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モンテ・クリスト伯(抄訳)2 [19世紀フランス文学]

 「モンテ・クリスト伯(下)」 A・デュマ作 大友徳明訳 (偕成社文庫)


 無実の罪で捕らわれた男が脱獄し、自分を陥れた者たちに復讐する物語です。
 以前、講談社文庫の完訳を読み、今年、偕成社文庫の抄訳を読み直しました。


モンテ・クリスト伯[下] (偕成社文庫)

モンテ・クリスト伯[下] (偕成社文庫)

  • 作者: アレクサンドル・デュマ
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2010/10/15
  • メディア: 文庫



 下巻に入るとモンテ・クリスト伯爵は、いよいよかつての婚約者と再会します。
 モルセール伯爵夫人は、早くもモンテ・クリスト伯の正体に気付いています。

 「伯爵さま、アラビアには、同じ屋根の下でパンと塩をわかちあった者は、永遠
 の友だちとなるという、うるわしい風習がありましたね。」
 「それはわたしも知っていますが、ここはフランスで、アラビアではありません。
 フランスにはパンと塩をわかちあうことも、永遠の友だちも存在しません。」

 この言葉の中に、二人それぞれの思いが全て込められています。
 この再会の場面は、物語を通して最も切なかったです。

 「エドモン、あなたのところにやってきたのは、モルセール夫人ではなくて、メ
 ルセデスなのです。」
 「メルセデスは死にました・・・わたしはもう、そういう名の人は知りません。」
 「メルセデスは生きています。・・・メルセデスだけは、あなたに会ったとき、
 あなただとわかりました。」

 この物語は、愛と憎しみの物語でした。
 そして、「復讐はむなしい」ということを、教えてくれました。

 ダングラールを、フェルナンを、ヴィルフォールを、巧みに陥れていき・・・
 しかし、復讐を果たすうちに、自分の行為に迷いが生じるようになって・・・

 「ゆるやかな曲がりくねった坂道をたどって、復讐の頂点に達した伯爵は、この
 山の反対側に、疑惑の谷があることに気づいたのだ。」(P369)

 抄訳を選んだのは、できるだけ簡単にこの大作を味わいたいと思ったからです。
 しかし読み終えてから思ったのは、「もう一度完訳を読みたい」ということです。

 それは、偕成社文庫版がもの足りないというのではありません。むしろ逆です。
 作品がそれだけ魅力的だったので、もう一度しっかり読みたいと思いました。

 現在出ている完訳は岩波文庫版です。初訳は1956年と古いのですが、味わい深い。
 全7巻です。いつでも読み出せるように、1巻から3巻までは買ってあります。


モンテ・クリスト伯(全7冊セット) (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯(全7冊セット) (岩波文庫)

  • 作者: アレクサンドル・デュマ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/04
  • メディア: 文庫



 また、今回改めて感じたことは、これも「ナポレオン物」のひとつだということ。
 冒頭部分、百日天下、人々の回想場面など、随所でナポレオンが登場します。

 ナポレオンの本も読みたくなりました。
 ナポレオンのマイブームの時に買った、鶴見祐輔の書いた本を読んでおきたいです。


ナポレオン (潮文庫 黄 1A)

ナポレオン (潮文庫 黄 1A)

  • 作者: 鶴見 祐輔
  • 出版社/メーカー: 潮出版社
  • メディア: 文庫



 さいごに。(今年は余裕でマグロ組)

 小学校の水泳の授業が始まりました。今年は最高レベルのマグロ組に入れました。
 市民プールで、クロール50mと平泳ぎ50mを、泳げるようにしておいて良かったです。

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