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ナイン・ストーリーズ [20世紀アメリカ文学]

 「ナイン・ストーリーズ」 サリンジャー作  柴田元幸訳 (ヴィレッジブックス)


 「バナナフィッシュ日和」など、9つの作品を収録した作者自薦の短編集です。
 「キャッチャー・イン・ザ・ライ」と並ぶ、サリンジャーの代表作です。

 2009年にヴィレッジブックスから柴田訳が出て、2012年に文庫化されました。
 読みやすいのでオススメです。村上春樹の推薦文が帯になっています。


ナイン・ストーリーズ (ヴィレッジブックス)

ナイン・ストーリーズ (ヴィレッジブックス)

  • 作者: J.D.サリンジャー
  • 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: 文庫



 新潮文庫の野崎訳も有名です。私は以前、こちらで読みました。
 今でも野崎訳のファンは多いです。醒めている感じが、文体によく出ています。


ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)

ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)

  • 作者: サリンジャー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1974/12/24
  • メディア: 文庫



 冒頭の「バナナフィッシュ日和」は、新婚旅行中のある夫婦の物語です。
 ビーチでひとり過ごしていた夫のシーモアは、突然・・・

 この作品は大変評判になりました。サリンジャーにとって画期的な作品です。
 しかし、同時に問題作でもあります。謎の多い物語です。

 なぜシーモアは、突然あのような行動に出るのか?
 彼は狂気に陥っていたのか?

 正直に言って、私にはよく分かりません。ヒントが少なすぎます。
 この作品の完成度は、決して高くない。が、そこが魅力的だったりします。

 ところで、「ディンギーで」にも、シーモアが間接的に登場します。
 いったい、このシーモアというのは、どういう男なのだろうか。と思ったら・・・

 そうか! 「フラニーとズーイ」に出てきた、グラス家の長男シーモアか。
 とすると、ブーブーというのは、グラス家の長女ブーブーのことか。

 ここでようやく気づきました。これは、グラス家の物語の一部だったのですね。
 サリンジャーは、グラス家の物語を、ライフワークとしていたといいます。

 ところで、柴田訳の「ディンギーで」では、最後のオチがよく分かりません。
 カイトとカイク・・・私は、他の人の解説を読んで、初めて納得できました。

 さて、マイベストは「可憐なる口もと 緑なる君が瞳」。
 夜、リーのもとにアーサーから電話がありました。そのときリーは、実は・・・

 結末が良い。ちょっと唐突な感じもしますが・・・この男の気持ち、分かるなあ。
 アーサーは、会話の最後のところで、あることに気づいたに違いないのです。

 他にも、「エズメに 愛と悲惨をこめて」はオススメです。悲哀を感じます。
 最後の「テディ」も、捨てがたい作品です。不思議な感じがする作品です。

 これら全9作の選択を、「絶妙だ」と言う人がいますが、私は疑問です。
 シーモアを軸にして、一貫性のある作品集にしてほしかったです。

 また、正直な感想を言うと、予想外に取っ付ききにくい作品が多かったです。
 村上春樹だったら、どんなふうに訳したでしょうか。(訳さないと思うが)

 さいごに。(ロールケーキに苦戦)

 買いました、50センチのロールケーキ。予想以上に大きいです。
 3人で食べてもなかなか減りません。今日が消費期限。全部食べられるか?

 反対していた妻は、「それみたことか」と言いたげです。
 意地でも食べなければ・・・

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