コーヒーと恋愛 [日本の近代文学]
「コーヒーと恋愛」 獅子文六 (ちくま文庫)
テレビで活躍中の女優モエ子と、若い女と逃げた年下の夫を巡るドタバタ劇です。
1962年に読売新聞で連載された小説で、2013年にちくま文庫から復刊されました。
舞台は昭和の高度成長期です。テレビ番組が始まって10年もたってない頃です。
主人公坂井モエ子は、43歳の人気庶民派女優で、コーヒーを淹れるのがうまい。
モエ子は8歳年下の夫と二人で暮らしています、というか亭主を養っています。
モエ子がテレビドラマに出演して稼いだお金が、二人の生活費となっています。
夫の塔ノ本勉は売れない舞台装置係ですが、仕事に対するプライドだけは高い。
モエ子の稼ぎに頼りながらも、テレビドラマを見下しているところがあります。
夫と一緒になって8年、二人の生活は、それなりにうまくいっていました。
ところが、丹野アンナという若い女優と、亭主が接近したことによって・・・
今から50年以上前の新聞小説です。上品で軽快で、とても楽しく読めました。
昭和の懐かしい香りがしますが、当時は進歩的で洒落た小説だったそうです。
主役がテレビ女優で、亭主がヒモ男という設定も、当時は珍しかったと思います。
また、アンナのようなアバズレ女の存在も、この小説をより魅力的にしています。
度々コーヒーが登場し、コーヒー談義が始まる点も、新しかったのでしょう。
今でこそコーヒーは庶民のものになりましたが、当時は珍しかったはずです。
コーヒー通が集まる「可否会」の場面が、この小説の味付けになっています。
彼らの語るコーヒーの蘊蓄を聞いていると、コーヒーが飲みたくなりました。
「男ごころってのは、正月の重箱みたいに底があるものが、重なってるんだ」
「恋愛ってものが主体であって、結婚なんて、ヤキトリのクシのようなもんだ」
という洒落たセリフが、ポンポン出てくるところもまた、この作品の魅力です。
しかしサイコーだったのは、奇想天外な新劇「河馬」の第三幕でした。
暴走し人々を恐怖のどん底に突き落とす河馬の群れは、近代精神であって・・・
富豪の令嬢が、河馬のマスクを付けた、主役の「第一の河馬」に求婚して・・・
さて、獅子文六の初期の代表作に「悦ちゃん」があります。戦前の作品です。
少し前にNHKのテレビドラマになって、評判になりました。気になります。
さいごに。(デンマーク・クローネ)
うちの妻が、自動レジで50円玉を入れたら、何度も戻ってきてしまいました。
不思議に思って、そのコインを確かめたら、なんとデンマーク・クローネでした。
デンマーク・クローネは、50円玉にそっくりなのです。しかし価値は18円程度。
いったい、いつ、どこで紛れ込んだのやら。
テレビで活躍中の女優モエ子と、若い女と逃げた年下の夫を巡るドタバタ劇です。
1962年に読売新聞で連載された小説で、2013年にちくま文庫から復刊されました。
舞台は昭和の高度成長期です。テレビ番組が始まって10年もたってない頃です。
主人公坂井モエ子は、43歳の人気庶民派女優で、コーヒーを淹れるのがうまい。
モエ子は8歳年下の夫と二人で暮らしています、というか亭主を養っています。
モエ子がテレビドラマに出演して稼いだお金が、二人の生活費となっています。
夫の塔ノ本勉は売れない舞台装置係ですが、仕事に対するプライドだけは高い。
モエ子の稼ぎに頼りながらも、テレビドラマを見下しているところがあります。
夫と一緒になって8年、二人の生活は、それなりにうまくいっていました。
ところが、丹野アンナという若い女優と、亭主が接近したことによって・・・
今から50年以上前の新聞小説です。上品で軽快で、とても楽しく読めました。
昭和の懐かしい香りがしますが、当時は進歩的で洒落た小説だったそうです。
主役がテレビ女優で、亭主がヒモ男という設定も、当時は珍しかったと思います。
また、アンナのようなアバズレ女の存在も、この小説をより魅力的にしています。
度々コーヒーが登場し、コーヒー談義が始まる点も、新しかったのでしょう。
今でこそコーヒーは庶民のものになりましたが、当時は珍しかったはずです。
コーヒー通が集まる「可否会」の場面が、この小説の味付けになっています。
彼らの語るコーヒーの蘊蓄を聞いていると、コーヒーが飲みたくなりました。
「男ごころってのは、正月の重箱みたいに底があるものが、重なってるんだ」
「恋愛ってものが主体であって、結婚なんて、ヤキトリのクシのようなもんだ」
という洒落たセリフが、ポンポン出てくるところもまた、この作品の魅力です。
しかしサイコーだったのは、奇想天外な新劇「河馬」の第三幕でした。
暴走し人々を恐怖のどん底に突き落とす河馬の群れは、近代精神であって・・・
富豪の令嬢が、河馬のマスクを付けた、主役の「第一の河馬」に求婚して・・・
さて、獅子文六の初期の代表作に「悦ちゃん」があります。戦前の作品です。
少し前にNHKのテレビドラマになって、評判になりました。気になります。
さいごに。(デンマーク・クローネ)
うちの妻が、自動レジで50円玉を入れたら、何度も戻ってきてしまいました。
不思議に思って、そのコインを確かめたら、なんとデンマーク・クローネでした。
デンマーク・クローネは、50円玉にそっくりなのです。しかし価値は18円程度。
いったい、いつ、どこで紛れ込んだのやら。
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