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フランクリン自伝 [19世紀アメリカ文学]

 「フランクリン自伝」 フランクリン作 松本慎一・西川正身訳 (岩波文庫)


 老齢のフランクリンが、生涯を振り返って息子に宛てて書き始めた自伝です。
 アメリカ建国の父の自伝として、ロングセラーを続けています。

 いくつかの文庫から出ていましたが、現在手に入るのは岩波文庫版です。
 初版が1956年。訳は古いですが、分かりやすかったです。


フランクリン自伝 (岩波文庫)

フランクリン自伝 (岩波文庫)

  • 作者: フランクリン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1957/01/07
  • メディア: 文庫



 フランクリンといえば、100ドル紙幣に描かれ、凧を使った雷の実験で有名です。
 1706年、彼はアメリカのボストンの、貧しい石鹸作りの家に生まれました。

 12歳の時から、印刷業者の兄のもとで、年季奉公をしながら学問に励みました。
 17歳の時、兄と衝突してフィラデルフィアに出て、波乱万丈の人生が始まります。

 渡英の機会を得て、ロンドンに行ってみたが・・・
 帰国して印刷業を始めてからは・・・

 アメリカンドリームがぎゅっと詰まった成功物語であり、自己啓発本です。
 ちょっとした冒険小説でもあります。

 特に面白かったのは、前半の第二章から第五章です。
 家を飛び出して働いて、渡英して、印刷業を始めて、結婚して・・・

 感心するのは、彼がとても多くの人物と知り合い、親しくなるところです。
 知事、大佐、大商人、詩人、弁護士、政治家、などなど。

 そしてフランクリンが苦境に立たされると、次々と支援者が現れるところです。
 彼には、きっととても大きな人間的魅力があったのでしょう。

 第六章には、彼に成功をもたらした「フランクリンの十三徳」が登場します。
 「節制」「沈黙」「規律」「決断」「節約」「勤勉」「誠実」と続きます。

 面白いのは、第十二徳の「純潔」。彼の生真面目な性格がよく分かります。
 「性交はもっぱら健康ないし子孫のためにのみ行い、・・・」(P158)

 フランクリンの成功は、勤勉と倹約のたまものだと思います。
 彼の真面目で誠実で、何事にも一生懸命な姿は、人の心を強く揺さぶります。

 ところが後半、十三徳の後から、文章が説明的で教訓的になってしまいました。
 そして最も残念なのは、未完であることです。晩年の大活躍が記されてません。

 フランクリンがもともと計画していた半分ほどしか書けなかったようです。
 アメリカ独立運動での活躍や、当事者しか知りえない裏話を読みたかったです。

 さいごに。(9歳)

 先日、うちの娘が9歳になりました。生意気になるのも、当然ですね。
 このブログを始めた頃は、まだ3歳でした。早いものです。

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