史記1本紀 [古代文学]
「史記」 司馬遷 (ちくま学芸文庫)
本紀は、五帝から夏、殷、周、秦を経て、漢の武帝に至るまでの帝王の系譜です。
前1世紀の武帝の時代に、司馬遷によって完成された、中国の最初の正史です。
ちくま学芸文庫から出ています。1971年の「筑摩世界文学大系6・7」の訳です。
注釈が文章の途中に( )で挿入されているため、読みやすかったです。
本記は、皇帝や王など、天下を支配した者たちと、その時代を描いています。
全12巻で、構成は以下の通りです。
1 五帝(黄帝から禹まで) 2 夏 3 殷 4 周 5秦 6 始皇帝
7 項羽 8 高祖(劉邦) 9 呂后 10 文帝 11 景帝 12 武帝
夏末、殷末、周末など、時代の変わり目の混乱期が、特に興味深かったです。
全体的には、始皇帝の後半ぐらいから呂后までが、とても面白かったです。
史記本紀のクライマックスは、なんといっても項羽と劉邦の戦いでしょう。
秦を倒すためにともに戦いながら、最後は天下の支配を賭けて対決した二人!
今から30年以上前に、高校の漢文の教科書を、ワクワクしながら読みました。
当時は、負けると知っていながら、「項羽負けるな」と思っていました。
かつて「項羽本紀」で読んだ場面を、今回は「高祖本記」からも読みました。
両方の視点で読めるところが、紀伝体という記述法の良いところです。
「項羽本紀」を読むと、項羽の敗因は、劉邦の卑劣さにあるように思えます。
劉邦は約束を守らずに、東へ帰る項羽を背後から攻撃して、追い込みました。
しかし「高祖本記」を読むと、項羽の敗因は、項羽自身にあるように思えます。
項羽は敵の離間の計に引っかかり、参謀の范増を失って、勢いを失いました。
范増は項羽にとって、重要な参謀である以上に、ツキを呼ぶ人物だったようです。
項羽は范増に見放されると同時に、ツキにも見放されたのではないでしょうか。
范増が出ていった時に、項羽の運命はほぼ決まったのだと思います。
項羽は「天がわしを滅ぼそうとする」とか言っていますが、そんなことはない。
項羽は優勢に立ちながら、傲慢で人心を得ることができず最後は敗北しました。
欠点だらけの将軍ですが、しかし、なぜか、勝利者の劉邦よりもファンが多い。
特に男子は項羽びいきです。強い男に憧れるから? でも結局彼は負けた!
強いにもかかわらず負けてしまうからこそ、我々は惹かれるのかもしれません。
さて、史記の中で最も面白いのが「列伝」だと言われています。
列伝は、ちくま学芸文庫はもちろん、岩波文庫からも出ています。
さいごに。(ごんぎつね)
小学校4年の娘は、時々家で「ごんぎつね」を音読しています。懐かしい!
私が小学校の頃、クラスみんなで泣きながら読んだことを思い出しました。
本紀は、五帝から夏、殷、周、秦を経て、漢の武帝に至るまでの帝王の系譜です。
前1世紀の武帝の時代に、司馬遷によって完成された、中国の最初の正史です。
ちくま学芸文庫から出ています。1971年の「筑摩世界文学大系6・7」の訳です。
注釈が文章の途中に( )で挿入されているため、読みやすかったです。
本記は、皇帝や王など、天下を支配した者たちと、その時代を描いています。
全12巻で、構成は以下の通りです。
1 五帝(黄帝から禹まで) 2 夏 3 殷 4 周 5秦 6 始皇帝
7 項羽 8 高祖(劉邦) 9 呂后 10 文帝 11 景帝 12 武帝
夏末、殷末、周末など、時代の変わり目の混乱期が、特に興味深かったです。
全体的には、始皇帝の後半ぐらいから呂后までが、とても面白かったです。
史記本紀のクライマックスは、なんといっても項羽と劉邦の戦いでしょう。
秦を倒すためにともに戦いながら、最後は天下の支配を賭けて対決した二人!
今から30年以上前に、高校の漢文の教科書を、ワクワクしながら読みました。
当時は、負けると知っていながら、「項羽負けるな」と思っていました。
かつて「項羽本紀」で読んだ場面を、今回は「高祖本記」からも読みました。
両方の視点で読めるところが、紀伝体という記述法の良いところです。
「項羽本紀」を読むと、項羽の敗因は、劉邦の卑劣さにあるように思えます。
劉邦は約束を守らずに、東へ帰る項羽を背後から攻撃して、追い込みました。
しかし「高祖本記」を読むと、項羽の敗因は、項羽自身にあるように思えます。
項羽は敵の離間の計に引っかかり、参謀の范増を失って、勢いを失いました。
范増は項羽にとって、重要な参謀である以上に、ツキを呼ぶ人物だったようです。
項羽は范増に見放されると同時に、ツキにも見放されたのではないでしょうか。
范増が出ていった時に、項羽の運命はほぼ決まったのだと思います。
項羽は「天がわしを滅ぼそうとする」とか言っていますが、そんなことはない。
項羽は優勢に立ちながら、傲慢で人心を得ることができず最後は敗北しました。
欠点だらけの将軍ですが、しかし、なぜか、勝利者の劉邦よりもファンが多い。
特に男子は項羽びいきです。強い男に憧れるから? でも結局彼は負けた!
強いにもかかわらず負けてしまうからこそ、我々は惹かれるのかもしれません。
さて、史記の中で最も面白いのが「列伝」だと言われています。
列伝は、ちくま学芸文庫はもちろん、岩波文庫からも出ています。
さいごに。(ごんぎつね)
小学校4年の娘は、時々家で「ごんぎつね」を音読しています。懐かしい!
私が小学校の頃、クラスみんなで泣きながら読んだことを思い出しました。
2016-11-18 04:00
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