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オセロー [17世紀文学]

 「新訳 オセロー」 シェイクスピア作 河合祥一郎訳 (角川文庫)


 ヴェニスの将軍でムーア人のオセローが、部下の姦計によって破滅する悲劇です。
 17世紀初頭に書かれたシェイクスピア四大悲劇のうち、二つ目の作品です。


新訳 オセロー (角川文庫)

新訳 オセロー (角川文庫)

  • 作者: シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/07/24
  • メディア: 文庫



オセロー―シェイクスピア全集〈13〉 (ちくま文庫)

オセロー―シェイクスピア全集〈13〉 (ちくま文庫)

  • 作者: ウィリアム シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2006/04/01
  • メディア: 文庫



 ヴェニスの軍人オセローは、冷静沈着でとても人望のある、ムーア人の将軍です。
 オセローは旗手イアーゴーを信頼していますが、彼はオセローを憎んでいました。

 イアーゴーはオセローに、副官キャシオーと妻が密通しているように匂わせ・・・
 姦計にひっかかったオセローは、貞節な妻デズデモーナを疑ってかかり・・・

 この戯曲の感想を一言でまとめるなら、「やりきれない!」です。
 気高いオセローが、どうしてイアーゴーのような悪党に、してやられたのか?

 「気をつけるんだな、ムーア人、娘に、ずっと。
 父を騙した女だ、騙されるぞ、おまえもきっと。」(P42)

 ブラバンショーのこの言葉が、まるで呪いのように、最後まで響き続けています。
 オセローの悲劇は、立派な人格を持ちながら、人を見る目を持たなかった点にある。

 いやいや、むしろ、イアーゴーの偽装の巧みさをほめる(?)べきかもしれません。
 正直者の仮面を被りながら、腹の中は真っ黒。こういうやからが、最もタチ悪い。

 「悪魔は最もおぞましい罪を犯すとき、まず神々しく見せかけるもんだ、」(P83)
 嫉妬するなと言いながら、オセローを嫉妬に狂わせる手口は、まさに悪魔的でした。

 しかしこのワルは、こんな粋なことも言っています。
 イアーゴーは、哲学を持ったワルであり、彼には、悪の魅力と存在感があります。

 「性格だと? くだらん! 自分がどういう人間か決めるのは、自分次第だ。」
 この戯曲は、「オセロー」ではなく、「イアーゴー」でもよかったかもしれません。

 一方、オセローを愛したデズデモーナも、オセロー思いのキャシオーも、共に・・・
 この作品は、偽りの正直者によって、本当の正直者がバカを見る物語でもあります。

 しかしそれにしても、デズデモーナはかわいそう。そういう同情からでしょうか?
 天王星の衛星や、小惑星に、デズデモーナ(不運)という名前が付けられています。

 さいごに。(卒業式)

 先日、娘の小学校の卒業式がありました。平日だったため、私は行けませんでした。
 入学式を、ついこのあいだのように思い出します。あのころは本当に幼かった。

 あれから6年。過ぎ去ってみると、あっという間でした。
 次の6年(中学・高校)も、あっという間に過ぎ去ってしまうのでしょうか。

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