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異邦人 [20世紀フランス文学]

 「異邦人」 カミュ作 窪田啓作訳 (新潮文庫)


 私が名作を読み始めたのは、大学時代からです。
 カフカの「変身」とカミュの「異邦人」は、最初に接した外国文学です。

 当時は「新潮文庫の百冊」を参考にして、本を選んでいました。
 この2冊や、「車輪の下」「老人と海」は、今も「百冊」の常連ですね。

 「異邦人」は、殺人罪のムルソーが、死刑の判決を受ける物語です。
 しかし、このように要約すると、全く平凡な小説になってしまいます。

 とにかく、ムルソーは、変わった男です。
 裁判長に、殺人の動機を「太陽のせいだ」と言う場面は、有名です。
 (P107)でも、それだけではありません。

 マリイに、「私を愛しているか」と聞かれた時、こう答えます。(P38)
 「それは何の意味もないことだが、恐らく愛していないと思われる。」
 こんな答え方が、あるでしょうか。

 マリイと結婚の約束をするところは、もっとひどいです。
 P45を、皆さんぜひ読んでみてください。笑えます。

 判事に信仰について聞かれるところも、面白いです。
 P71からP73を、本当に皆さん、読んでみてください。
 ムルソー、最高です。面白すぎです。

 この名作が、現在なんと、新潮文庫でしか読めないとは!

異邦人 (新潮文庫) 訳は古いですが、愛着のある本です。
 ただし、「ママン」という呼び方には、
 今だに違和感があります。
 せめて、「ママ」にしてほしい。

 しばらく前に、表紙が新しくなりました。
 新版も旧版も、本棚に並べてあります。


 カミュは、現代フランスの作家です。生まれはアルジェリアです。
 人生の不条理を描き、思想的な影響力が大きな作家でした。
 1957年には、ノーベル文学賞を受賞しました。
 
 残念ながらカミュは、1960年に、自動車事故で亡くなりました。
 ですから今年2010年は、カミュ没後50年なのです。

 フランスでは、カミュ関連のイベントが、行われているようです。
 日本では、せめて「異邦人」の新訳を出してほしいです。

 カミュは、サルトルと親交を結び、ともに活躍した時期があります。
 そのため、実存主義の作家として、紹介されることもあります。

 実存主義を、私なりに説明すると、こうなります。
 「大事なのは神や信仰ではなく、自分自身とこの現実世界だ」

 神に興味を示さず、自分を束縛する社会を嫌悪していたムルソーは、
 充分に実存主義者の資格がありそうです。

 ついでながら、サガンもサルトルと仲良しでした。

 さいごに。

 昨日、娘は幼稚園の遠足で、動物園に行き、楽しかったそうです。

 「何が良かった?」と私が聞くと、
 「ゾウさん、キリンさん、おサルさん」などに続けて、
 「だるまさん」と言ったので、驚きました。

 何の動物と混同しているのでしょうか?
 娘は一生懸命説明してくれるのですが、結局分かりませんでした。
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