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パリの夜 [18世紀文学]

 「パリの夜 革命下の民衆」 レチフ作 植田 裕次訳 (岩波文庫)


 フランス革命の前後に、夜のパリを歩き回った「私」の、目撃談風の作品です。
 革命の熱狂と狂気を伝える、当時の貴重な資料でもあります。

 岩波文庫から出ていましたが、現在は品切れです。所々に挿絵が入っています。
 私はアマゾンで中古本を買いました。訳は古いですが、分かりやすかったです。


パリの夜―革命下の民衆 (岩波文庫)

パリの夜―革命下の民衆 (岩波文庫)

  • 作者: レチフ・ド・ラ・ブルトンヌ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1988/04/18
  • メディア: 文庫



 フランス革命前夜の、パリの夜。
 マントを羽織り、「観察するふくろう」となった「私」が見たものは・・・

 女装の若者、盲人、兎屋、くず屋、下級労働者、密偵、乞食女、賭博師等々。
 他に、車責めの刑、ばらばらにされた死体、切り裂かれそうになった女など。

 以上「パリの夜」(第一部)から抜粋されたのは、全体の30分の1ほどです。
 衝撃的な内容ばかりですが、実は、本当にすごいのは第二部からです。

 第二部「夜の週日」からは、1789年のバスチーユ襲撃など革命期の描写です。
 第一部の小説くささが無くなり、実録風で迫力があります。

 槍先に掛けられた高官の首。首を切られて川に捨てられた長官の死体。
 頭を撃ち抜かれ首を切られる男。縛り上げられ吊るされて殺される老人。

 第三部「パリの二十夜」は、1790年の革命期の狂気を写しています。
 王ルイの監禁と処刑。王妃アントワネットの処刑。多くの虐殺事件・・・

 もともとこの作品は、第一部「パリの夜」で完結する予定だったそうです。
 しかし、革命期の事件を書き写すため、レチフは続編を書き続けました。

 そして、第二部・第三部の革命期の描写が、歴史資料的にも興味深いです。
 小説作品というより、ルポルタージュとして優れた内容だと思いました。

 さて、仏革命ものの傑作として、A・フランス「神々は渇く」があります。
 また、歴史家ミシュレの「フランス革命史」も文庫本で出ています。

 ツヴァイクの「ジョゼフ・フーシェ」「マリー・アントワネット」も、
 フランス革命ファンには外せない作品です。これから読んでいきたいです。


神々は渇く (岩波文庫 赤 543-3)

神々は渇く (岩波文庫 赤 543-3)

  • 作者: アナトール・フランス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1977/05/16
  • メディア: 文庫



フランス革命史〈上〉 (中公文庫)

フランス革命史〈上〉 (中公文庫)

  • 作者: ジュール ミシュレ
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: 文庫



フランス革命史〈下〉 (中公文庫)

フランス革命史〈下〉 (中公文庫)

  • 作者: ジュール ミシュレ
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: 文庫



ジョゼフ・フーシェ―ある政治的人間の肖像 (岩波文庫 赤 437-4)

ジョゼフ・フーシェ―ある政治的人間の肖像 (岩波文庫 赤 437-4)

  • 作者: シュテファン・ツワイク
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/03/16
  • メディア: 文庫



マリー・アントワネット 上 (角川文庫)

マリー・アントワネット 上 (角川文庫)

  • 作者: シュテファン ツヴァイク
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 文庫



マリー・アントワネット 下 (角川文庫)

マリー・アントワネット 下 (角川文庫)

  • 作者: シュテファン ツヴァイク
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 文庫



 さいごに。(練習は1週間おき)

 11月1日のマスターズ陸上全国大会に向けて、練習しているのですが・・・
 困ったことに、今週はほとんど走ることができません。

 というのも、左足のすじを傷めてしまったためです。
 ちょっと走ると怪我をして、練習はほとんど1週おきにしかできません。

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