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ヘンリー・ジェイムズ短編集 [19世紀アメリカ文学]

 「ヘンリー・ジェイムズ短編集」 ジェイムズ作 大津栄一郎編訳 (岩波文庫)


 ジェイムズの中期から後期にかけての、円熟した短編4編を収録した作品集です。
 あまり知られていませんが、ジェイムズらしい魅力にあふれた作品群です。

 現在は品切れです。私はたまたま近所の書店で見つけました。
 訳は1985年のもののようです。ジェイムズにしては、分かりやすいです。


ヘンリー・ジェイムズ短篇集 (岩波文庫 赤 313-4)

ヘンリー・ジェイムズ短篇集 (岩波文庫 赤 313-4)

  • 作者: ヘンリー・ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1985/12/16
  • メディア: 文庫



 冒頭の「私的生活」は、訳者によって「国際状況もの」に分類されています。
 しかし、私が思うに、これは幻想小説です。

 誰もいないはずの部屋に入って、私が暗がりで見たものは・・・
 そこにいるはずの男が、次の瞬間にはいなくなっていて・・・

 ちょっと変な人間ばかりが登場します。
 これは、幻なのか? それとも・・・ 解釈が分かれそうです。

 次の「もうひとり」も、幻想小説です。
 二人の善良な女性が暮らす古い屋敷に、若い男の幽霊が現れます。

 二人は幽霊を恐れるよりも、幽霊を待ち望むようになって・・・
 しかし、本当にあれは幽霊だったのでしょうか? それとも・・・

 「にぎやかな街角」もまた、幻想小説的です。
 33年ぶりに異国の地から帰ってきたブライドンは、自分の人生を振り返ります。

 すると、もう一つの人生を歩む分身が、自分の家にいることに気づいて・・・
 しかし、本当にあれは自分の分身だったのでしょうか? それとも・・・

 最後の「荒涼のベンチ」は、大人のおとぎ話のような作品です。
 他の4編と違い、怪奇現象はありません。しかし、最も不思議な展開をします。

 落ちぶれた孤独な男の前に現れたのは、かつて自分を窮地に陥れた女でした。
 そこで彼女が申し出たことは・・・

 さて、残念ながらジェイムズの傑作「ある婦人の肖像」は品切れ状態です。
 しかし、その代わり「ワシントン・スクエア」が読めるではありませんか。


ワシントン・スクエア (岩波文庫)

ワシントン・スクエア (岩波文庫)

  • 作者: ヘンリー・ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/08/19
  • メディア: 文庫



 さいごに。(47歳)

 47歳になりました。明日の日曜日には、念願のロールケーキを食べる予定です。
 ただのロールケーキではありません。50センチのロングサイズです。

 これまで、「残っても冷蔵庫に入らないから」という理由で、禁じられてきました。
 しかし、今年は娘と力を合わせて、妻を説得しました。ああ、楽しみです。


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