茂による解説に、興味深いことが書かれてありました。
フランスにおける「恋愛」とは、結婚後に人妻が愛人と楽しむことを言うとか・・・
さいごに。(佐久島)
愛知県の南海、三河湾に浮かぶ佐久島(人口262人)に、日帰りで行ってきました。
安くお手軽に(船賃は往復大人1640円)、南の島の雰囲気を味わってきました。
佐久島は、地域おこしがうまくいった島で、「現代アートの島」として蘇りました。
多くの観光客が訪れ、そのほとんどが名物の「大あさり丼」を食べています。
封神演義 [中世文学]
「封神演義」 許仲琳作 八木原一恵編訳 (集英社文庫)
殷から周に変わる混乱期に、人界と仙界が入り乱れて戦う、荒唐無稽な物語です。
漫画にアレンジされて、週刊少年ジャンプに連載され、とても評判になりました。
集英社文庫から、八木原の編訳が上下二分冊で出ています。
抄訳で読みやすくなっています。巻頭に登場人物の紹介があって便利です。
殷の末期、紂王(ちゅうおう)は妲己(だっき)に溺れ、暴政を行っていました。
実は妲己は、女媧(じょか)が紂王を破滅させるために遣わした、千年の狐でした。
周の武王は姜子牙(きょうしが=太公望)の助けを得て、紂王征伐に向かいました。
実は姜子牙は、崑崙山(こんろんざん)の道士で、元始天尊の命を受けていました。
一方、殷の太師の聞仲(ぶんちゅう)もまた道士で、殷のために周と戦います。
姜子牙と聞仲の戦いは、道教の二大派閥の戦いとなり、仙界を巻き込んでいき・・・
コミック版や安能版が評判になっていた頃から、この作品が気になっていました。
また、「封神演義」は四大奇書に並ぶ傑作だ、ということをどこかで聞きました。
実際、妲己によって人間界が翻弄されていく場面までは、とても面白かったです。
妲己は一種のヒロインであり、彼女を中心に展開する間は、話が分かりやすかった。
ところが、周と殷の戦いになってからは、次から次に登場人物が現れては消えます。
人物の名前や武器の名前を覚えることに必死で、筋道をたどることに精一杯でした。
姜子牙は、ピンチになると元始天尊の所へ助けを求め、助っ人を遣わされるし・・・
求めなくとも勝手に助っ人が現れるし・・・助っ人は色んな武器を持ってるし・・・
似たような名前があるから、敵か味方か分からなくなるし・・・
死んだと思ったら生き返るので、誰が死んでしまったのか分からなくなるし・・・
途中から内容は、道士たちの技比べになりました。まるで、出し物大会です。
結局私は、前編だけで投げ出してしまいました。後編も買ってあるのですが。
しかし、読まないのももったいないから、結末だけこっそり盗み見をしました。
・・・そうか・・・なるほど・・・
ところで、この作品がもしコミックなら、確かに面白く読めるのかもしれません。
コミックのネタとなった、安能務の「封神演義」も買ったまま、積読状態です。
さいごに。(娘の話ばかり)
前の職場の仲間と、久しぶりに飲み会がありました。
「娘さんはどう?」と、なぜか娘のことばかり聞かれました。どうして?
「だって昔から、娘さんのことしか話さなかったじゃないですか」とのこと。
そうか。昔も今も、私の話題はいつも、娘のことばかりだったのか・・・
殷から周に変わる混乱期に、人界と仙界が入り乱れて戦う、荒唐無稽な物語です。
漫画にアレンジされて、週刊少年ジャンプに連載され、とても評判になりました。
集英社文庫から、八木原の編訳が上下二分冊で出ています。
抄訳で読みやすくなっています。巻頭に登場人物の紹介があって便利です。
殷の末期、紂王(ちゅうおう)は妲己(だっき)に溺れ、暴政を行っていました。
実は妲己は、女媧(じょか)が紂王を破滅させるために遣わした、千年の狐でした。
周の武王は姜子牙(きょうしが=太公望)の助けを得て、紂王征伐に向かいました。
実は姜子牙は、崑崙山(こんろんざん)の道士で、元始天尊の命を受けていました。
一方、殷の太師の聞仲(ぶんちゅう)もまた道士で、殷のために周と戦います。
姜子牙と聞仲の戦いは、道教の二大派閥の戦いとなり、仙界を巻き込んでいき・・・
コミック版や安能版が評判になっていた頃から、この作品が気になっていました。
また、「封神演義」は四大奇書に並ぶ傑作だ、ということをどこかで聞きました。
実際、妲己によって人間界が翻弄されていく場面までは、とても面白かったです。
妲己は一種のヒロインであり、彼女を中心に展開する間は、話が分かりやすかった。
ところが、周と殷の戦いになってからは、次から次に登場人物が現れては消えます。
人物の名前や武器の名前を覚えることに必死で、筋道をたどることに精一杯でした。
姜子牙は、ピンチになると元始天尊の所へ助けを求め、助っ人を遣わされるし・・・
求めなくとも勝手に助っ人が現れるし・・・助っ人は色んな武器を持ってるし・・・
似たような名前があるから、敵か味方か分からなくなるし・・・
死んだと思ったら生き返るので、誰が死んでしまったのか分からなくなるし・・・
途中から内容は、道士たちの技比べになりました。まるで、出し物大会です。
結局私は、前編だけで投げ出してしまいました。後編も買ってあるのですが。
しかし、読まないのももったいないから、結末だけこっそり盗み見をしました。
・・・そうか・・・なるほど・・・
ところで、この作品がもしコミックなら、確かに面白く読めるのかもしれません。
コミックのネタとなった、安能務の「封神演義」も買ったまま、積読状態です。
さいごに。(娘の話ばかり)
前の職場の仲間と、久しぶりに飲み会がありました。
「娘さんはどう?」と、なぜか娘のことばかり聞かれました。どうして?
「だって昔から、娘さんのことしか話さなかったじゃないですか」とのこと。
そうか。昔も今も、私の話題はいつも、娘のことばかりだったのか・・・
中国怪奇小説集 [中世文学]
「中国怪奇小説集」 岡本綺堂 (光文社文庫)
六朝、唐、五代、宋、元、明、清の小説から、二百二十の怪奇談を集めたものです。
中国の怪奇小説は、特に室町と江戸時代の日本の小説に、大きな影響を与えました。
「捜神記」「酉陽雑俎(ゆうようざっそ)」「輟耕録(てっこうろく)」・・・
二十種ほどの怪奇小説から、選び抜かれた怪奇談が収録されています。
「秦の時代に、南方に落頭民(らくとうみん)という人種があった。
その頭がよく飛ぶのである。・・・」(P25)
落頭民? 頭が飛ぶ? しかも、耳を翼にして、窓から飛んで出てゆくと言う。
とんでもないことが、まことしやかに書かれていて、冒頭から度肝を抜かれました。
この本は、怖くて面白い話の宝庫です。どれも短いので読みやすいです。
中でも、マイ・ベスト10は、以下のとおりです。(時代順)
1 「首の飛ぶ女」(捜神記) 先の、落頭民の話です。
2 「武陵桃林」(捜神後記) 桃の林の先の、小さな洞穴に入ってみると・・・
3 「離魂病」(捜神後記) 起きて出たはずの夫が、まだそこに眠っていて・・・
4 「画中の人」(酉陽雑俎) 絵に筆を着けずに、精彩を加えると言うが・・・
5 「人面瘡」(酉陽雑俎) 二の腕にできた腫物は、人の顔をしていて・・・
6 「鬼国」(稽神録) その国の人たちには、我々の姿が見えないようで・・・
7 「亡妻」(異聞総録) 門に立っていた女は、自分の死んだ妻であって・・・
8 「牡丹燈記」(剪燈新話) 美しい女は実は、おしろいをつけた骸骨で・・・
9 「名画の鷹」(池北偶談) 嫁が狐に見込まれたが、鷹の掛物をかけると・・・
10 「金鉱の妖怪」(子不語) 金鉱で生き埋めになった者の形骸はそのまま・・・
私は、特に「捜神記」と「捜神後記」を読みたくて、この本を購入しました。
「捜神記」25編、「捜神後記」27編。一話が短いので、もっと採録してほしかった。
六朝時代のこの素朴な二編は、柳田國男の「遠野物語」を連想させました。
唐時代の「酉陽雑俎」になると、洗練されている分、作り話っぽくなりました。
そして、この手の怪談が完成するのが、清の時代でしょう。
清の時代には、なんといっても「聊斎志異(りょうさいしい)」があります。
この「中国怪奇小説集」の特徴は、語り手が時代の概要を説明するところです。
語り手の説明によって、中国怪奇小説の歴史をたどっていくことができました。
ただ、怪奇小説集の最高峰である「聊斎志異」が、なぜか入っていません。
岩波文庫から出ているので、ぜひ読んでおきたいです。
さいごに。(クロール克服)
水泳の授業が始まる前に、クロールを50メートル泳げるようにしておきたいです。
娘は息継ぎがうまくいかず、昨年の5年の時は25メートルしか泳げませんでした。
そこで、先日の日曜日に、市民プールに連れていき、クロールの練習をしました。
息継ぎのタイミングを少し修正しただけで、すぐに50m泳げるようになりました!
六朝、唐、五代、宋、元、明、清の小説から、二百二十の怪奇談を集めたものです。
中国の怪奇小説は、特に室町と江戸時代の日本の小説に、大きな影響を与えました。
「捜神記」「酉陽雑俎(ゆうようざっそ)」「輟耕録(てっこうろく)」・・・
二十種ほどの怪奇小説から、選び抜かれた怪奇談が収録されています。
「秦の時代に、南方に落頭民(らくとうみん)という人種があった。
その頭がよく飛ぶのである。・・・」(P25)
落頭民? 頭が飛ぶ? しかも、耳を翼にして、窓から飛んで出てゆくと言う。
とんでもないことが、まことしやかに書かれていて、冒頭から度肝を抜かれました。
この本は、怖くて面白い話の宝庫です。どれも短いので読みやすいです。
中でも、マイ・ベスト10は、以下のとおりです。(時代順)
1 「首の飛ぶ女」(捜神記) 先の、落頭民の話です。
2 「武陵桃林」(捜神後記) 桃の林の先の、小さな洞穴に入ってみると・・・
3 「離魂病」(捜神後記) 起きて出たはずの夫が、まだそこに眠っていて・・・
4 「画中の人」(酉陽雑俎) 絵に筆を着けずに、精彩を加えると言うが・・・
5 「人面瘡」(酉陽雑俎) 二の腕にできた腫物は、人の顔をしていて・・・
6 「鬼国」(稽神録) その国の人たちには、我々の姿が見えないようで・・・
7 「亡妻」(異聞総録) 門に立っていた女は、自分の死んだ妻であって・・・
8 「牡丹燈記」(剪燈新話) 美しい女は実は、おしろいをつけた骸骨で・・・
9 「名画の鷹」(池北偶談) 嫁が狐に見込まれたが、鷹の掛物をかけると・・・
10 「金鉱の妖怪」(子不語) 金鉱で生き埋めになった者の形骸はそのまま・・・
私は、特に「捜神記」と「捜神後記」を読みたくて、この本を購入しました。
「捜神記」25編、「捜神後記」27編。一話が短いので、もっと採録してほしかった。
六朝時代のこの素朴な二編は、柳田國男の「遠野物語」を連想させました。
唐時代の「酉陽雑俎」になると、洗練されている分、作り話っぽくなりました。
そして、この手の怪談が完成するのが、清の時代でしょう。
清の時代には、なんといっても「聊斎志異(りょうさいしい)」があります。
この「中国怪奇小説集」の特徴は、語り手が時代の概要を説明するところです。
語り手の説明によって、中国怪奇小説の歴史をたどっていくことができました。
ただ、怪奇小説集の最高峰である「聊斎志異」が、なぜか入っていません。
岩波文庫から出ているので、ぜひ読んでおきたいです。
さいごに。(クロール克服)
水泳の授業が始まる前に、クロールを50メートル泳げるようにしておきたいです。
娘は息継ぎがうまくいかず、昨年の5年の時は25メートルしか泳げませんでした。
そこで、先日の日曜日に、市民プールに連れていき、クロールの練習をしました。
息継ぎのタイミングを少し修正しただけで、すぐに50m泳げるようになりました!
十八史略1 [中世文学]
「十八史略1・2」 曾先之著 丸山松幸・西野広祥訳 (徳間文庫)
伝説時代から南宋までの18の史書を、簡潔にまとめた中国歴史の入門書です。
14世紀前半に曾先之によって作られ、明の陳殷によって注釈が施されました。
私が読んだのは、徳間文庫版です。全6巻ありますが、抄訳だそうです。
読みやすいように、小見出しや註や補説が付いています。
「史記」「漢書」「三国志」「晋書」「宋書」「魏書」「隋書」「新唐書」・・・
ほか、全18の中国史書の膨大な内容を、略して分かりやすく記述しています。
中国歴史のポイントを押さえ、ほとんどの故事や名言も採録してあります
ひと通り読めば、中国歴史の基礎知識が得られるようになっています。
第一巻は、神々の時代から、夏、殷、周、春秋、戦国までを収録しています。
この巻では、高校の教科書 で学んだ有名な逸話が、次から次に登場します。
「鼓腹撃壌」「臥薪嘗胆」「太公望」「管鮑の交わり」「晏子の御」
「鶏鳴狗盗」「鶏口牛後」「刎頚の交わり」「隗より始めよ」・・・
印象的だったのは、呉の夫差と伍子胥、越の句践と范蠡の、熱い復讐の物語!
それから、蘇秦の合従策と、張儀の連衡策。かつての旧友同士の友情と戦い!
春秋時代の国々、戦国の七雄と、多くの国があって、頭が整理できません。
取り上げられる人物も多く、誰がどこの国の人なのか、すぐ忘れてしまいます。
第二巻は、秦の統一から、項羽と劉邦を経て、漢の時代までを収録しています。
基本は秦と漢だけなので、第一巻に比べて、歴史の流れが整理しやすいです。
始皇帝、趙高、陳勝と呉広、項羽と劉邦、韓信、呂后、文帝、武帝、王莽・・・
中国の雄大な歴史を、お手軽に振り返ることができるという意味は大きい。
しかし、あまりにも簡略化されているので、物足りなさを感じてしまいます。
そこで、つい何度も「史記」を開いて、同じ場面を読み返してしまいました。
ところで、私が読んだ徳間文庫版は、1975年に出た本の文庫化で全6冊です。
講談社学術文庫版とちくま学芸文庫版は、なんと、一巻に圧縮しています。
さいごに。(走ることにキョーミ?)
娘が珍しく、「走り方を教えて」と言ったので、公園で2回ほど教えました。
少し教えただけで、見違えるようにフォームが大きくなり、良くなりました。
娘も手ごたえがあったようで、教えを意識してリレーを走ると言っています。
ああ、それなのに、小学校最後の運動会が、仕事と重なってしまうとは・・・
伝説時代から南宋までの18の史書を、簡潔にまとめた中国歴史の入門書です。
14世紀前半に曾先之によって作られ、明の陳殷によって注釈が施されました。
私が読んだのは、徳間文庫版です。全6巻ありますが、抄訳だそうです。
読みやすいように、小見出しや註や補説が付いています。
「史記」「漢書」「三国志」「晋書」「宋書」「魏書」「隋書」「新唐書」・・・
ほか、全18の中国史書の膨大な内容を、略して分かりやすく記述しています。
中国歴史のポイントを押さえ、ほとんどの故事や名言も採録してあります
ひと通り読めば、中国歴史の基礎知識が得られるようになっています。
第一巻は、神々の時代から、夏、殷、周、春秋、戦国までを収録しています。
この巻では、高校の教科書 で学んだ有名な逸話が、次から次に登場します。
「鼓腹撃壌」「臥薪嘗胆」「太公望」「管鮑の交わり」「晏子の御」
「鶏鳴狗盗」「鶏口牛後」「刎頚の交わり」「隗より始めよ」・・・
印象的だったのは、呉の夫差と伍子胥、越の句践と范蠡の、熱い復讐の物語!
それから、蘇秦の合従策と、張儀の連衡策。かつての旧友同士の友情と戦い!
春秋時代の国々、戦国の七雄と、多くの国があって、頭が整理できません。
取り上げられる人物も多く、誰がどこの国の人なのか、すぐ忘れてしまいます。
第二巻は、秦の統一から、項羽と劉邦を経て、漢の時代までを収録しています。
基本は秦と漢だけなので、第一巻に比べて、歴史の流れが整理しやすいです。
始皇帝、趙高、陳勝と呉広、項羽と劉邦、韓信、呂后、文帝、武帝、王莽・・・
中国の雄大な歴史を、お手軽に振り返ることができるという意味は大きい。
しかし、あまりにも簡略化されているので、物足りなさを感じてしまいます。
そこで、つい何度も「史記」を開いて、同じ場面を読み返してしまいました。
ところで、私が読んだ徳間文庫版は、1975年に出た本の文庫化で全6冊です。
講談社学術文庫版とちくま学芸文庫版は、なんと、一巻に圧縮しています。
さいごに。(走ることにキョーミ?)
娘が珍しく、「走り方を教えて」と言ったので、公園で2回ほど教えました。
少し教えただけで、見違えるようにフォームが大きくなり、良くなりました。
娘も手ごたえがあったようで、教えを意識してリレーを走ると言っています。
ああ、それなのに、小学校最後の運動会が、仕事と重なってしまうとは・・・
中国名詩選 [中世文学]
「中国名詩選(中)」 川合康三編訳 (岩波文庫)
杜甫・李白を中心に、初唐・盛唐・中唐の詩の代表作を収録しています。
白文、書き下し文、注、現代語訳、補足説明と、丁寧に作られた本です。
初唐においては、南朝の流れを引き継ぎ、文学は主に宮廷で行われました。
盛唐になると、文学は宮廷から離れ、文学は政治から距離を置きました。
李白や杜甫など、放浪の中で作られた詩が、唐詩の黄金期を形成しました。
これらの詩は、世界に広がり、日本にももたらされ、広く愛されました。
「中国名詩選(中)」には、全盛期の代表的な唐詩が収められています。
孟浩然、王維、李白、杜甫、韓愈、柳宋元・・ ・
特に突出しているのが、李白26首と杜甫43首。何といってもこの二人です。
ちなみに私は、厳しい現実を詠んだ杜甫より、空想に遊んだ李白が良い。
李白には、「黄鶴楼に孟浩然の広陵に之くを送る」「子夜呉歌」、
「山中問答」「山中にて幽人と対酌す」「黄鶴楼」などがあります。
しかし、なんといってもすばらしいのは「春日酔いより起きて志を言う」。
「世におるは大夢のごとし なんすれぞ其の生を労す・・・」(!)
杜甫には、「月夜」「春望」「江亭」「岳陽楼に登る」などがあります。
実に160ページにわたって、杜甫の切なく悲しい詩が続いています。
ほか、陳子昂の「幽州台に登る歌」、王翰の「涼州詩」、孟浩然の「春暁」、
王維の「 元二の安西に使いするを送る」と「竹里館」、柳宗元の「江雪」・・・
この本は、どこかで聞いたことのある有名どころを網羅していて良いです。
今後、何度も読み返す本になりそうです。
さいごに。(ミス・デビル)
娘は、「ミス・デビル」を毎回見ています。佐藤勝利が出ているからです。
「まったく、くだらない」と思いながら、一緒に見ていたら、面白くて・・・
第3話では、言うことを聞かないバカ社員を、最後にはちゃんと成敗!
ミス・デビルには、何か隠された使命があるようで、この先も気になります。
杜甫・李白を中心に、初唐・盛唐・中唐の詩の代表作を収録しています。
白文、書き下し文、注、現代語訳、補足説明と、丁寧に作られた本です。
初唐においては、南朝の流れを引き継ぎ、文学は主に宮廷で行われました。
盛唐になると、文学は宮廷から離れ、文学は政治から距離を置きました。
李白や杜甫など、放浪の中で作られた詩が、唐詩の黄金期を形成しました。
これらの詩は、世界に広がり、日本にももたらされ、広く愛されました。
「中国名詩選(中)」には、全盛期の代表的な唐詩が収められています。
孟浩然、王維、李白、杜甫、韓愈、柳宋元・・ ・
特に突出しているのが、李白26首と杜甫43首。何といってもこの二人です。
ちなみに私は、厳しい現実を詠んだ杜甫より、空想に遊んだ李白が良い。
李白には、「黄鶴楼に孟浩然の広陵に之くを送る」「子夜呉歌」、
「山中問答」「山中にて幽人と対酌す」「黄鶴楼」などがあります。
しかし、なんといってもすばらしいのは「春日酔いより起きて志を言う」。
「世におるは大夢のごとし なんすれぞ其の生を労す・・・」(!)
杜甫には、「月夜」「春望」「江亭」「岳陽楼に登る」などがあります。
実に160ページにわたって、杜甫の切なく悲しい詩が続いています。
ほか、陳子昂の「幽州台に登る歌」、王翰の「涼州詩」、孟浩然の「春暁」、
王維の「 元二の安西に使いするを送る」と「竹里館」、柳宗元の「江雪」・・・
この本は、どこかで聞いたことのある有名どころを網羅していて良いです。
今後、何度も読み返す本になりそうです。
さいごに。(ミス・デビル)
娘は、「ミス・デビル」を毎回見ています。佐藤勝利が出ているからです。
「まったく、くだらない」と思いながら、一緒に見ていたら、面白くて・・・
第3話では、言うことを聞かないバカ社員を、最後にはちゃんと成敗!
ミス・デビルには、何か隠された使命があるようで、この先も気になります。
水滸伝2 [中世文学]
「水滸伝(中・下)」 施耐庵作 松枝茂夫編訳 (岩波少年文庫)
梁山泊に集まった108人の英雄が、様々な活躍する姿を描いた伝奇歴史小説です。
講談として広まった多くの話を、明代に施耐庵が集大成して出来上がりました。
「水滸伝」上巻では、主役が次から次に、めまぐるしく交代してきました。
しかし中巻に入ってからは、「宋江」を中心にして物語が進んでいきます。
特に、宋江が九天玄女から天書を授かる場面は、とても印象に残りました。
宋江は特別な存在で、彼こそ「水滸伝」の主人公であることが分かります。
ちなみに宋江は実在の人物で、北宋時代末に反乱を起こしたのだそうです。
なるほど。宋江の伝承から「水滸伝」は生まれたのでしょうか。
ところが、「水滸伝」で描かれる宋江は、意外にもカッコ悪いです。
体は小さく太っていて、色が黒い。武芸は弱くて、簡単にやられてしまう。
それなのに主役となれたのは、義侠心に篤くて弱者を助ける人柄ゆえです。
「及時雨宋江」といえば、誰でも畏まって土下座します。まるで黄門さま。
「わたしとして、上は天の理にさからい、下は父の教えにそむいて、不忠不孝
の人間となってしまったのでは、生きていたとて何になりましょう?」
そう言って梁山泊入りを拒んだ男を、その首領とするところに、物語の皮肉と
面白さがあります。そしてこの逆説的な展開に、水滸伝の核心があると思う。
ところで私は、宋江が九天玄女に会う辺りから、物語に少し飽き始めました。
生け捕った敵の大将に平伏し、相手を感激させて味方にする、その繰り返し。
しかも、梁山泊の連中はしだいに無茶をするようになるし・・・
秦明や朱ドウや蘆俊義らを仲間に引き入れるため、どんな卑怯なことをしたか!
サイテーなのは、「白状すれば命を助けないこともない」と言っておきながら、
白状した相手を、あっさり斬り殺すところでしょう。この手を何度使ったか!
だから、彼らが悲劇的な結末を迎えた時に、素直に泣けないのです。
そりゃあ、仕方がないよなあ、と私は思ってしまいました。
横山光輝の漫画「水滸伝」は、少年向けに美しくカッコよく描かれていて良い。
また、北方謙三の「水滸伝」は、全19巻と長いが、非常に評価の高い小説です。
さいごに。(最近は気難しくて)
小学6年生になってから、娘は気難しい日が多いです。
妻と娘の会話に、私が入ろうとすると、「パパは黙っていて」と言うことが多い。
妻と娘がTVを見ている所に、私が入っていくと、「パパは来ないで」と言うし。
そういうお年頃なのでしょうか。
梁山泊に集まった108人の英雄が、様々な活躍する姿を描いた伝奇歴史小説です。
講談として広まった多くの話を、明代に施耐庵が集大成して出来上がりました。
「水滸伝」上巻では、主役が次から次に、めまぐるしく交代してきました。
しかし中巻に入ってからは、「宋江」を中心にして物語が進んでいきます。
特に、宋江が九天玄女から天書を授かる場面は、とても印象に残りました。
宋江は特別な存在で、彼こそ「水滸伝」の主人公であることが分かります。
ちなみに宋江は実在の人物で、北宋時代末に反乱を起こしたのだそうです。
なるほど。宋江の伝承から「水滸伝」は生まれたのでしょうか。
ところが、「水滸伝」で描かれる宋江は、意外にもカッコ悪いです。
体は小さく太っていて、色が黒い。武芸は弱くて、簡単にやられてしまう。
それなのに主役となれたのは、義侠心に篤くて弱者を助ける人柄ゆえです。
「及時雨宋江」といえば、誰でも畏まって土下座します。まるで黄門さま。
「わたしとして、上は天の理にさからい、下は父の教えにそむいて、不忠不孝
の人間となってしまったのでは、生きていたとて何になりましょう?」
そう言って梁山泊入りを拒んだ男を、その首領とするところに、物語の皮肉と
面白さがあります。そしてこの逆説的な展開に、水滸伝の核心があると思う。
ところで私は、宋江が九天玄女に会う辺りから、物語に少し飽き始めました。
生け捕った敵の大将に平伏し、相手を感激させて味方にする、その繰り返し。
しかも、梁山泊の連中はしだいに無茶をするようになるし・・・
秦明や朱ドウや蘆俊義らを仲間に引き入れるため、どんな卑怯なことをしたか!
サイテーなのは、「白状すれば命を助けないこともない」と言っておきながら、
白状した相手を、あっさり斬り殺すところでしょう。この手を何度使ったか!
だから、彼らが悲劇的な結末を迎えた時に、素直に泣けないのです。
そりゃあ、仕方がないよなあ、と私は思ってしまいました。
横山光輝の漫画「水滸伝」は、少年向けに美しくカッコよく描かれていて良い。
また、北方謙三の「水滸伝」は、全19巻と長いが、非常に評価の高い小説です。
水滸伝 文庫版 全19巻+読本 完結BOXセット (集英社文庫)
- 作者: 北方 謙三
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/04/23
- メディア: 文庫
さいごに。(最近は気難しくて)
小学6年生になってから、娘は気難しい日が多いです。
妻と娘の会話に、私が入ろうとすると、「パパは黙っていて」と言うことが多い。
妻と娘がTVを見ている所に、私が入っていくと、「パパは来ないで」と言うし。
そういうお年頃なのでしょうか。
水滸伝1 [中世文学]
「水滸伝(上)」 施耐庵作 松枝茂夫編訳 (岩波少年文庫)
梁山泊に集まった108人の英雄が、様々な活躍する姿を描いた伝奇歴史小説です。
講談として広まった多くの話を、明代に施耐庵が集大成して出来上がりました。
現在、井波律子訳の講談社学術文庫版が定番ですが、全5冊で1万円になります。
岩波少年文庫は、5分の1に圧縮された抄訳で、テンポよく読めました。
水滸伝の予備知識なしで読んだため、最初は少し戸惑いました。
話はあっちこっちに飛ぶし、梁山泊はいつまでたっても出てこないし。
主人公が次々にバトンタッチされて、誰が誰なのか分からなくなります。
ネタバレになってしまいますが、物語を簡単に整理してみましょう。
高俅(こうきゅう)が王進を迫害する → 逃げる王進が史進に武芸を教える →
史進が旅で魯提轄(ろていかつ)らに会う → 魯提轄が林沖と義兄弟になる →
林沖が梁山泊で楊志に会う → 楊志が宝を晁蓋(ちょうがい)らに奪われる →
楊志が魯提轄と一緒に二竜山をのっとる → 宋江が晁蓋にことの急を告げる →
晁蓋らが林沖と出会い梁山泊をのっとる・・・
主人公が次々に移り変わるのは、もともと独立した英雄談だったからでしょう。
編者(?)の施耐庵が、それぞれの英雄談を、ゆるやかにつなげています。
上巻の最後の方で、ばらばらだった英雄たちが、梁山泊にまとまり始めました。
しかしこの時点では、冒頭の108の妖魔を逃がす場面の意味が、分かりません。
さて、上巻ラストでは武松(ぶしょう)が登場し、虎を退治しました。
潘金蓮と西門慶の運命は、「水滸伝」と「金瓶梅」では全く違います。
この岩波少年文庫の「水滸伝」初版は、1959年。言い回しが古い所もあります。
挿絵も渋い。少年向けと言うより、大人向けです。そのまま文庫化してほしい。
さいごに。(担任が変わる)
娘のクラス担任が変わりました。娘は昨年と同じ先生が良かったのだそうです。
新しい先生も、なかなか評判のよい先生です。父親参観は、ぜひ行きたいです。
梁山泊に集まった108人の英雄が、様々な活躍する姿を描いた伝奇歴史小説です。
講談として広まった多くの話を、明代に施耐庵が集大成して出来上がりました。
現在、井波律子訳の講談社学術文庫版が定番ですが、全5冊で1万円になります。
岩波少年文庫は、5分の1に圧縮された抄訳で、テンポよく読めました。
水滸伝の予備知識なしで読んだため、最初は少し戸惑いました。
話はあっちこっちに飛ぶし、梁山泊はいつまでたっても出てこないし。
主人公が次々にバトンタッチされて、誰が誰なのか分からなくなります。
ネタバレになってしまいますが、物語を簡単に整理してみましょう。
高俅(こうきゅう)が王進を迫害する → 逃げる王進が史進に武芸を教える →
史進が旅で魯提轄(ろていかつ)らに会う → 魯提轄が林沖と義兄弟になる →
林沖が梁山泊で楊志に会う → 楊志が宝を晁蓋(ちょうがい)らに奪われる →
楊志が魯提轄と一緒に二竜山をのっとる → 宋江が晁蓋にことの急を告げる →
晁蓋らが林沖と出会い梁山泊をのっとる・・・
主人公が次々に移り変わるのは、もともと独立した英雄談だったからでしょう。
編者(?)の施耐庵が、それぞれの英雄談を、ゆるやかにつなげています。
上巻の最後の方で、ばらばらだった英雄たちが、梁山泊にまとまり始めました。
しかしこの時点では、冒頭の108の妖魔を逃がす場面の意味が、分かりません。
さて、上巻ラストでは武松(ぶしょう)が登場し、虎を退治しました。
潘金蓮と西門慶の運命は、「水滸伝」と「金瓶梅」では全く違います。
この岩波少年文庫の「水滸伝」初版は、1959年。言い回しが古い所もあります。
挿絵も渋い。少年向けと言うより、大人向けです。そのまま文庫化してほしい。
さいごに。(担任が変わる)
娘のクラス担任が変わりました。娘は昨年と同じ先生が良かったのだそうです。
新しい先生も、なかなか評判のよい先生です。父親参観は、ぜひ行きたいです。
金瓶梅4 [中世文学]
「金瓶梅4」 蘭陵笑笑生作 村上知行訳 (ちくま文庫)
悪徳の限りを尽くす富豪「西門慶」を中心に、腐敗した社会を描いた小説です。
村上訳第4巻は、第66回~第100回(全体の三分の一ほど)を収録しています。
西門慶は、副典獄から典獄に昇進し、その権勢は絶頂に達しました。
しかし潘金蓮が、眠っている西門慶に丸薬を多量に与えてしまって・・・
死を覚悟した西門慶は、月娘に最後の忠告を与えます。
「けっして散り散りになり、世間の笑いものにはなってくれるな」(P172)
ところが、西門慶亡きあとは、一門の転落の勢いはすさまじく・・・
「大官人が死んでからは、風が砂にとぶように、みんなばらばら」(P269)
主人公の西門慶が亡くなるのが第79回で、さらにあと21回も続きます。
この間、西門一家の転落が、これでもかこれでもかと描かれています。
この西門一門の破滅の過程に、「人の無情」と「世の無常」を感じました。
ろくでなしの西門慶も、いなくなるととても寂しい。
だが、西門慶は物語から、完全に退場したわけではありませんでした。
ラストの第100回で、西門慶に関わるとても意外な展開が!
さて、第3巻まで存在感が薄かった春梅ですが、第4巻でブレイクします。
李瓶児はすでに亡く、潘金蓮の非業の死のあと、春梅の時代が来ますが・・・
この物語に登場するのは、女も男も、カネに縛られた者ばかりです。
この物語が官能小説でありながら、悲哀を感じさせる理由がここにあります。
「金瓶梅」を読み終えたら、次はぜひ「水滸伝」を読みたいです。
「水滸伝」も「金瓶梅」同様、冗長な部分を省いた抄訳で読みたいです。
さいごに。(娘は小学6年生)
4月から、うちの娘は、とうとう小学6年生になります。
上級生に連れられて登校していたのが、ついこのあいだのように感じます。
今では、1年生や2年生を連れて登校しています。頼もしくなったものだ。
一年後には中学生か、と今からもう来年のことを、考えてしまっています。
悪徳の限りを尽くす富豪「西門慶」を中心に、腐敗した社会を描いた小説です。
村上訳第4巻は、第66回~第100回(全体の三分の一ほど)を収録しています。
西門慶は、副典獄から典獄に昇進し、その権勢は絶頂に達しました。
しかし潘金蓮が、眠っている西門慶に丸薬を多量に与えてしまって・・・
死を覚悟した西門慶は、月娘に最後の忠告を与えます。
「けっして散り散りになり、世間の笑いものにはなってくれるな」(P172)
ところが、西門慶亡きあとは、一門の転落の勢いはすさまじく・・・
「大官人が死んでからは、風が砂にとぶように、みんなばらばら」(P269)
主人公の西門慶が亡くなるのが第79回で、さらにあと21回も続きます。
この間、西門一家の転落が、これでもかこれでもかと描かれています。
この西門一門の破滅の過程に、「人の無情」と「世の無常」を感じました。
ろくでなしの西門慶も、いなくなるととても寂しい。
だが、西門慶は物語から、完全に退場したわけではありませんでした。
ラストの第100回で、西門慶に関わるとても意外な展開が!
さて、第3巻まで存在感が薄かった春梅ですが、第4巻でブレイクします。
李瓶児はすでに亡く、潘金蓮の非業の死のあと、春梅の時代が来ますが・・・
この物語に登場するのは、女も男も、カネに縛られた者ばかりです。
この物語が官能小説でありながら、悲哀を感じさせる理由がここにあります。
「金瓶梅」を読み終えたら、次はぜひ「水滸伝」を読みたいです。
「水滸伝」も「金瓶梅」同様、冗長な部分を省いた抄訳で読みたいです。
さいごに。(娘は小学6年生)
4月から、うちの娘は、とうとう小学6年生になります。
上級生に連れられて登校していたのが、ついこのあいだのように感じます。
今では、1年生や2年生を連れて登校しています。頼もしくなったものだ。
一年後には中学生か、と今からもう来年のことを、考えてしまっています。
金瓶梅3 [中世文学]
「金瓶梅3」 蘭陵笑笑生作 村上知行訳 (ちくま文庫)
悪徳の限りを尽くす富豪「西門慶」を中心に、腐敗した社会を描いた小説です。
ちくま文庫から村上知行による抄訳が4巻で出ていましたが、現在は絶版です。
ちくま文庫版の第3巻に入ると、西門慶はますます好調です。
塩の専売で儲け、悪党から賄賂を取り、贈り物で蔡大師の義子になってしまう。
財産は増え、権力は増し、その勢いはとどまることを知りません。
やりたい放題、し放題で、面白おかしく、愉快に暮らしています。
特に、遍歴の怪僧からもらった強精剤の威力は見逃せません。
「この薬を用いたなら、天上の不老不死の世界、永遠の春の世界に遊べる」!
この丸薬を得て、西門慶は精力絶倫。化け物めいた雰囲気さえ漂ってきます。
そしてこの丸薬が、彼ら一門の運命を、大きく変えてしまうのですが・・・
また、正妻の呉月娘(ごげつじょう)も、怪しげな尼僧と接触しています。
初産の赤子の胞衣(えな)を使えば、子供が授かると言われて・・・
一方、潘金蓮は、飼っている大きな猫に、絹で包んだ生肉を与えています。
なぜわざわざ絹に包むのか? そこには、とんでもない計略が・・・
李瓶児はとうとう病気になり、死に際に男の姿を目にするようになります。
死んだ我が子を抱え、「一緒に暮らそう」と言うその男は・・・
潘金蓮のような毒婦を、さっさと追い出せないのが、西門慶の運の尽きです。
巻末までいくと、西門慶の運が少しずつ傾き出したのを感じるようになります。
タイトルの「金瓶梅」は、潘金蓮・李瓶児・春梅の名前を取ったものです。
李瓶児は亡く、春梅は出番が少なく、潘金蓮だけが、圧倒的な存在感です。
さいごに。(UNO)
UNOを買ってきたので、時々家族3人でやっています。
UNOは、子供でもすぐにルールを覚えられるところがいいですね。
悪徳の限りを尽くす富豪「西門慶」を中心に、腐敗した社会を描いた小説です。
ちくま文庫から村上知行による抄訳が4巻で出ていましたが、現在は絶版です。
ちくま文庫版の第3巻に入ると、西門慶はますます好調です。
塩の専売で儲け、悪党から賄賂を取り、贈り物で蔡大師の義子になってしまう。
財産は増え、権力は増し、その勢いはとどまることを知りません。
やりたい放題、し放題で、面白おかしく、愉快に暮らしています。
特に、遍歴の怪僧からもらった強精剤の威力は見逃せません。
「この薬を用いたなら、天上の不老不死の世界、永遠の春の世界に遊べる」!
この丸薬を得て、西門慶は精力絶倫。化け物めいた雰囲気さえ漂ってきます。
そしてこの丸薬が、彼ら一門の運命を、大きく変えてしまうのですが・・・
また、正妻の呉月娘(ごげつじょう)も、怪しげな尼僧と接触しています。
初産の赤子の胞衣(えな)を使えば、子供が授かると言われて・・・
一方、潘金蓮は、飼っている大きな猫に、絹で包んだ生肉を与えています。
なぜわざわざ絹に包むのか? そこには、とんでもない計略が・・・
李瓶児はとうとう病気になり、死に際に男の姿を目にするようになります。
死んだ我が子を抱え、「一緒に暮らそう」と言うその男は・・・
潘金蓮のような毒婦を、さっさと追い出せないのが、西門慶の運の尽きです。
巻末までいくと、西門慶の運が少しずつ傾き出したのを感じるようになります。
タイトルの「金瓶梅」は、潘金蓮・李瓶児・春梅の名前を取ったものです。
李瓶児は亡く、春梅は出番が少なく、潘金蓮だけが、圧倒的な存在感です。
さいごに。(UNO)
UNOを買ってきたので、時々家族3人でやっています。
UNOは、子供でもすぐにルールを覚えられるところがいいですね。
金瓶梅2 [中世文学]
「金瓶梅2」 蘭陵笑笑生作 村上知行訳 (ちくま文庫)
悪徳の限りを尽くす富豪の「西門慶」を中心に、腐敗した社会を描いた小説です。
ちくま文庫から村上知行による抄訳が出ていました。オススメですが絶版です。
「金瓶梅」は、北宋末期、1112年から1127年までの15年間が描かれています。
この間に、西門慶が情欲の限りを尽くし、最後には死んでしまうらしい。
しかし、第2巻の時点では、西門慶(せいもんけい)は絶好調です。
李瓶児(りへいじ)を第六夫人とし、6人の夫人がそろいしました。
西門慶は、さらに蕙蓮(けいれん)にも御執心です。
蕙蓮は、使用人の来旺(らいおう)の妻で、気が利いて美しい女です。
なんとかして、蕙蓮を我がものにしたい。西門慶が考え付いた手段は・・・
今後も、蕙蓮をずっとそばに置いておきたい。 西門慶がとった計略は・・・
西門慶は自分の欲望のために、平気で人を陥れ、破滅させてしまいます。
そして、その裏にはいつも、潘金蓮(はんきんれん)の姿が見え隠れします。
女の魅力で人を操り、他人を不幸にして喜ぶ。そして自分は決して表に出ない。
こういう女が、最もタチが悪い。
また西門慶は、潘金蓮ら女たちに言われるがままに行動しています。
こういう男が、一番しょうもない。
「九尾の狐がのさばりかえり、ばかとのさまをだまくらかして勝手放題、仕放題。」
「世の中の仕組みは複雑、怪奇、そして愚劣なものである。」
さて、「金瓶梅」は、1582年から1602年には、写本が伝わっていたそうです。
書かれたのはおそらく16世紀の終わり頃なので、中世文学に分類しておきます。
これほど有名な作品でありながら、作者について、ほとんど分かっていません。
発禁処分を受けた猥書です。処分をおそれて、作者は名前を隠したようです。
「金瓶梅」は、作者について、内容について、世界中で研究がされています。
その研究を「金学」というのだそうです。(土屋英明「中国艶本大全」より)
土屋英明が同書で説明している「西門慶の七つ道具」も、金学の一端か。
私的には、男たちが纏足の小さな足に欲情する場面などが、興味深かったです。
さいごに。(現状認識)
右ひざを治すために、最近リハビリを始めました。
先生に、片足で30秒立っているように言われて、衝撃を受けました。
30秒も立っていられないのです。10秒でフラフラして倒れてしまうのです。
若い頃、片足立ちなど屁でもなかった。それが、今では・・・
悪徳の限りを尽くす富豪の「西門慶」を中心に、腐敗した社会を描いた小説です。
ちくま文庫から村上知行による抄訳が出ていました。オススメですが絶版です。
「金瓶梅」は、北宋末期、1112年から1127年までの15年間が描かれています。
この間に、西門慶が情欲の限りを尽くし、最後には死んでしまうらしい。
しかし、第2巻の時点では、西門慶(せいもんけい)は絶好調です。
李瓶児(りへいじ)を第六夫人とし、6人の夫人がそろいしました。
西門慶は、さらに蕙蓮(けいれん)にも御執心です。
蕙蓮は、使用人の来旺(らいおう)の妻で、気が利いて美しい女です。
なんとかして、蕙蓮を我がものにしたい。西門慶が考え付いた手段は・・・
今後も、蕙蓮をずっとそばに置いておきたい。 西門慶がとった計略は・・・
西門慶は自分の欲望のために、平気で人を陥れ、破滅させてしまいます。
そして、その裏にはいつも、潘金蓮(はんきんれん)の姿が見え隠れします。
女の魅力で人を操り、他人を不幸にして喜ぶ。そして自分は決して表に出ない。
こういう女が、最もタチが悪い。
また西門慶は、潘金蓮ら女たちに言われるがままに行動しています。
こういう男が、一番しょうもない。
「九尾の狐がのさばりかえり、ばかとのさまをだまくらかして勝手放題、仕放題。」
「世の中の仕組みは複雑、怪奇、そして愚劣なものである。」
さて、「金瓶梅」は、1582年から1602年には、写本が伝わっていたそうです。
書かれたのはおそらく16世紀の終わり頃なので、中世文学に分類しておきます。
これほど有名な作品でありながら、作者について、ほとんど分かっていません。
発禁処分を受けた猥書です。処分をおそれて、作者は名前を隠したようです。
「金瓶梅」は、作者について、内容について、世界中で研究がされています。
その研究を「金学」というのだそうです。(土屋英明「中国艶本大全」より)
土屋英明が同書で説明している「西門慶の七つ道具」も、金学の一端か。
私的には、男たちが纏足の小さな足に欲情する場面などが、興味深かったです。
さいごに。(現状認識)
右ひざを治すために、最近リハビリを始めました。
先生に、片足で30秒立っているように言われて、衝撃を受けました。
30秒も立っていられないのです。10秒でフラフラして倒れてしまうのです。
若い頃、片足立ちなど屁でもなかった。それが、今では・・・