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春のめざめ [19世紀ドイツ北欧文学]

 「春のめざめ」 F.ヴェデキント作 酒寄進一訳 (岩波文庫)

 少年少女の性の目覚めと、大人たちによる抑圧を描いた、三幕の戯曲です。
 性的な内容が問題視され、当時は上演禁止となりました。

 今年2017年2月に岩波文庫から出ました。
 訳はとても分かりやすかったです。


春のめざめ (岩波文庫)

春のめざめ (岩波文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/04/15
  • メディア: 文庫



 ギムナジウムの優等生のメルヒオールと、劣等生モーリッツは仲の良い友達です。
 メルヒオールはモーリッツに、子供を作る方法を図解して、それが悲劇に・・・

 同じギムナジウムの少女ヴェントラは、子供を作る方法を母親に尋ねました。
 しかし母は教えてくれず、ヴェントラは性について無知で、それが悲劇に・・・

 性を必要以上に抑圧していた、当時のドイツ社会を反映した内容です。
 そのきわどい内容が問題視され、出版当初は上演禁止となりました。

 実際、この戯曲に盛り込まれた内容は、以下の通り。(巻末「解説」から引用)
 サディズム、マゾヒズム、自慰行為、レイプ、自殺、ホモセクシュアル、人工中絶。

 どうしても、そういう衝撃的な部分に注目が集まりがちです。
 しかし私は、メルヒオールとモーリッツの素朴な会話に魅力を感じました。

 「ぼくは生まれはした。だけど、どうやって生まれてきたのかわからない。なのに
 生きていることに責任をとれっていわれてもな。」(P21)

 「人にひどいことをするよりも、ひどいことをされる方がよっぽど甘美なことだ!
 この世の幸福って、甘美な不正をわけもなく耐え忍ぶってことじゃないかな。」
 (P53)

 最後の第3幕第七場で、急にファンタジーになるところは、理解しがたかったです。
 ここで出現するモーリッツは何か? 突然現れる仮面の紳士とは何者か?

 このラストの部分がよく分からないため、もやもやしたまま終わってしまいました。
 訳注と解説が、合わせて50ページ以上あるけど、読む気がしないなあ・・・

 ヴェデキントは「地霊」「パンドラの箱」「春のめざめ」の三作を読みました。
 どれも屈折していて難解です。どれか一つを選ぶのなら、「春のめざめ」でしょう。
 「地霊」「パンドラの箱」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-08-10

 さいごに。(龍潭寺も良かった)

 浜名湖の旅行では、摩訶耶寺も良かったけど、直虎ゆかりの龍潭寺も良かったです。
 特に江戸初期に小堀遠州によって作られたお庭は、いつまでも見ていたかったです。

 うちの妻が歴女なので、龍潭寺と井伊家の関係を、色々教えてくれました。
 しかし、ほとんど頭に残りませんでした。ただただこのお庭の美しさが残りました。

DSCF2953-2.jpg

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