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私家版かげろふ日記 [日本の古典文学]

 「私家版かげろふ日記」 杉本苑子 (講談社文庫)


 時の権力者藤原兼家との結婚生活における、愛と苦悩を描いた女流日記です。
 藤原道綱の母によって書かれたものを、読みやすくアレンジしてあります。


私家版かげろふ日記 (講談社文庫)

私家版かげろふ日記 (講談社文庫)

  • 作者: 藤原道綱母
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/01
  • メディア: 文庫



 才色兼備で知られた作者は、19歳の時、兼家から熱烈なプロポーズを受けました。
 周囲は将来有望な兼家との結婚を喜び、やがてひとり息子の道綱が生まれました。

 しかし、蜜月時代は短く、「結ばれてすでに十一、二年・・・。そのあいだの私の
 内奥を打ち明けて言えば、一日として物思いのない日はなかった。」という。

 その間「うつろひたる菊」「ゆするつきの水」等、有名なエピソードも登場します。
 結婚生活への失望、浮気相手への嫉妬、正妻への複雑な心情、我が子への執着・・・

 当時の悩める姫君の姿が、とてもリアルに感じられました。
 平安貴族の世界に入り込んだようで、興味深く読むことができました。

 特に、兼家を身近に感じられて楽しかったです。この男、まったく憎めませんね。
 著者が、兼家を憎みながらも、どうしようもなく愛している様子が伝わってきます。

 さて、数ある現代語訳の中で本書を選んだのは、断然に分かりやすかったからです。
 その読みやすさの理由は、以下のような編集方針にあります。

 「冗漫な部分を思い切ってカットし、原作者自身は触れていないけれども政界官界
 の動きなどを挿入して、当時の時代背景を知っていただけるよう配慮しました。」

 原典では分かりにくい個所が、文章中でとてもさりげなく補足説明されています。
 そのため、註を読んで中断したり、不明箇所を読み飛ばしたりすることもないです。

 しかも、巻末に「その後のかげろふ日記」が付いています。(これが良かった!)
 日記で書かれなかった日々のことが、知ることができて、とても参考になりました。

 さいごに。(富士山世界遺産センター)

 今年のGWもほとんど仕事で潰れました。働き方改革って、どこの国の話?
 唯一休めた4月29日に、富士宮の富士山世界遺産センターに行ってきました。

 外観が有名ですが、中では螺旋階段を登りながら富士登山を体験できて面白い。
 娘は「富士山に登りたい」と言いました。夏に、一緒に登れるといいのだけど。

DSCF8159-2.jpg

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