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人間和声 [20世紀イギリス文学]

 「人間和声」 ブラックウッド作 南條竹則訳 (古典新訳文庫)


 元聖職者に秘書として雇われた男が、とてつもない実験に巻き込まれる物語です。
 言葉と音にかかわる神秘思想をテーマにしています。作者の長編の代表作です。

 2013年に光文社古典新訳文庫から出ました。
 ブラックウッド一流の文体が、とても分かりやすく訳してありました。
 

人間和声 (光文社古典新訳文庫)

人間和声 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: アルジャーノン ブラックウッド
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/05/14
  • メディア: 文庫



 スピンロビンは少年のころから、名前の持つ大きな力に気付いていました。
 彼が28歳で失職していたとき、謎めいた広告に出会い、人生が大きく転換しました。

 「勇気と想像力ある秘書求む。当方は隠退した聖職者。テノールの声とヘブライ語
 の多少の知識を必須とす。独身者。浮世離れした人間であること。」

 スピンロビンはこの広告に応募し、雇い主スケール氏の人里離れた屋敷に赴きます。
 そこには、家政婦のモール夫人と、スケール氏の美しい姪だけが住んでいました。

 さっそく、和声の練習と、ヘブライ語の学習が行われます。
 スピンロビンは、とても順調に課題をこなしていきますが・・・

 「私がこの完全な和音を必要とするのは、然るべき時が来たら、
 ある複雑で途方もない名前を発生するためーーすなわち、
 ある複雑で途方もない”力”を召喚するためなのだ!」

 スケール氏は、何をしようとしているのか? その目論見は実現するのか?
 このあと、スケール氏の驚くべき実験が明かされるのですが・・・

 文字が動き出す、音が形態をとる・・・そしてしまいには造物主が・・・
 言葉の神秘を扱った作品で、これほど壮大に描いたものは無いでしょう。

 特に最後のクライマックスはすごいです。そして、美しい。
 さすが、「幻視の人」ブラックウッド。ほかの人では描けない独特の世界です。

 訳者が言うには、ブラックウッドは心の目で超常現象を見てきたのだそうです。
 現実世界の向こう側の神秘の領域を見て、それを読者に伝えようとしたという。

 ブラックウッドは怪奇小説の短編が有名で、「秘書奇譚」も出ています。
 「秘書奇譚」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-07-01-4

 さいごに。(ネコ)

 先日娘に、「欲しいものはあるか」と聞いたら、「ネコ」と答えました。
 「どんなネコが欲しいか」と聞いたら、なにやら難しい名前を言いました。

 最近娘は、「ネコの図鑑」が愛読書で、いろんなネコのことを調べています。
 ちなみに、娘の欲しいネコは30万とか50万とかするらしい。絶対買わん!

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