SSブログ

齋藤孝のざっくり!世界史 [哲学・歴史・芸術]

 「齋藤孝のざっくり!世界史」 齋藤孝 (祥伝社黄金文庫)


 5つのキーワードを核に、細かいことを脇に置いて、流れをたどった歴史本です。
 キーワードは、「近代化」「帝国」「欲望」「モンスター」「宗教」の5つです。


齋藤孝のざっくり!世界史 (祥伝社黄金文庫)

齋藤孝のざっくり!世界史 (祥伝社黄金文庫)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2011/12/14
  • メディア: 文庫



 キーワードごと5章に分けられていますが、全ての章に驚きがありました。
 私的に特に面白かったのは、第1章の「近代化」と第5章の「宗教」です。

 「実は、ヨーロッパの柱とは古代ギリシア・ローマなのです。」(P16)
 加速せずにはいられない近代化の源を、なんと、古代地中海文明に求めています。

 それは、当時そこで民主主義が生まれ、人間中心の社会が営まれていたからです。
 民主主義が機能していた時代は、人間の合理性や明晰性が重視されていました。

 しかし中世、神が世界を支配していた頃、合理性や明晰性は押しつぶされました。
 それを、古代ギリシア・ローマをお手本に復活させたのが、ルネサンス期でした。

 神より人間が勝っていくこの時期、人間の合理性と明晰性が再び重視されました。
 やがてそれは巨大なパワーとなり、近代化を促し、全世界を吞みこんでいきます。

 近代の人間中心社会において、人間は自信を回復し、あらゆることに挑戦し・・・
 人間が近代合理主義を推し進めた結果、人間は管理社会に隷属するようになり・・・

 と、とても分かりやすく「ざっくり」まとめられています。
 しかし、これは本書の最初の、ほんのわずかな部分です。

 ほかにも、「軍隊や資本の独占ではなく、知の独占こそが権力そのものだ」とか、
 「知の源泉である聖書を独占したからこそ、中世の教会は全てを支配できた」とか。

 「教会から民衆に知を取り戻そうとしたのが、ルターの宗教改革の意味だ」とか、
 「だから、ルターが聖書をラテン語からドイツ語に訳した意味は大きい」とか・・・

 文字を独占する者が、知を独占する。知を独占する者が、文化を独占する。
 と、私は漠然とイメージしていましたが、これらの記述はとても参考になりました。

 さて、私がこの本で参考になった最大の点は、その書き方です。
 一つのテーマに絞って、ざっくりと世界史の流れを鷲づかみにする、その手法です。

 私は月1回のペースで、「世界文学の歴史をざっくりとつかむ」を連載しています。
 しかし考えるうちに、書きたいことが次々と湧き出てきて、ざっくりと書けません。

 8回の連載を振り返ると、ただ世界文学史をたどっているだけになっています。
 これではもう一度全てひっくるめて、ざっくり書き直さなければならない(笑)。

 齋藤孝だったら、いったいどんなふうに書いたでしょうか・・・
 ざっくり!シリーズは他に、「日本史」「西洋哲学」「美術史」などが出ています。


齋藤孝のざっくり!日本史 「すごいよ!ポイント」で本当の面白さが見えてくる (祥伝社黄金文庫)

齋藤孝のざっくり!日本史 「すごいよ!ポイント」で本当の面白さが見えてくる (祥伝社黄金文庫)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2010/08/31
  • メディア: 文庫



齋藤孝のざっくり! 西洋哲学  ソクラテスからマルクス、ニーチェまでひとつかみ (祥伝社黄金文庫)

齋藤孝のざっくり! 西洋哲学 ソクラテスからマルクス、ニーチェまでひとつかみ (祥伝社黄金文庫)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2017/03/15
  • メディア: 文庫



齋藤孝のざっくり! 日本史

齋藤孝のざっくり! 日本史

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2007/11/30
  • メディア: 単行本



 さいごに。(トルコ至宝展より・・・)

 年度末、ばたばたしていて、仕事がなかなか片付かず、持ち帰りも多いです。
 しかし、妻オススメの「トルコ至宝展」のため、家族で東京に出るつもりです。

 ついでに、サンシャイン水族館まで行き、「空飛ぶペンギン」を見たいです。
 娘が昨年、修学旅行で行きたかった場所です。我々には、こちらがメインかも。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。