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マリー・アントワネット2 [20世紀ドイツ文学]

 「マリー・アントワネット」 ツヴァイク作 中野京子訳 (角川文庫)


 フランス革命で、断頭台の露と消えた王妃アントワネットの生涯を描いています。
 ツヴァイクの代表作であり、伝記文学の傑作として知られている作品です。

 角川文庫、岩波文庫、河出文庫などから出ています。
 私が読んだ角川文庫の中野京子訳は新訳で、三つの中で最も分かりやすい訳です。


マリー・アントワネット 上 (角川文庫)

マリー・アントワネット 上 (角川文庫)

  • 作者: シュテファン ツヴァイク
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 文庫



マリー・アントワネット 下 (角川文庫)

マリー・アントワネット 下 (角川文庫)

  • 作者: シュテファン ツヴァイク
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 文庫



 下巻の冒頭は「彼はそうだったか、そうではなかったか?」という魅力的な章です。
 フェルゼンが、王妃の恋人だったのか、そうではなかったのか、を考察しています。

 もちろん、「彼はそうだった」。今では周知の事実です。
 しかし、1世紀もの間、フェルゼンが歴史から忘れられていたとは、意外でした。

 王妃とフェルゼンは、一時期、二人で政治上の困難な問題を決裁していたようです。
 このたいへんな時期こそ、二人にとって、最も幸福なときだったでしょう。

 そして、二人で企てたヴァレンヌ逃亡事件が、二人の人生のクライマックスでした。
 フェルゼンはもちろん、何から何まで、献身的に働きました。

 しかしパリを脱出した所で、どういうわけか王が、フェルゼンを帰してしまいます。
 これまで何でも丸投げしていた王が! 今こそフェルゼンに丸投げするべきなのに!

 その後、ちょっとした行き違いが重なり、取り返しがつかない事態になります。
 1791年6月20日、ヴァレンヌ逃亡失敗のこの日が、王家にとって運命の日でした。

 この事件後、王と王妃は、坂道を転がるように、没落に向かって落ちていき・・・
 チュイルリー宮からタンプル塔へ、さらに監獄へ、そして断頭台へ・・・

 それにしても、後半のアントワネットの変貌ぶりはすごいです。
 王妃でなくなってから、彼女は真の王妃らしくなりました。しかし、遅すぎました。

 6月20日は、フェルゼンにとっても、決して忘れられない、運命の日でした。
 「なぜわたしは彼女のために死ななかったのだろう、あの六月二十日に?」

 遠い祖国で、アントワネットの死を知り、死んだように生き続けるフェルゼン。
 その最期もまた6月20日、実に痛ましい死に方で・・・

 さて、マリー・アントワネットはファンが多く、たくさんの関連本があります。
 訳者中野京子の「ヴァレンヌ逃亡」も、なかなか興味深い本です。


ヴァレンヌ逃亡 マリー・アントワネット 運命の24時間 (文春文庫)

ヴァレンヌ逃亡 マリー・アントワネット 運命の24時間 (文春文庫)

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫



 中野京子は、「怖い絵」で評判になりました。
 この本には、ダヴィッドの描いた、王妃の最期の肖像が取り上げられています。


怖い絵  (角川文庫)

怖い絵 (角川文庫)

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/07/25
  • メディア: 文庫



 さいごに。(持久走大会35位)

 今年は昨年と変わり、男女混合で、速い組と遅い組に分けて行われました。
 うちの娘は速い組の35位。女子では7位ぐらいなので、上出来でしょう。

 順位はもちろん、一生懸命に真剣に走っていたことが、嬉しかったです。
 夕食は、しゃぶしゃぶで娘のお疲れさん会をしました。食べすぎました。

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