貧しき人々 [19世紀ロシア文学]
「貧しき人々」 ドストエフスキー作 安岡治子訳 (光文社古典新訳文庫)
中年の小役人と極貧の少女が、心を寄り添って生きる姿を描いた、書簡体小説です。
批評家ベリンスキーに激賞され、一躍有名となった、ドストのデビュー作です。
中年のマカールと少女ワルワーラは、窓から互いの姿が見える近所に住んでいます。
二人はとても貧しい暮らしをしながら、頻繁に手紙を交わして、慰め合っています。
ワルワーラの父の没落と死。学生ポクロフスキーとワルワーラの恋と死別・・・
マカールの友人ゴルシーコフの不幸な死。マカールに突然訪れた悲しい別れ・・・
悲しみと死に彩られた二人の半生は、往復されることで、不幸が増幅されていきます。
ワーレンカは言います。「不幸は伝染する病いです」と。どんどん不幸は広がります。
さて、読んでいて違和感を覚えるのは、マカールのワーレンカに対する愛情です。
これは父が娘に示す慈愛でしょうか? いえいえ、醜い中年の単なる少女趣味ですよ。
自分の大好きなワルワーラへ、なけなしの金をはたいて、プレゼントを買ってしまう。
相手はかえって心を痛めるが、そんなことおかまいなし。つまり、ひとりよがりです。
「あなたときたら、私の人生を通してのみ生きようとなさっている。」(P203)
というワルワーラの指摘も、もっともなことだと思います。
また随所から、少女ワルワーラに溺れるマカールの、悲痛な叫びが聞こえてきます。
「私のもとから離れて行ったりしないでください。私の愛しい人!」(P263)
よくも恥ずかしげもなく言えたことよ。マカ―ル自身が、最もアブナイ奴なのかも。
しかし、そんな見苦しい中年男のなりふり構わぬ姿を、かわいく感じてしまいました。
マカ―ㇽの不幸は、年甲斐もなく、ワルワーラを心底愛してしまった点にあります。
その姿は、悲しいというよりどこか滑稽で、滑稽な分、さらに痛々しい。
ところで、手紙に描かれるエピソードのうち、印象に残るものがいくつかありました。
特に、貧乏学生ポクロフスキーの父の、我が子に対する愛を描いた部分はすごいです。
老ポクロフスキーは我が子の誕生日に、ワルワーラと一緒にあるプレゼントを・・・
我が子の棺を追う父親ときたら・・・こんな悲痛な描写はなかなかありません・・・
「貧しき人々」をもって、ドストエフスキーの主要な作品は、全て読み終わりました。
実は、本を購入しておきながら、もったいなくて、なかなか読めなかったのです。
さいごに。(ライザップに行けってか?)
このあいだ突然、妻が、「パパ、ライザップに行ったらどう?」と言いました。
実はその前日、彼女は友人たちと一緒に、新日本プロレスを見に行ったのです。
レスラーは皆、体が引き締まっていたとのこと。なるほど、そういうことか。
ライザップは無理だけど、「ゼロトレ」ぐらいは始めようかな。
中年の小役人と極貧の少女が、心を寄り添って生きる姿を描いた、書簡体小説です。
批評家ベリンスキーに激賞され、一躍有名となった、ドストのデビュー作です。
中年のマカールと少女ワルワーラは、窓から互いの姿が見える近所に住んでいます。
二人はとても貧しい暮らしをしながら、頻繁に手紙を交わして、慰め合っています。
ワルワーラの父の没落と死。学生ポクロフスキーとワルワーラの恋と死別・・・
マカールの友人ゴルシーコフの不幸な死。マカールに突然訪れた悲しい別れ・・・
悲しみと死に彩られた二人の半生は、往復されることで、不幸が増幅されていきます。
ワーレンカは言います。「不幸は伝染する病いです」と。どんどん不幸は広がります。
さて、読んでいて違和感を覚えるのは、マカールのワーレンカに対する愛情です。
これは父が娘に示す慈愛でしょうか? いえいえ、醜い中年の単なる少女趣味ですよ。
自分の大好きなワルワーラへ、なけなしの金をはたいて、プレゼントを買ってしまう。
相手はかえって心を痛めるが、そんなことおかまいなし。つまり、ひとりよがりです。
「あなたときたら、私の人生を通してのみ生きようとなさっている。」(P203)
というワルワーラの指摘も、もっともなことだと思います。
また随所から、少女ワルワーラに溺れるマカールの、悲痛な叫びが聞こえてきます。
「私のもとから離れて行ったりしないでください。私の愛しい人!」(P263)
よくも恥ずかしげもなく言えたことよ。マカ―ル自身が、最もアブナイ奴なのかも。
しかし、そんな見苦しい中年男のなりふり構わぬ姿を、かわいく感じてしまいました。
マカ―ㇽの不幸は、年甲斐もなく、ワルワーラを心底愛してしまった点にあります。
その姿は、悲しいというよりどこか滑稽で、滑稽な分、さらに痛々しい。
ところで、手紙に描かれるエピソードのうち、印象に残るものがいくつかありました。
特に、貧乏学生ポクロフスキーの父の、我が子に対する愛を描いた部分はすごいです。
老ポクロフスキーは我が子の誕生日に、ワルワーラと一緒にあるプレゼントを・・・
我が子の棺を追う父親ときたら・・・こんな悲痛な描写はなかなかありません・・・
「貧しき人々」をもって、ドストエフスキーの主要な作品は、全て読み終わりました。
実は、本を購入しておきながら、もったいなくて、なかなか読めなかったのです。
さいごに。(ライザップに行けってか?)
このあいだ突然、妻が、「パパ、ライザップに行ったらどう?」と言いました。
実はその前日、彼女は友人たちと一緒に、新日本プロレスを見に行ったのです。
レスラーは皆、体が引き締まっていたとのこと。なるほど、そういうことか。
ライザップは無理だけど、「ゼロトレ」ぐらいは始めようかな。
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