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初秋 [20世紀アメリカ文学]

 「初秋」 ロバート・B・パーカー作 菊池光訳 (ハヤカワ文庫)


 私立探偵のスペンサーが、15歳の少年を、一人前の男に鍛える物語です。
 スペンサーシリーズの最高傑作と言われています。

 現在、ハヤカワ文庫から出ています。テンポの良い訳で、読みやすいです。
 私の書棚にあるのは、2007年版で、しぶいおやじの限定カバーです。


初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)

初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)

  • 作者: ロバート・B. パーカー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1988/04
  • メディア: 文庫



 15歳の少年を元夫から取り戻してほしい、という依頼がありました。
 スペンサーは、あっけなく任務を遂行し、少年を母親に渡しました。

 少年の名前はポール。無気力で、何も自分で決断できないような子です。
 両親のどちらと一緒に暮らしたいかと聞いても、答えは「どっちだっていい」。

 それも無理はありません。
 憎しみ合う両親が、相手への嫌がらせのために、彼を取り合っているのです。
 ポールは今まで、愛情を味わったことがなく、心を固く閉ざしているのでした。

 スペンサーはこれ以後、ポールと個人的に関わっていきます。
 彼に、自立することを教え、大人になることを教え、人生を教えて…

 探偵小説ですが、物語の中心は、スペンサーによる少年の感化です。
 ルソーの「エミール」以上の、教育小説かもしれません。

 スペンサーが少年に与えるアドバイスの、一言一言がとても良いです。
 父親の理想像が、ここにあります。

 スペンサーとホークのコンビは、相変わらず最高です。
 二人ともめちゃくちゃカッコイイ。特に31章!

 「初秋」は、ハードボイルドの傑作でしょう。
 続編の「晩秋」という作品もあります。(未読)


晩秋―スペンサー・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

晩秋―スペンサー・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: ロバート・B. パーカー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1998/11/10
  • メディア: 文庫



 ほかにカッコイイ小説といったら、私は迷わず「深夜プラス1」を挙げます。


深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))

深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))

  • 作者: ギャビン・ライアル
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1976/04
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ある飲み会で)

 ある飲み会で、「妻にどれだけ尽くしているか」、という話になりました。
 奥さんのために、ご飯を作っているという人が多くて、びっくりしました。

 ある人は、新婚当初、朝ご飯が無かったので、「どうする?」と聞いたところ、
 「食べるよ」と奥さんに言われて、以後ご飯を作り続けているとのことでした。

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