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フィッツジェラルド短篇集 [20世紀アメリカ文学]

 「フィッツジェラルド短篇集」 佐伯泰樹編訳 (岩波文庫)


 「バビロン再訪」など、フィッツジェラルドの代表的な短編を収録した作品集です。
 数あるフィッツジェラルドの短編の中から、選びぬかれた6編です。

 フィッツジェラルドの短編は、岩波文庫、新潮文庫、古典新訳文庫で読めます。
 収録された作品は、本によって違います。
 私は、岩波文庫版で読みました。比較的新しい訳で、分かりやすいです。


フィッツジェラルド短篇集 (岩波文庫)

フィッツジェラルド短篇集 (岩波文庫)

  • 作者: スコット フィッツジェラルド
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2003/08/19
  • メディア: 文庫



 新潮文庫の野崎訳も評判がいいです。私は最初、こちらの訳で読みました。
 「冬の夢」「金持ち階級の青年」「バビロン再訪」が、岩波版と重複しています。


フィツジェラルド短編集 (新潮文庫)

フィツジェラルド短編集 (新潮文庫)

  • 作者: F.S. フィツジェラルド
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1990/08/28
  • メディア: 文庫



 「バビロン再訪」は、哀切でしみじみした余韻が残る傑作です。
 フィッツジェラルドの短編中、私がイチオシの作品です。

 プラハに在住する35歳のアメリカ人が、久しぶりにパリにやってきました。
 名前はチャーリー。彼は、ある目的を持って、義兄の家を訪ねました。

 悔いても悔いきれない過去。人生をやり直すためのある頼み。
 しかし、ことがうま く運びそうになったその時・・・

 「この街をだめにしたのは、おれ自身ではないのか。知らぬまに日一日と
 すぎてゆき、ふと気がつくと二年がたっていた。すべてが消えてなくなり、
 このおれも過去の人間になりはてていた。」(P330)

 何度読み返しても、いつも胸がきゅるると痛くなります。
 人生には、取り返しがつかないことがあるのですね。

 「冬の夢」もまた名作です。「ギャツビー」の原型がここにあります。
 若くして成功したデクスターの心には、いつまでもジューディの面影が・・・

 「金持ち階級の青年」もまた名作です。
 大金持ちで才能豊かなアンスンの心には、いつまでもポーラの幻影が・・・

 「狂った日曜日」は、未完の傑作「ラスト・タイクーン」の原型です。
 ハリウッドの人間関係を描いた興味深い作品です。

 さて、フィッツジェラルドといえば、ギャツビーです。
 だから、短編はあまり書いていないのだと思っていました。

 が、実際は、奔放な生活を支えるために、170編以上の短編を 書きまくったとか。
 そのため、玉石混交。しかし、上記の四作は、まちがいなく傑作でしょう。

 ほかに、村上春樹の訳もあります。かつて、中公文庫から出ていました。
 ああ、なぜそのとき買っておかなかったのだろう! 今では品切れ状態です。

 さいごに。(学習漫画「日本の歴史」)

 私も妻も歴史好きです。娘のお気に入りの本も、集英社の学習漫画「日本の歴史」。
 図書館で借りてきて、一緒に少しずつ読んでいます。

日本の歴史 (1) (集英社版・学習漫画)

日本の歴史 (1) (集英社版・学習漫画)

  • 作者: 小林 隆
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1998/02
  • メディア: 単行本


 結構面白いです。文庫版も出ています。自分のために買いたいです。

漫画版 日本の歴史全10巻セット (集英社文庫)

漫画版 日本の歴史全10巻セット (集英社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2009/04/08
  • メディア: 文庫




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