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史記・世家 [古代文学]

 「史記・世家」 司馬遷著 小竹文夫・小竹武夫訳 (ちくま学芸文庫)


 世家は、一定の勢力を世襲して、中国史に影響を与えた諸侯の年代記です。
 世家30巻は、ちくま学芸文庫から二分冊で出ています。1971年の訳です。


史記〈3〉―世家〈上〉 (ちくま学芸文庫)

史記〈3〉―世家〈上〉 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: 司馬 遷
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1995/09
  • メディア: 文庫



史記〈4〉―世家〈下〉 (ちくま学芸文庫)

史記〈4〉―世家〈下〉 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: 司馬 遷
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1995/10
  • メディア: 文庫



 「世家(上)」には、主に秦による統一以前の諸侯が取り上げられています。
 呉、斉、魯、燕、蔡と曹、陳と杞、衛、宋、晋、楚、越・・・と続きます。

 その中でも、たびたび登場して強い印象を残す人物が2人ありました。
 伍子胥(ごししょ)と重耳(ちょうじ)です。共通点は国を追われたこと。

 伍子胥はこれまで度々登場してきましたが、実に賢明で興味深い人物です。
 彼は、越王勾践(こうせん)のもとで礼遇され、大きな存在感を示しました。

 越王勾践は呉王夫差と戦い、臥薪嘗胆の逸話で有名です。
 しかしその戦いの陰の主役は、いや真の主役は伍子胥だったのではないか?

 また、晋の重耳の物語はドラマチックで、読んでいてワクワクしました。
 これは典型的な貴種流離譚です。当時の人々にも好まれそうな伝説です。

 重耳の物語には、様々な逸話が付随していて、それがどれも面白いです。
 晋の恵公と家臣の里克の話、恵公と秦の繆公の話なども印象的に残りました。

 世家には、そのほか多くの強烈な人物が登場します。斉の崔杼(さいちょ)、
 斉の陳軫(ちんしん)、越の范蠡(はんれい)と種(しょう)・・・

 忘れていけないのは、趙の程嬰と杵臼(しきゅう)、衛の子路など。
 命を賭けて国を守ろうとする忠臣の姿に、とてもしびれました。

 「世家(下)」では、項羽と劉邦でおなじみの人物たちが登場します。
 陳勝と呉広、蕭何(しょうか)、曹参、張良、陳平、周勃・・・

 最も印象的なのは、なんといっても張良。その人生は伝説に彩られています。
 人並み優れた彼の智謀は、ある老父から太公望の兵書を授かったからでした。

 鴻門之会で沛公を救い、不利だった形勢を逆転させ、項王を追い込み・・・
 「はかりごとを帷幄の中にめぐらし、勝利を千里の外で決した」とのこと。

 最も興味深かったのは、陳平です。奇計で天下を動かした「奇謀の士」です。
 鴻門之会で項王方だった陳平が、沛公に寝返った後、これほど活躍したとは!

 反間の計で項王と亜父を離間させて・・・不意を突いて韓信を捕らえて・・・
 そして、呂后に取り入ると見せかけ、その死後、呂氏一族を殲滅し・・・

 卑賎から身を起こし、激動の末、丞相に昇りつめた人生は、男のロマンです。
 生涯秘密にしたと伝えられる数々の奇計は、どんなものだったのでしょうか?

 ところで、「史記」の本紀と列伝については2016年に紹介しています。
 「本紀」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-11-18
 「列伝1」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-11-27
 「列伝2」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09

 さいごに。(ポルテ)

 車を替えました。これまで軽自動車2台でしたが、なにかと不便だったので。
 私のミラジーノを、トヨタのポルテにしました。もちろん、中古車です。

 久しぶりに普通車に乗って、こんなにデカかったっけ、と思いました。
 車幅に慣れないので、ゆっくり通勤しています。車庫入れも難しくて・・・

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