悪徳の栄え [18世紀文学]
「悪徳の栄え」 マルキ・ド・サド作 澁澤龍彦訳 (河出文庫)
退廃的な貴族社会で悪に染まり、非道の限りを尽くすジュリエットの物語です。
サドの代表作で、ジュスティーヌの物語「美徳の不幸」と対をなす作品です。
河出文庫から、澁澤龍彦訳が、上下巻二分冊で出ています。
活字が小さいですが、訳は読みやすかったです。
ジュリエットに悪徳を教えたのは、修道院の院長デルベーヌ夫人でした。
院長はジュリエットを禁断の世界へ導き、平然として言い放ちます。
「この世には罪の享楽ほど楽しいものはなく、さらにこれに極悪非道を加えれば、
それだけまた魅力が増すということを、あんたはまだ御存じないのね」(P26)
やがて家は破産し、両親が相次いで死に、ジュリエットは修道院を出ます。
そして、罪の享楽と極悪非道の遍歴が始まり・・・
長い間、この作品は読まず嫌いでしたが、そのまま読まなければよかった!
18世紀において無視できない作品ですが、そのまま無視しておけばよかった!
おぞましい小説です。出てくるのはヘンタイばかり。
人をいたぶることによって興奮し、クソで自分を汚すことによって快楽を味わう。
上巻P71~P72で私は気持ち悪くなり、P101~P102で吐き気をもよおしました。
P109~の残虐な場面で、とうとう挫折。げんなり。もう、まともに読めません。
わいせつな場面はまだいいのですが、むごたらしい場面はいけません。
それでも、こんな本に負けたくないと思い(アホか)、P170までがんばりました。
この作品に比べたら、西鶴や谷崎のヘンタイ小説なんて、かわいいものです。
こんな作品を書いたら、ナポレオンによって投獄されるのも、当然でしょう。
一つ思ったことは、ヘンタイたちは皆、フランスの隠喩ではないかということ。
殺人に興奮する者も、クソまみれで喜ぶ者も、当時のフランスのことではないか?
ところで、本文の所々に一行の空きがあって、不自然に話が飛んでいました。
不思議だったのですが、解説を読んで、抄訳であることを初めて知りました。
原作は、この3倍の分量があるのだそうです。
考えただけで、めまいがしてきます。
さて、この作品の姉妹編「ジュスチーヌまたは美徳の不幸」は、岩波文庫です。
現在、品切れ。復刊は望みません。
澁澤龍彦によるサドの評伝は、評価が高いです。私は読みません。
さいごに。(読まない本は買わないはずなのだが)
毎月の書籍代を節約するために、絶対に読む本だけを買うというのが規則です。
それなのに、スターンとサドと、6月はすでに二つの規則違反を犯しました。
「これは違反じゃない。定年したら読むんだ」と、自分に言い聞かせていますが、
どう考えても、サドはもう読まないでしょう。
退廃的な貴族社会で悪に染まり、非道の限りを尽くすジュリエットの物語です。
サドの代表作で、ジュスティーヌの物語「美徳の不幸」と対をなす作品です。
河出文庫から、澁澤龍彦訳が、上下巻二分冊で出ています。
活字が小さいですが、訳は読みやすかったです。
ジュリエットに悪徳を教えたのは、修道院の院長デルベーヌ夫人でした。
院長はジュリエットを禁断の世界へ導き、平然として言い放ちます。
「この世には罪の享楽ほど楽しいものはなく、さらにこれに極悪非道を加えれば、
それだけまた魅力が増すということを、あんたはまだ御存じないのね」(P26)
やがて家は破産し、両親が相次いで死に、ジュリエットは修道院を出ます。
そして、罪の享楽と極悪非道の遍歴が始まり・・・
長い間、この作品は読まず嫌いでしたが、そのまま読まなければよかった!
18世紀において無視できない作品ですが、そのまま無視しておけばよかった!
おぞましい小説です。出てくるのはヘンタイばかり。
人をいたぶることによって興奮し、クソで自分を汚すことによって快楽を味わう。
上巻P71~P72で私は気持ち悪くなり、P101~P102で吐き気をもよおしました。
P109~の残虐な場面で、とうとう挫折。げんなり。もう、まともに読めません。
わいせつな場面はまだいいのですが、むごたらしい場面はいけません。
それでも、こんな本に負けたくないと思い(アホか)、P170までがんばりました。
この作品に比べたら、西鶴や谷崎のヘンタイ小説なんて、かわいいものです。
こんな作品を書いたら、ナポレオンによって投獄されるのも、当然でしょう。
一つ思ったことは、ヘンタイたちは皆、フランスの隠喩ではないかということ。
殺人に興奮する者も、クソまみれで喜ぶ者も、当時のフランスのことではないか?
ところで、本文の所々に一行の空きがあって、不自然に話が飛んでいました。
不思議だったのですが、解説を読んで、抄訳であることを初めて知りました。
原作は、この3倍の分量があるのだそうです。
考えただけで、めまいがしてきます。
さて、この作品の姉妹編「ジュスチーヌまたは美徳の不幸」は、岩波文庫です。
現在、品切れ。復刊は望みません。
澁澤龍彦によるサドの評伝は、評価が高いです。私は読みません。
さいごに。(読まない本は買わないはずなのだが)
毎月の書籍代を節約するために、絶対に読む本だけを買うというのが規則です。
それなのに、スターンとサドと、6月はすでに二つの規則違反を犯しました。
「これは違反じゃない。定年したら読むんだ」と、自分に言い聞かせていますが、
どう考えても、サドはもう読まないでしょう。
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