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ルーマニア日記 [20世紀ドイツ文学]

 「ルーマニア日記」 カロッサ作 高橋健二訳 (岩波文庫)


 軍医として従軍したカロッサが、第一次大戦時の日記をもとにして書いた小説です。
 昨年2018年に復刊されましたが、旧字体で実に読みにくいです。初版は1953年!


ルーマニア日記 (岩波文庫 赤 436-2)

ルーマニア日記 (岩波文庫 赤 436-2)

  • 作者: カロッサ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1953/03/05
  • メディア: 文庫



 私たちの部隊は、行先も告げられず、汽車に乗せられ、移動を始めました。
 やがてルーマニアに入り、戦線に近い場所で、「私」が見たものは・・・

 私の望遠鏡がとらえたのは、塹壕でくつろぐルーマニアの兵士たちの姿。
 上官に報告しようとして、なぜか私にはそれができませんでした。

 報告しなければ、いつか彼らによって、味方が危うくなるかもしれない。
 しかし、安心しきっている彼らの命を奪う権利が、私にあるのだろうか?

 ここに描かれているのは、まさに極限状況における人間の姿です。
 薄い本ですが、次から次に強烈な描写が展開され、読んでいて疲れました。

 ネズミの死骸が入っていたジャムを、老少佐は淡々とパンに塗って食べ・・・
 森で私のマントを突然つかんだのは、内臓の飛び出した瀕死の敵兵で・・・

 手榴弾を見つけて、奪い合っていた子供たちは、偶然ひもを引き抜いて・・・
 増えすぎた子猫を、小僧が壁にたたきつけていたが、1匹だけ生き残り・・・

 しかし、時々挿入される美しい話に、ほっとします。
 冒頭の歩兵ヴィンマーと砲手ヴィンマーの父子の対面は、実に感動的でした。

 私はこの本をなんとか読み通しましたが、理解できない箇所が多かったです。
 そういう部分は読み飛ばしてしまいました。分かりやすい新訳がほしいです。

 さいごに。(ボリューム・コントローラーで、音が劇的に良くなった)

 これまでパソコン内の曲を聴くとき、イヤホンジャックからアナログアンプに、
 ケーブルをつないで、スピーカー(25年前の)から音を出していました。

 このたびfostexのボリューム・コントローラーを買い、USB でつないだところ、
 音が劇的に良くなっていました。こういう技を、もっと早く知っていたかった。





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コメント 2

のん

こんにちは。このルーマニア日記ですが、1996年に臨川書店から発行されたカロッサ全集7の解説を見ると日記を基にした小説であるとあります。ご参考まで。
by のん (2018-05-06 16:27) 

ike-pyon

のんさん、貴重な情報をありがとうございます。
私は、純粋な日記だとばかり思っていました。
なるほど、小説なんですね。
by ike-pyon (2018-05-08 20:46) 

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