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秘書綺譚 [20世紀イギリス文学]

 「秘書綺譚 ブラックウッド幻想怪奇傑作集」 南條竹則訳 (光文社古典新訳文庫)


 幽霊屋敷、狼男、小鬼、吸血鬼、魔術等、様々な怪奇現象を扱った小説集です。
 作者ブラックウッドは、20世紀初頭に活躍した、英国の怪奇幻想小説家です。

 文庫本で読めるブラックウッドの作品集は、現在はこの1冊だけのようです。
 200編以上の短編から11編の秀作が収録されています。訳は分かりやすいです。


秘書綺譚―ブラックウッド幻想怪奇傑作集 (光文社古典新訳文庫)

秘書綺譚―ブラックウッド幻想怪奇傑作集 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: アルジャーノン ブラックウッド
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2012/01/12
  • メディア: 文庫



 冒頭の「空家」は古典的な幽霊屋敷もので、とても分かりやすい怪談です。
 「幽霊屋敷の鍵を持ってるのよ」 主人公ショートハウスに叔母が言いました。

 その夜、100年前に殺人事件のあった屋敷に、2人は恐る恐る踏み込みました。
 そして、そこで体験したさまざまな恐ろしい体験・・・

 「壁に耳あり」も、ショートハウスが主人公の、印象的な幽霊屋敷ものです。 
 誰も住んでいないはずの隣の部屋で、聞こえてきた声は・・・

 「スミスの滅亡」も印象的でした。とても面白いアイディアです。
 荒野の中で、突如一面に鳴り響いた人々の叫び声は・・・

 「転移」はすごい作品です。私はこの作品で、頭をガツンとやられました。
 他人から生気を吸い取って生きるフランク伯父が、邪悪な地面によって・・・  

 「約束」は、小泉八雲の「菊花のちぎり」を思わせる作品で、印象に残りました。
 ところで、部屋に残るいびきの音を、どう解釈したらいいのでしょうか。

 「そういうことを、理屈っぽく考えてはいけない」と、読書仲間は言いました。
 しかし、私は幻想怪奇小説を読みなれていないため、戸惑う作品がありました。

 「スミス」は、いったいどんな魔術をやっていたのか?
 「秘書綺譚」に出てくる、屋敷の主人と従僕は結局何だったのか? 真空とは?

 「炎の舌」とは何か? いったい誰のどんな魔術によって、そうなったのか?
 「野火」の最後に、オハラを襲った悲劇は、いったい何だったのか?

 しかし、そういうことが謎のまま終わるからこそ、怖いのかもしれません。
 日中30度を超える日が続く中で、確かにゾクッとくる寒気を感じました。

 さて、200編以上残した短編の中から、11編だけとはあまりにも少ないです。
 創元社文庫・講談社文庫・角川文庫等から出ていた本も、できれば読みたいです。

 さいごに。(体脂肪22.5%の衝撃)

 人間ドックが7月末にあるので、職場の体脂肪計を借りて測定してみました。
 すると・・・なんと、22,5%という恐ろしい数値が! 判定は「軽肥満」。

 週に3回は体を動かしているので、18%ぐらいだと思っていたのですが。
 ブラックウッドも怖かったけど、自分の体脂肪率の方がもっと怖かったです。

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