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ロレンザッチョ [19世紀フランス文学]

 「ロレンザッチョ」 ミュッセ作 渡辺守章訳 (光文社古典新訳文庫)


 16世紀のフィレンツェで実際に起きた、メディチ家暗殺事件を題材にした戯曲です。
 五幕39場という長大な構成だったため、発表当時は上演不可能とされていました。

 光文社古典新訳文庫から出ています。文章は分かりやすいです。
 日本では1993年に、訳者渡辺守章の演出、堤真一主演で、初上演されました。


ロレンザッチョ (光文社古典新訳文庫)

ロレンザッチョ (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ミュッセ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/08/09
  • メディア: 文庫



 16世紀のフィレンツェは、メディチ家のアレクサンドルが独裁していました。
 その従弟のロレンゾは、この暴君に取り入りながら、暗殺の機会を狙っていたが・・・

 「崇高な目的のために、おぞましい道を選んだ」(P155)・・・
 「悪徳は、初めは単なる衣装だったが、今では肌に貼りついてしまった」(P159)

 アレクサンドルと放蕩を楽しむふりをするうちに、本当にわが身を汚していました。
 自分こそが独裁者を倒すというロレンゾの理想は、ほとんど誰にも理解されません。

 ロレンゾの狂気に近い執念と、孤独と諦念が、この劇を奥深いものとしています。
 「僕という人間は、もはや一つの廃墟にすぎない」(P196)

 しかも随所で、ロレンゾとアレクサンドルの同性愛的な関係が、暗示されています。
 妖しい雰囲気が全編を包んでいて、暗殺という行為にエロスの香りがします。

 そういう意味で、この戯曲は、ほかにはない味わいがあります。傑作だと思います。
 しかし、なんといっても長い。260ページほどあります。正直、無駄な部分が多い。

 それでいて、ロレンゾがなぜ暗殺を決意したのか、大事な部分がよく分かりません。
 ロレンゾは、アレクサンドルに、恋していた故に殺したのかもしれない・・・

 1993年に、銀座セゾン劇場で上演された舞台は、どうだったのでしょうか。
 ロレンゾとアレクサンドルがキスするシーンがあったとか。まあ、いいのだけど。

 ちなみに、この本の本文のあと、訳注・解題・あとがきが130ページ続いています。
 読まないって! 余計な部分をカットして、700円ぐらいで出してほしかった。

 さいごに。(新しい読書仲間)

 娘のクラスでは読書ミッションというのがあって、今回のミッションは宮沢賢治。
 そこで、私の本棚から宮沢賢治の文庫本を持って行って読んでいます。

 「注文の多い料理店は面白い」とか「この話は意味が分からない」とか言ってます。
 ようやく娘と本について話ができるようになりました。新しい読書仲間の誕生です。

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コメント 4

サンフランシスコ人

60年近く前に読みましたが、私も意味が分からないでした....

by サンフランシスコ人 (2018-10-19 06:43) 

ike-pyon

よく分からないですよね。
by ike-pyon (2018-10-23 05:57) 

サンフランシスコ人

宮沢賢治は小学生に難しすぎる???
by サンフランシスコ人 (2018-10-24 00:56) 

ike-pyon

少し難しすぎると思います。
現在、小学校の教科書には「やまなし」が載っていますが、
「クラムボン」って、いったい何なんでしょうね。
by ike-pyon (2018-10-29 07:20) 

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