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大渦巻への落下 [19世紀アメリカ文学]

 「大渦巻への落下・灯台 ポー短編集ⅢSF&ファンタジー編」
 エドガー・アラン・ポー作 巽孝之訳 (新潮文庫)


 巨大な渦巻きに船ごと呑み込まれる名作「大渦巻への落下」など7編です。
 ポーはゴシックやミステリのほか、SFものも書いていました。

 新潮文庫から今年2015年3月に出ました。分かりやすい訳でした。
 特に「大渦巻への落下」は、待ちに待った新訳です。


大渦巻への落下・灯台: ポー短編集III SF&ファンタジー編 (新潮文庫)

大渦巻への落下・灯台: ポー短編集III SF&ファンタジー編 (新潮文庫)

  • 作者: エドガー・アラン ポー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/02/28
  • メディア: 文庫



 「ゴシック編」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-04-08
 「ミステリ編」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-12-06

 ノルウェーの沿岸では、船を丸ごと呑みこむほどの巨大な渦巻が出現します。
 年老いた漁師が、3年前に体験した大渦巻への落下を物語ります。

 その日、いつものように漁に出た帰りに、突然のハリケーンに襲われました。
 船は強風によって進まず、大渦巻の中心へ徐々に引きずられていき・・・

 と私が書いても、なかなかこの恐ろしさが伝わらないのが残念。
 ハリー・クラークの有名な絵があるので、これを見て雰囲気を感じてください。

Maelstrom-Clarke.jpg

 以前、新潮文庫の旧版「黒猫・黄金虫」が、新版に編集し直されたとき、
 「メールストロムの旋渦」が削られたと思って、悲しみました。

 しかし「ポー短編集」は、ⅠとⅡで終わりではなかったのですね。
 「大渦巻への落下」と、タイトルを新たに復活したので、とても喜んでいます。

 もうひとつのタイトル作「灯台」も、未完の遺作として興味深い作品です。
 書かれていないからこそ、最後は不気味で恐ろしいです。

 サイボーグものの「使い切った男」の発想は、当時としては新しかったでしょう。
 狂気ものの「タール博士とフェザー教授の療法」も、面白かったです。

 しかし、残りの3作は読まなくてもいいでしょう。
 この本は、なんとなく中途半端。拾遺集的な編集だったのかもしれません。

 ところで、新潮文庫のポー短編集Ⅰ~Ⅲは、カバーイラストが少しコミカルです。
 内容を盛り込んでいるのは分かるけど、もっとミステリアスな絵にしてほしい。

 さいごに。(1週間早かった)

 じいじの所へ、お寿司とお酒を持っていきました。
 でも、父の日は来週だったんですね。1週間間違えました。

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