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コンプレックス [心理・宗教・オカルト]

 「コンプレックス」 河合隼雄 (岩波新書)


 「コンプレックス」という概念を中心に、ユング心理学について解説した著書です。
 1971年に出た岩波新書青版ですが、いまだに増刷され続けている名著です。


コンプレックス (岩波新書)

コンプレックス (岩波新書)

  • 作者: 河合 隼雄
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1971/12/20
  • メディア: 新書



 私はこの本を、1988年頃、大学の臨床心理学の授業で勧められて読みました。
 コンプレックスを糸口に、「ユング心理学入門」を語り直したような内容です。

 第1章 コンプレックスとは何か
 主体性をおびやかすもの、言語連想検査、自我、コンプレックスの構造・・・

 第2章 もう一人の私
 二重人格、ドッペルゲンガー、劣等感コンプレックス、心の相補性・・・

 第3章 コンプレックスの現象
 自我とコンプレックス、ノイローゼ、人間関係とコンプレックス・・・

 第4章 コンプレックスの解消
 コンプレックスとの対決、トリックスター、死の体験、儀式の意味・・・

 第5章 夢とコンプレックス
 コンプレックスの人格化、夢の意味、男性像と女性像、夢の中の「私」・・・

 第6章 コンプレックスと元型
 エディプスコンプレックス、文化差の問題、元型、自己表現・・・

 私はこの本で初めてユング心理学を知ったので、書かれた内容全てが新鮮でした。
 その中でも特に面白かったのが、第4章と第6章でした。

 第4章では、神と向き合うための「儀式」の話が、とても興味深かったです。
 命を失うことなく、神に接しようとする最善の方法として、儀式が生み出され・・・

 しかし第6章の、人類共通の無意識の中にある「原型」の話が、最も衝撃的でした。
 全ての人間の無意識の奥底には、「太母」という母なるもののの原型があって・・・

 全てを生み出し全てを吞みこむ土の不思議さから、地母神を祭る宗教が生まれ・・・
 地母神は死の神でもあり、例えば国生みのイザナミはのちに黄泉の国に降った・・・

 30を過ぎて2000年頃に、河合隼雄のマイ・ブームが来て、この本を読み直しました。
 そのとき同時に読んだ、岩波新書の「子どもの宇宙」もとても印象に残っています。

 構成は・・・Ⅰ子どもと家族 Ⅱ子どもと秘密 Ⅲ子どもと動物 Ⅳ子どもと時空
       Ⅴ子どもと老人 Ⅵ子どもと死  Ⅶ子どもと異性

 以上のとおり、「子ども」の内面にある宇宙を、様々な観点から探求しています。
 娘が生まれたあと、もう一度読み直して、とても参考になりました。

 特にⅣ章の「子どもと時空」での、子どもが時空を超えるという指摘はすごいです。
 子どもには、あちらの世界とこちらの世界をつなぐ通路が開かれていて・・・

 さて、この本の最大の魅力は、多くの素敵な児童文学が紹介されているところです。
 「ふたりのロッテ」「秘密の花園」「トムは真夜中の庭で」はこの本で知りました。

 「ふたりのロッテ」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-01-22
 「秘密の花園」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-08-23
 「トムは真夜中の庭で」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-11-21

 ほか、「クローディアの秘密」「ラモーナとおかあさん」「まぼろしの小さい犬」
 「時の旅人」「ジョコンダ夫人の肖像」「あのころはフリードリヒがいた」・・・

 「ジョコンダ夫人の肖像」は、ダ・ヴィンチとモナ・リザにまつわる物語です。
 現在単行本で出ています。文庫化希望。又は岩波少年文庫で出してもらえないか。

 さいごに。(久々の終電)

 高校時代の陸上部の仲間で飲み会をしました。本当に久しぶりのことです。
 青春を共にした仲間も、今では皆50代。中には30年ぶりで会う仲間もいました。

 話しているうちに、次から次に話題が出て来て、思い出話は絶えませんでした。
 高校時代の仲間って、特別ですね。この夜、何年かぶりに終電で帰りました。

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